プラットフォームやデバイスにまたがるライセンスを用意
脆弱性攻撃の防止機能も、カスペルスキーがセキュリティソフト新版
2012/09/12
カスペルスキーは9月10日、コンシューマー向けセキュリティ対策ソフトの新版「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」を発表した。デバイスやプラットフォームの多様化を背景に、WindowsやMacintosh、Androidなど、1人のユーザーが利用する端末何台にでも導入できる新しいライセンス「プライベート版」も用意することが特徴だ。10月11日に販売を開始する。
カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティには、Windows向けの「カスペルスキー インターネット セキュリティ」、Mac用の「カスペルスキー セキュリティ for Mac」、Android搭載端末向けの「カスペルスキー モバイル セキュリティ」「カスペルスキー タブレット セキュリティ」が含まれている。同社の調査によると、この1年でAndroidやMac OS Xを狙うマルウェアが激増しており、日本での感染も確認されている。こうした中、プラットフォームに依存しないライセンスを提供することで、ユーザーに安心を提供したいという。
「保護する対象は、機器ではなく人と、それに紐付いたデータや情報だ」と同社 代表取締役社長の川合林太郎氏は述べ、デバイスやプラットフォームに依存しないセキュリティを提供していくとした。
Windows向けのカスペルスキー インターネット セキュリティは、Windows 8対応を図ったほか、「ネット決済保護」「脆弱性攻撃ブロック」といった新機能を追加した。
ネット決済保護は、主にマルウェアなどによる中間者攻撃から、IDやパスワードなどの個人情報を守るための機能だ。URLや証明書情報の確認によって接続先Webサイトの安全性をチェックするほか、重要な情報を入力するシーンでは、ほかのプロセスからのアクセスを拒否する特別なモードでブラウザを立ち上げてデータを保護する。この際、キーロガーによる情報漏えいを防ぐソフトウェアキーボード機能を併用することも可能だ。
脆弱性攻撃ブロック機能は、Adobe ReaderやInternet Explorer、Microsoft Officeといった、ひんぱんに狙われるアプリケーションの挙動を監視し、不審な実行ファイルを起動しようとした場合には、追加のセキュリティチェックを実行する仕組みだ。シグネチャに基づいてマルウェアを検出するのではなく、アプリケーションの挙動を監視してマルウェアによる攻撃を検出する。また、Windows Vista以降で採用されたASLR(Address Space Layout Randomization)を拡大適用する「Forced ASLR」によって、脆弱性を狙う悪意あるコードの動きを食い止めることもする。
Mac OS X上で動作するカスペルスキー セキュリティ for Macには、ウイルス対策に加え、フィッシングサイト/悪意あるWebサイトからの保護機能やソフトウェアキーボード、保護者による管理機能などが追加されている。
パッケージ版の価格は、1年プライベート版が7140円、3年プライベート版が1万1340円。従来からあった、デバイス3台まで利用できる「3台版」ライセンスも同様だ。
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