“日本版SOX法”成立、実施基準の確定は「秋口以降」に

2006/6/8

 財務報告の適正性を確保するため、上場企業に対して内部統制の構築を義務付ける内容を含む金融商品取引法(いわゆる日本版SOX法)が6月7日、参院本会議で可決、成立した。同日、日本ユニシスのイベントで講演した金融庁の企業会計審議会内部統制部会 部会長の八田進二氏(青山学院大学大学院教授)は、「内部統制の制度化ではなく、実際の制度が始まる」と語り、企業に対して対応を呼びかけた。

 同部会は2005年12月に「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準案」を発表。現在は内部統制の構築、評価、監査のガイドラインとなる実施基準を策定している。当初は金融商品取引法の成立直後にも実施基準を公表すると見られていたが、その作業は大幅に遅れているようだ。八田氏は「秋口以降になる」との見通しを述べた。

 実施基準の草案を公開し、一般から意見を求める案も浮上している。公開草案を出す場合は7月中が有力。30〜45日間のパブリックコメント募集期間を経て、内容を確定する。最終確定は10月以降になると見られる。実施基準の確定が遅れているのは、金融商品取引法の成立が当初の予定よりも若干遅れたことと、策定作業を行っている作業部会内で内容についてのコメントが噴出しているからだ。その取りまとめに時間がかかっていると見られる。

 日本版SOX法への対応が求められる上場企業の多くは、実施基準の内容を確認して具体的な対応を始める計画だ。そのため実施基準の確定が仮に2006年末までずれ込むと、対応スケジュールは大幅に遅れる。日本版SOX法が適用されるのは2008年4月1日からの事業年度。2006年末に対応を始めると準備期間は1年強しかない。実施基準の公開草案が7月に公表された場合はその内容を参考に対応を始められるが、公開草案の発表がない場合、企業は見切り発車せざるを得ないかもしれない。

(@IT 垣内郁栄)

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金融庁の発表資料

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