Weekly Top 10

【ランキング】自宅にテレビ電話がほしい

2008/10/27

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は「MS、無償のレポート作成ツール発表」だった。同社はSQL Server 2008と連携して、経営データなどからグラフィカルなレポートを作成する「Report Builder 2.0」の日本語版を無償提供していく。一般ユーザー向けのBIツールとして、次期バージョンのSQL Server 2009にもつながるものだ。

NewsInsight Weekly Top 10
(2008年10月20日〜10月26日)
1位 MS、無償のレポート作成ツール発表
2位 1MbpsでフルHD映像の低価格テレビ会議システム
3位 Androidのソースコードを公開、グーグル
4位 NTTデータ、Ajax利用の“サジェスト”エンジン販売開始
5位 IPA、IT人材を「3つの人材類型」と「6つの人材像」に定義
6位 Skypeクレジットがコンビニ販売開始
7位 技術者視点で見る「クラウド」
8位 オムツも翌日届けます、楽天が新サービス「あす楽」
9位 iPhone App Store対抗のAndroid Marketが正式オープン
10位 MCP試験に「合格すると2度目は25%オフ」と「学割」が追加

 先週記者が個人的に気になったのは「1MbpsでフルHD映像の低価格テレビ会議システム」という発表だ。日立ハイテクノロジーズが国内販売を行う米ライフサイズ・コミュニケーションズのソリューション「LifeSize」は、特に中小企業向けとして大きな市場があるように思われたのだが、それ以上に、もしかするといずれコンシューマ市場に降りてくるかもしれないと期待させる何かがあった。

 同社共同創業者でCEOのクレイグ・マロイ氏は、低価格のHDビデオ・コミュニケーションツールが今後は在宅勤務者や、一般コンシューマにも広がっていくだろうという将来のビジョンを語った。

 誰もが映像でコミュニケーションする未来というのは、ありきたりで語り尽くされたビジョンだ。「これが未来です」と美人コンパニオンに何度説明を受けても何となく信じる気になれない。もはやパスト・フューチャーの類だ。21世紀になってもクルマは相変わらず空を飛んでいないし、自動ドアは相変わらずゆっくり開く。それと同じで、寝ぼけまなこでテレビ電話に応答するなんて陳腐なSF映画の演出でしかない。

 だから、これから映像コミュニケーションが広まるぞ、といっても、人によっては「永遠にテレビ電話なんて普及するわけがない。現にそれらしきものが登場してもう何年も経つのに、誰も使ってないじゃないか」と反論するかもしれない。

 しかし、普及を阻害してきた要因は消えつつあるように思える。これまで課題だったのは価格と使いやすさ、相互接続性といった問題で、どれも本質的ではない。本当に簡単にテレビのリモコン操作だけで遠隔地の2つの部屋を結ぶようなことができれば、多くの人が歓迎するのではないかと思う。見ていなくてもテレビを付けっぱなしにするのと同じ感覚で、離れた場所に住む家族間をつなげて家族団らんの食事ということもできるだろう。

 先日、父にVistaの入ったパソコンをプレゼントしたときに、こっそりとSkypeクライアントを入れておいた。双方にWebカメラが付いているので、孫の顔を簡単に見せられていいだろうと思ったのだ。ただ、いきなりレクチャーもせずにSkypeを使えというのは少し無理があったようで、いまだにこれは実現していない。もしこれがリモコンでテレビのチャンネルを切り替えるような操作だったら、と思う。ライフサイズ・コミュニケーションズのシステムはデモンストレーションを見た限りでは、この点でも十分に使い勝手の課題をクリアしているように見えた。登録済みの相手先をリモコンで選ぶだけでつながる。

 HD映像と大画面テレビを組み合わせると、本当に画面の中の人が、そこにいるかのような錯覚を起こす。大きなディスプレイを組み合わせれば、実際の行き来こそできないものの、遠く離れた2つの部屋を仮想的につなげてしまうようなこともできる。記者は以前、日本ヒューレット・パッカードが2006年に発表した「HP Halo Collaboration Studio」を体験したことがある。50インチのディスプレイ3台に実物大にリアルタイムで映し出される“向こう側”の人々は、本当にテーブルの向こう側にいるとしか思えないほどリアルだった。東京とアメリカの東海岸を結んで会話をしたが、こちらの発言に反応する相手の眉の動きすら分かるというのは、音声通話とはまったく意味が異なるのだと実感した。

 日本HPのソリューションは622Mbpsの回線を占有するという信じられないほど贅沢なシステムだが、ライフサイズ・コミュニケーションズのシステムでは一般的なインターネット回線で1.7Mbspもあれば1080pの30フレームでコミュニケーションができるという。

 場合によっては帯域はもっと少なくていいのかもしれない。なぜわれわれがメールでも電話でもなく実際に誰かに会いに行くのかといえば、それは現実のコミュニケーションがとてつもない広帯域のコミュニケーションだからというのが一般的な見方だと思うが、その「広帯域」というのは実はそれほどの帯域でもないのかもしれない。

 こんな経験がある。映像クオリティはまだ高くなかったものの、記者は昔メッセンジャーを付けっぱなしにして友人らと“オンライン飲み会”をやったことがある。4人が示し合わせた時間にオンラインになり、それぞれの部屋でビールを持ち出して会話するだけなのだが、これが意外に“場”の共有感が高い。おそらく各チャンネルは数百kbpsの下の方という程度だったと思うが、それでも十分に同じ場に居合わせたという感覚があった。むしろ音声が安定していて遅延がないことのほうが重要かもしれない。

 ライフサイズの製品は低価格といっても、今はまだ企業ユーザーが出張経費を削減するには妥当という価格でしかない。しかし、同社によると現在の価格は研究開発費の回収という意味合いが強いという。将来出荷数が増えれば価格は下がる。安くなったチップをテレビに組み込めば、後はそのテレビをネットにつなぐだけだ。

(@IT 西村賢)

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