「情報」と「サービス」を守ることを第一に
シスコ、ユーザーの環境に合わせて制御できるセキュリティ新製品
2012/04/25
シスコシステムズ(以下、シスコ)の最高セキュリティ責任者(CSO)ジョン・スチュアート(John N. Stewart)氏は、4月24日、シスコのセキュリティおよびモビリティにおける戦略を発表した。今後、シスコは「情報とサービスを守ることを第一に考えたセキュリティソリューション」を提供していくという。
このような戦略を打ち出した背景には、ある事件があったという。それは、iPad 2が発売されたときのことだ。とある会社の幹部が、会社配給ではない自分のデバイス「iPad 2」を会社に持ち込み、使い始めたという。平社員が私用デバイスを持ち込んだのであれば、その社員を会社のルールに従わせればよいだろう。しかし、幹部が使い始めるとなれば、持ち込みを許可しつつセキュリティを強化するという選択肢が生まれる。
私用デバイスの管理をするとなると、誰が、いつ、どこから、何にアクセスしようとしているかを可視化し、アクセスを制限する必要が出てくる。そこでシスコが提案したのは、ユーザーの状態を把握しながら、企業のポリシーに沿った形で制御することのできるセキュリティソリューション「Cisco ASA CX」だ。
Cisco ASA CXは、Cisco ASAを拡張させたもので、Facebook、Google+、LinkedIn、Twitter、iTunesなど、1000種類以上のアプリケーションを識別できる。また、これらのアプリケーション内にある7万5000以上のさらに細かいアプリケーションをカテゴリごとに分類し、管理者がアクセスを制御することが可能である。
この製品の特徴は、個人のデバイスに直接セキュリティをかけてサイトへのアクセスを一律に禁止するのではないという点だ。各々のネットワークにおけるセキュリティポリシーに従って、管理できるのである。
例えば、自分のスマートフォンでアダルトサイトを閲覧するとしよう。もし、アダルトサイトが会社のセキュリティポリシーに反しているならば、社内のネットワークからのアクセスは拒否される。しかし、個人のデバイスに対して一律にセキュリティを適応しているわけではないため、休日に自分の家のネットワークからアクセスしようと思えば、閲覧できるというわけだ。ユーザーのそのときどきの状態にあわせたフレキシブルなセキュリティ環境が構築できることが、Cisco ASA CXの最大の特徴である。
スチュアート氏は、イベントの終わりに「将来は、ネットワーク上のすべてにセキュリティを適応しなければならなくなる。これは、シスコ社員だからいうのではない。心からそう思う」と締めくくった。
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