Weekly Top 10

デスクトップPCで非ゲームのGPU利用はいかが

2008/07/28

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は「日本IBM、“Yamato Lab”を訪ねて」だった。大和研究所といえばPCユーザーの間ではThinkPadシリーズを生み出した研究所としてよく知られている。グローバル化に伴って徐々に役割が変わりつつあるようだ。

NewsInsight Weekly Top 10
(2008年7月21日〜7月27日)
1位 日本IBM、“Yamato Lab”を訪ねて
2位 求められるのは、上流工程で活躍するDBエンジニア
3位 「GPGPUを身近にしたTeslaは8086登場に匹敵する革命」、NVIDIA
4位 iPhone-Google-マルチコア
5位 MSが長音付けルール変更、「ドライバ」を「ドライバー」に
6位 SAP ERPを3000万円台で提供 「1億円でも厳しい」の声を受け
7位 DNSサーバの脆弱性、「パッチの即時適用」を改めて呼び掛け
8位 NEC、幅93ミリのスリムな水冷サーバ出荷開始
9位 仕事の満足度は低下している――労働経済白書
10位 商品点数1500万、「Yahoo!ショッピング」もAPI公開

 記者が先週気になったのは3位に入った「「GPGPUを身近にしたTeslaは8086登場に匹敵する革命」、NVIDIA」というニュースだ。GPUを使ったHPCは、NVIDIAだけでなくAMD(ATI)やインテルも取り組んでいて、今後大きなトレンドになりそうだが、今のところ先頭を走っているのはNVIDIAだ。ユーザー事例やGPUを使ったソリューションを紹介するWebサイト「CUDA Zone」を見ていると、ある種の計算処理におけるGPUの威力がハッキリ分かる。軒並みCPU利用時の数十倍に高速化しているのだ。いくらクラウドコンピューティングだグリッドだと言っても、CPUと比較したときのコストパフォーマンスの違いは大きい。

 今後も「GPU+CPU」という異なるアーキテクチャのプロセッサを混在させたサーバ、クラスタの利用事例は増えていくだろう。

 ところで、HPC分野での利用と同時に、デスクトップPCでもGPUが見直されるようになるのではないかという気がしている。ちょうどある時期、浮動小数点ユニットを「コプロセッサ」という形でCPUと別のソケットに装着したりしていたのと同様に、今後、PCにGPUを搭載するケースが増えてくるのではないか。今でもすでにGPUを搭載するノートPCなどがあるが、主にゲーム用途で使われるばかりで、その能力はCPU以上に眠ったままだ。

 例えば3次元デスクトップ環境の「Compiz Fusion」を使うと、GPUの圧倒的な処理能力に改めて気付く。初めてCompiz Fusionを触ったときに記者は、自分のノートPCであるのにあまりの処理能力の高さに驚いてしまった。今どきのゲームからすれば、実はたいしたグラフィック処理ではないから本当は驚くに当たらないのかもしれないが、これは裏を返していえば、いかに今のOSやアプリケーションがGPUを使っていなくて宝の持ち腐れになっているかということだろう。Windows Vistaは画面の表現として3次元グラフィックも取り入れているが、あくまで表現手法としてだけだ。

 Compiz Fusionのような3次元デスクトップに対して、「見栄えだけの役立たず」という冷めた見方もある。確かにたぶんに実験的で無駄に派手なだけという面があるのは事実だ。しかし、もしかすると単にまだわれわれが3次元UIとはどういうものなのかを知らないだけで、うまく使えば優れたUIができる可能性はあるだろう。

 デスクトップPCでは動画やオーディオなどマルチメディア系のデータを扱うことも多いが、こうしたデータの処理でもGPUが威力を発揮するはずだ。記者はデジカメ写真のRAWデータをJPEGに変換するという処理をよく行うが、これは非常に重たい計算処理で、2コアを並列に走らせても10枚処理するのに5分ぐらいかかる。こうしたケースでもGPUが活用できそうだ。

 これまでGPUはグラフィック処理に特化してきて、GPUを利用するアプリケーションもゲームやCADなどグラフィック関連に限られてきた。そうではなく、GPUをCPUを補完する汎用の並列計算処理ユニットとして考えてみれば、案外いろいろな場所で活用することができるのではないだろうか。

(@IT 西村賢)

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