[Analysis]
巨大セキュリティベンダ「マイクロソフト」
2006/09/26
一般コンシューマをターゲットにしたセキュリティソフトウェアの2007年度版が出そろった。トレンドマイクロ、シマンテック、マカフィーなど同市場でシェアを持つベンダが相次ぎ、新製品を発表した。それぞれ機能を向上させたり、操作性を高めているが、「マイクロソフト」という名の新たなライバルの登場が、セキュリティ専門ベンダを脅かしている。
マイクロソフトは次期OS「Windows Vista」に複数のセキュリティ機能を盛り込む計画だ。スパイウェア対策ソフトウェアの「Windows Defender」を統合するのをはじめ、「Windows BitLocker」によるハードディスクドライブの保護、「Internet Explorer 7」に組み込まれるマルウェア対策、Windowsファイアウォールの強化などだ。マイクロソフトは過去にセキュリティの脆弱性を指摘されたことから、Windows Vistaではアーキテクチャの大幅変更を含めてセキュリティを強化してきた。Windows Vistaは「Windows史上最強」のセキュリティをうたう。
しかし、OSのセキュリティ機能強化は、セキュリティ専業ベンダにとって自らのビジネスの縮小を意味するともいえる。米マイクロソフトはウイルス対策やスパイウェア対策、バックアップなどを提供する会員制のセキュリティサービス「Windows Live OneCare」も開始していて、そこにセキュリティ専業ベンダとの住み分けはない。いわばマイクロソフト自身が巨大なユーザーベースを持つセキュリティベンダに生まれ変わったともいえる。
2007年度版製品を発表したセキュリティ専業ベンダ各社の戦略は、ユーザーの利用動向を捉えた機能強化と、使い勝手の向上。機能強化ではフィッシング詐欺対策やパスワードの保護、ルートキット対策など、Webサイトを利用するユーザーの行動すべてを保護する方針を強く打ち出している。使い勝手のよさではインターフェイスを見直し、ユーザーの操作性を向上させる改善が目立つ。インターネット上のサービスと連携し、サポートなどでより高度なサービスを提供するベンダもある。
セキュリティ専業ベンダはこれまで、セキュリティソフトウェアを利用していないユーザー層をターゲットに市場を広げてきた。しかし、Windows Vistaがセキュリティ機能を標準搭載することで市場はどう動くのか。各社は戦略を練りつつ見守っている。
新ノートンのウイルススキャンはPCを遅くしない? シマンテックが新製品 Google検索結果でWebサイトの危険性が分かる、マカフィーが新製品に実装 「ウイルスバスター 2007」発表、ネット経由で「進化し続ける」 外部の脅威対策から内部の脅威対策へ、Vistaのセキュリティ機能
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