MNP申し込み受け付け停止問題
謝罪するSBモバイル孫社長、料金再値下げも発表
2006/10/30
ソフトバンクモバイルは10月30日夕方、東京都内で記者会見を行い、先週末に発生した同社のMNP(Mobile Number Portability)関連システムトラブルについて説明した。代表執行役社長兼CEO 孫正義氏は「ユーザー、そしてほかの携帯通信事業者に迷惑をかけた」と謝罪した。
同社によると、今回の問題は、基本的にはほかの事業者への転出に関するシステムの処理能力不足が原因。
MNPでは、ユーザーが別事業者に移る際、まず転出元の携帯通信事業者に解約の申し込みをし、予約番号を受け取って転出先の事業者に契約を申し込む。すると転出先の事業者は転出元の事業者に対し、そのユーザーが実際に解約したかを予約番号に基づいてシステム経由で確認する。この際に、転出元は転出先のリクエスト後120秒以内に返答を返す取り決めになっているという。
先週末の同社では、システムの処理能力不足からこの「120秒ルール」を守れず、数度のリトライを受けた後も返答を返せずにエラーとなるケースが続出、ほかの事業者からMNPに関するシステム上のやり取りを「いったん打ち切りたいという申し出があった」(孫氏)。このために申し込み受付を中断することになったという。
28日に発生した処理能力不足については、新規契約やプラン変更も含め、「すべての申し込みがたくさんきた」と孫氏は説明する。家族割対象ユーザーが一度に転出の申し込みに来た際の処理でエラーが大量発生したことも一因という。
この時点ではMNP関連処理は業務システムに組み込まれていた。このため、まず同社では業務システムの設定を変更し、単位時間当たりの処理能力を2倍にした。
その後29日朝に受け付けを再開した際に、処理業務量がさらに増えたため、MNP関連処理に再び遅延が発生。同日正午過ぎにMNP業務のみを停止した。そこで緊急対策として転出については直接MNP処理を行うことにより対処することにし、MNP関連処理を業務システムと切り離す作業を同日夜より実施、ほかの事業者の確認を受けて30日朝の受け付け再開に至ったという。
結局、孫氏はトラブルの主たる原因がユーザーの転出にあったのか転入にあったのかについて語らず、これまでのMNPによる転出数、転入数についても言及を避けた。
「23日に新料金プランを発表してから25日まで受け付けたのは転出のみ。転入は実質上、新料金の発売日である26日以降しか受け付けていない。本来の力を反映した数字は1カ月様子を見なければ分からない。ただし、ゴールドプランの発売以降は入りたい人のほうが多いと私は感じている」(孫氏)。
ソフトバンクモバイルでは、今週末に向けた対応策として、11月1〜5日は新規契約とMNPに関する申し込みのみを受け付けることとし、機種変更は受け付けないという。その代わりに11月末までに機種変更を行うユーザーには500円分のポイントを提供する。
システムが輻輳(ふくそう)した原因の一部に料金体系の難しさもあったという孫氏は、11月10日より他社端末への発信料を時間帯にかかわらず30秒20円に値下げすると発表した。「一番ポピュラーなNTTドコモやauのSSプランの発信料に合わせた」という。さらに、ゴールドプランの前提となる新スーパープラン(端末購入代金支払いの割賦プラン)の期間はこれまで2年のみだったが、同じく11月10日より1年、1.5年も選択できるようにすることを明らかにした。
MNPや日本の携帯通信事業者に関する信頼を失墜させたのではないかという質問に対し、孫氏は謝罪を繰り返しながらも、「われわれが新料金を発表するまで、MNPはあまり盛り上がらないのではないかという声があったのも事実。MNPに貢献している部分がないとお客様はこれだけ来ない」と付け加えた。
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