レッドハットの半額で提供

米オラクルがLinuxのフルサポートを開始、エリソンCEO表明

2006/10/26

 米オラクルは10月25日、Linux OSに対してデータベースと同等のサポートサービス「Unbreakable Linux 2.0」を提供開始すると発表した。オラクル製品のユーザー以外も利用できるサポートサービスで、特にLinuxのディストリビューションで高いシェアを持つRed Hat Linuxのユーザーをターゲットにする。「Oracle OpenWorld 2006」で同日、講演したオラクル CEOのラリー・エリソン(Lawrence J. Ellison)氏は「ミッションクリティカル分野へのLinux採用の拡大を狙う。これからはオープンスタンダードのOSしか勝てない」と語った。

oracle_linux01.jpg オラクル CEOのラリー・エリソン氏

 オラクルはUnbreakable Linuxのキャンペーンを2002年に開始し、Linuxへの対応を進めてきた。しかし、当時はOS自体はサポートせず、レッドハットなどに任せてきた。Unbreakable Linux 2.0ではオラクル自体がパッチを開発、提供するなど「Linuxをフルサポートする」(エリソン氏)のが最大の特徴だ。

 提供するサポートはRed Hat LinuxからRed Hatの商標を外し、オラクルが開発したパッチを適用したインストール可能なバイナリの提供と、ネットワーク経由でパッチ適用が可能な「Network Support」、Network Supportに加えて7日間24時間のサポートを提供する「Basic Support」、加えて新しいバージョンのBackportパッケージを提供する「Premier Support」の4つ。それぞれ2CPUまでのタイプ、CPU制限がないタイプの2つの価格モデルがある。

oracle_linux02.jpg Oracle OpenWorld 2006会場に掲げられた「Unbreakable Linux 2.0」の垂れ幕

 エリソン氏は「Basic Supportはレッドハットが提供するベストのサポートサービスと同等。Premier Supportはオラクルが提供するOracle Databaseのサポートと同じレベルだ」と説明した。エリソン氏は「Red Hat Linuxのバージョンに同期し、将来のリリースにも対応してサポートを提供する」と話し、Red Hat Linuxユーザーの獲得に注力する姿勢を示した。

 オラクルがLinuxのフルサポートを提供開始した背景には、レッドハットにサポートを任せたままではLinuxのミッションクリティカル分野への拡大は進まないとの判断がある。エリソン氏はLinuxの問題としてバグフィックスに時間がかかること、サポートサービスが高額なこと、Linuxの知的財産に関してユーザー企業が訴えられるリスクがあることなどを挙げたうえで、「これまでは本当の意味でのエンタープライズ・サポートが提供されていなかった。しかし、オラクルがエンタープライズ・サポートを提供する」と話した。オラクルによるとUnbreakable Linux 2.0のサポートサービスは、レッドハットの同等のサポートサービスの半額。オラクルは企業がLinuxの知的財産の侵害で訴えられた場合の補償も行う。

 エリソン氏は「レッドハットを殺すことはないが、競争は高まるだろう。オラクルが狙っているのは、Linuxの採用の加速だ。Linux市場の細分化は避けないといけない」と話した。

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(@IT 垣内郁栄)

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