Adobe MAX 2006開催

LiveCycleはOffice文書やCADにも対応し情報保護

2006/10/27

 Adobe MAX 2006のプレスミーティングにおいて、文書のポリシー管理を実現するAdobe LiveCycle Policy Serverが、次期バージョンのLiveCycle Policy Server 7.2でサポート範囲をPDFのみからMicrosoft Office文書やCADデータにまで拡大する予定であることが語られた。

 LiveCycle Policy Server(以下、Policy Server)は、情報の保護を目的としたツールだ。作成した文書をユーザー単位またはグループ単位のポリシーに応じてドキュメントの閲覧に制限を設け、オフィスなどで作成されたドキュメントの知財管理を実現する。

 Policy Serverは、ポリシーで許可されたユーザー(グループ)にしか文書が閲覧できないアクセスコントロールを提供する。文書は256ビットの暗号技術で暗号化されるため、許可されたユーザーだけがそれを復号化して閲覧することが可能だ。また、アクセスコントロールは閲覧のみならず、ファイルのコピーや印刷の可否にまで細かくコントロールすることができる。ところでこのポリシーコントロールはPolicy Serverにネットワーク経由で接続された環境のみで可能だ。サーバに接続できないオフライン環境においては、一定期間を過ぎると電子文書にアクセスできなくするといった保護機能を付与することで情報の保護を行う。

 また、文書に対する監査を行うこともできる。該当文書を閲覧したユーザーや、権限を持たずして閲覧しようとしたユーザーのトラッキングを行うことができる。

 今回、Microsoft Office文書に対応することで、従来までWordやExcelのユーザーはPolicy Serverを利用するために文書をPDFに毎回コンバートする必要があったが、それが不要になる。さらに、サポートの範囲はCADソフトのCATIAのフォーマットにも拡げるという。これは製造業でのライツマネジメントの高いニーズに応えたものだという。実際、中国の自動車メーカーの小型車がドイツのある自動車メーカーの小型車にデザインが極めて似ているため、ドアをはずして付け替えたところそのままドイツ車に取り付けることができ他事例があったという。デザインの模倣ではなく設計情報をそのまま流用したことは明らかであり、ドイツ車メーカーのアウトソース先から情報がもれた可能性が高いという。

 外部のパートナーに製造の一部をアウトソースする自動車や航空といった製造業では、CADデータによる設計情報を渡してしまうため、情報の保護機能は失われてしまう。いったん手を離れたCADデータの知財権を保護することは通常難しいが、Policy Serverは外注に渡ったCADデータの情報保護と監査(トラッキング)を可能にする。

 米国でのPolicy Serverのニーズは、ファイナンシャルサービスなどの政府規制を遵守する必要のある業界で高いという。また、ヘルスケア業界でも、政府規制を遵守した業務を遂行するために採用されているという。また、特異な例では、大勢のクリエイターが作業に参加するアニメーション映画の制作現場において脚本のプロテクションに用いている例もあるという。

 Policy Serverの将来について、現在WordとExcelのみのサポートをPowerPointに拡げ、CADソフトもAutoCadに対応する予定だという。また、現在ファイルの変更、コピーの可否、印刷の可否、オフラインでの情報保護、ウォーターマークの付与といったアクセシビリティをさらに詳細化し、ユーザーの多様なニーズに応えていくという。

 LiveCycle Policy Server 7.2の米国での出荷、および日本語版の出荷時期について明言は避けたが、近い将来確実に出荷される見込みだという。

関連リンク

(ナレッジオンデマンド 宮下知起)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)