モバイルビジネス研究会報告書を受けて
1円ケータイ排除で「負のスパイラル」――KDDI社長
2007/09/19
KDDIの代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は9月19日の会見で、総務省のモバイルビジネス研究会がまとめた報告書について「販売奨励金がなくなることは販売店やメーカーにとっては死活問題。販売店の閉鎖につながり、顧客満足の低下を招く。この負のスパイラルは絶対に避けないといけない」と語った。
報告書は1円ケータイに代表される低価格な携帯電話販売の原資となっている通信事業者の販売奨励金の問題点を指摘し、ユーザーが何に対して料金を支払っているかが分かる「分離プラン」の導入を提言している。同研究会は2008年度中の分離プランの導入を通信事業者に求めている。ユーザーが混乱しないよう通信事業者が統一的に分離プランを導入する必要があるとして、「行政当局による政策方針の明確化(行政指導)などを契機として各事業者が実施することにより、円滑な導入が可能になる」としている。
「分離プランの導入はあくまで事業者の自主的な判断」が報告書の建前だが、行政指導にも言及する強い姿勢は通信事業者にとっては圧力になるだろう。各通信事業者は来春にも分離プランを組み込んだ新しい料金プランを導入するとの見方もある。
小野寺氏は「エンドユーザーを見ながら使いやすい料金体系を作ってきた。端末の問題だけを取り上げるのはいかがなものか。官主導で料金体系を決めていくのは違和感がある」と報告書を批判。販売奨励金がなくなることで携帯電話端末の価格が上昇、販売台数が減少して販売店も減少、結果として顧客へのサービスが低下するという“負のスパイラル”が起きるとの見方を示した。そのうえで「(通信事業者が)別の形で資金を出すか、端末販売の手取りが増えるようにしないといけないだろう」と説明し、ビジネスモデルの転換を示唆した。
また、WiMAX事業に向けたKDDI連合を昨日発表(参考記事)した2.5GHz帯の免許交付については改めて「KDDIは最初から本気でWiMAXをやってきた。(連合に加わった)インテル、JR東日本もKDDIが一番可能性があり、本気であると評価してくれたと思う」と訴えた。技術力や資金力でも問題ないとして「いまの時点では弱みはない」と強調した。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|