「愚直に頑張る」と抱負
樋口氏入社でマイクロソフトの何が変わるか
2007/03/05
「愚直に頑張る」。マイクロソフト日本法人の代表執行役兼COOに就任した樋口泰行氏は意気込みをこう語った。アップルコンピュータやコンパックコンピュータ、日本ヒューレット・パッカードでの勤務や、ユーザー企業であったダイエーでの経験など「多面的な経験を役立てられる」とCOO就任に自信を見せる。樋口氏は次期社長就任も有力視される。樋口氏入社でマイクロソフトは変わるのか(参考:樋口泰行氏がMSのCOO就任、「MSの人間力を高める」と抱負)。
樋口氏が会見で強調したのは、パートナーとの協業体制の強化だった。IT業界の現状を「IAサーバが爆発的に売れていて、ローコストで柔軟なシステムを組むという波が強まっている」と分析。その上で、「コミュニケーションによってマイクロソフトの製品や技術を好きになってくれるパートナーやエンジニアを増やすことに注力したい」と語った。逆に言えば、HPやダイエーに在籍していた当時の樋口氏は、マイクロソフトを「顔が見えない」「パートナー企業とのコラボレーションが足りない」と見ていたの考えられるだろう。
樋口氏がマイクロソフトで担当するのは同社の永遠の課題ともいえる法人向け市場。樋口氏自身が指摘するようにマイクロソフトはWindowsやOfficeなどコンシューマ向けソフトウェアで成功してきた。しかし、同じ製品を大量に販売するコンシューマ向けビジネスと、各企業に合わせてシステムを構築し、信頼性が重視される法人向けビジネスでは「求められる文化が違う」(樋口氏)。
「より密接なパートナーシップを」
マイクロソフトに入社した樋口氏が取り組むのは、この文化の醸成だ。直販比率が多い海外と異なり、日本はパートナー経由の代理店販売が大半。マイクロソフトといえども、パートナーとの協力なしに法人向けビジネスは成り立たない。樋口氏は「パートナーとコラボレーションをして、より密接なパートナーシップを組めるような企業体制が必要だ」と話した。
マイクロソフト米国本社は、HPで蓄積した人脈や、パートナー、エンドユーザーの知己などに期待し、樋口氏を選んだ。ダイエーというユーザー企業にいたことで経験の幅が広がり、「エンタープライズの顧客のニーズを理解している」(ヒューストン氏)との評価につながった。
Dynamicsシリーズの飛躍が第一関門か
樋口氏の注力が先ず求められるのは、マイクロソフト日本法人が昨年投入した中小規模企業向け業務アプリケーションの「Microsoft Dynamics」シリーズだろう。すでにCRMアプリケーションを出荷開始し、今春にはERPアプリケーション「Microsoft Dynamics AX」の投入も予定している。マイクロソフトは中小規模企業の市場を成長市場と位置付けるだけに失敗は許されない。
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