[Analysis]
日本版SOX法への対応期間が1年しかなくなる!?
2006/06/13
6月7日、ついに日本版SOX法を含む「金融商品取引法案」が参議院本会議を通過して成立した(関連記事)。一方、当初法案成立直後に公開予定だった日本版SOX法のガイドラインである実施基準の策定が大幅に遅れており、企業やベンダ各社は対応に追われそうだ。
ガイドラインは金融庁の企業会計審議会内部統制部会が策定を進めており、部会長は八田進二氏(青山学院大学大学院教授)が務めている。同部会は2005年12月にガイドラインの原案となる「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準案」を発表。現在は内部統制の構築や評価、監査のガイドラインとなる実施基準を策定しているさなかだ。当初の予定では、法案成立直後に公開予定だったが作業は大幅に遅れており、八田氏は「秋口以降になる」と見通しを述べた。
作業が遅れている原因には、法案の成立が予定よりも遅れたことや、作業部会内でも内容についてのコメントが噴出しているからだという。また、ある専門家は「IT統制にかかわる部分について、公認会計士が言葉を理解できない部分を書き直しているほか、業務停止処分が下された中央青山監査法人の問題も関係あるのではないか」と推測している。
コメントが噴出していることから実施基準の草案を公開し、パブリックコメントを募集する案も浮上している。7月に草案を公開し、30〜45日間の意見募集期間を経て、内容を確定するというものだ。これにより、一般企業からの声も反映させたいという。パブリックコメントの募集を実施した場合、ガイドラインの確定は早くて10月、年内ギリギリまで延びる可能性もある。
従って、パブリックコメントの募集が実施され、ガイドラインの確定が遅れた場合、企業の対応期間が大幅に削られることになる。ガイドラインの草案を基に対応を始めた場合で約1年8カ月、年末まで確定が延びた場合には約1年4カ月程度しかない。この状況は、「ガイドラインが確定してから、ガイドラインに準拠した製品を出荷しよう」と考えているベンダ各社も同様だ。
法案成立後にガイドラインに沿った製品の出荷を目指していたベンダは、7月の草案公開まで待ち、“草案に準拠した製品”を出荷するか、もしくはガイドラインが確定するまで待つしかないだろう。企業やベンダは、多少修正されるのを覚悟して草案に基づいた対応を行うか、時間に追われるのを覚悟してガイドラインが確定するまで待つかの二択を迫られそうだ。
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