手が疲れないのか
MS「ハイテクテーブル」の“ゴリラ腕問題”
2007/05/31
米マイクロソフトの新しいテーブル型PC「Microsoft Surface」だが、あれはクールだ。一目見たら、コーヒーテーブルとして1つほしくなるくらいだ。たとえ、LinuxではなくWindows Vistaを搭載しているにせよだ。
だが、おそらく私がこれを買うことは決してないだろう。実際のところ、私には、このテーブル型PCがコンシューマ向けの第2世代が提供されるほど十分に成功するかどうかすら疑問だ。ほら、だって、Surfaceのタッチパネルは複数のユーザーが同時に操作できるということだけれど、そういうアイデアはかなり昔からあるし、それに、結構問題のあるアイデアだから。
30年以上の歴史があるタッチスクリーン
タッチスクリーンは1974年以来、存在している。当時、今日のElo Touchsystemsの前身であるElographicsと、その創業者のサム・ハースト博士が初めて真のタッチスクリーンを開発した。レストランのレジやバーのポーカーマシンなど、業種特化型のキオスクコンピュータ業界に関わっている人でもなければ、多分、ハースト博士やEloについては聞いたこともないだろう。
それには理由がある。タッチスクリーンの支持者たちは、かれこれ30年以上もの間、タッチ式のコンピュータ操作の方が簡単で自然だと言い続けてはいるものの、実際のところ、タッチスクリーンは簡単でもなければ、自然でもない。これら2点のいずれか一方でも本当であれば、今ごろは皆、タッチスクリーンを使っていただろう。だか現実には、使っていない。
まず最初の問題は、人間工学的にいって、大きなタッチスクリーンでは腕が疲れるということだ。そのため「ゴリラ腕」と呼ばれる現象が起きる。これまでゴリラ腕については、「タッチスクリーンをしばらく使うとゴリラのような姿勢になること」と説明されてきたが、私は常日頃、本当は、腕がゴリラに引っ張られているように感じるからではないかと思ってきた。とにかく、どういうことかはお分かりいただけるだろう。小さなタッチスクリーンであれば、手首と指しか使わないから問題ないかもしれないが、肩やひじを使い始めると、腕の疲労はすぐに始まる。
では実際、大きなタッチスクリーンはどこで使われるだろう? 数分おきに数秒間使われるインターフェイス機器であるのならば、例えば、 Surfaceは携帯電話データのインターフェイスとして使えるのではないだろうか。それならば、うまくいくかもしれない。だが、コンシューマ向けのデバイスとなると……。うーむ、私には、うまくいくとは思えない。
トップクラスのクリーニング製品が必要
タッチスクリーンは、ビジネスシーンでも、また別の問題がある。汚れや傷があると、タッチスクリーン上での作業が厄介になることだ。どんなタッチスクリーンであれ、正確に動作するためには、常にきれいにしておく必要がある。
タッチスクリーンの登場以来、この問題は周知のことだ。例えば、私はタッチスクリーンのリセラー数社から、顧客にはトップクラスのディスプレイクリーニング製品Klear Screenを使用してデバイスを掃除するよう奨励しているという話を聞いたことがある。なぜか? なぜなら、Klear Screenを使えば、ディスプレイのタッチセンサーの性能を損なわずに、油やほこりを取り除けるからだ。
ユーザーインターフェイスを専門とするSynapticsなど、ベンダ各社がより丈夫な新しいディスプレイ技術の開発に取り組んでいる。例えば、SynapticsのClearPad技術は薄くて高解像度の静電容量型のタッチスクリーンで、強度にも優れている。だが残念ながら、この技術はいまのところ、次世代携帯電話Onyxのコンセプトモデルでしか提供されていない。
コーラ缶、スニッカーズが置かれたら……
Surfaceの問題は、大型のフラットディスプレイに共通するこうした一般的な問題点に留まらない。何が起こりそうかは容易に想像できるだろう。そう、誰かがSurfaceの上にコカコーラの缶やコーヒーカップ、あるいはその両方を置くかもしれない。あるいは、スニッカーズのようなチョコレートバーが置かれたらどうなるだろう?
スニッカーズはすぐに撤去するにしても、Surfaceのディスプレイはそういったスナック類で早晩ベト付き始めるだろう。そして当然、中には、マウンテンデューの缶を無造作に置いたりする人も出てくるだろう。となれば、どうなることやら……。こうしたタッチ式のコンピュータがどれだけ炭酸飲料に耐えられるかだ。
(eWEEK Steven J. Vaughan-Nichols)
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