[Analysis]
メディアの悪い癖
2006/11/20
@ITNewsInsightも過去に掲載してきたが、「今年のキーワード」や「今年のトピックス ベスト10」を年末近くに掲載して、1年を振り返ったり、まとめたりするのは、メディアの悪い癖だ。ビジネスや技術の現場では「2006年」や「ベスト10」は大きな意味は持たない。それでも1年間の大きな流れをとらえておかないと落ち着かないのはメディアの性(さが)か。
Web 2.0関連の技術、サービスなど、大きな流れに沿って生まれてくる現象の分析は比較的容易だ。しかし、本当に面白いのは因果関係なく、突発的に生まれる現象だ。なぜ生まれたのか、どういう影響があるのか分からないが、注目を集める現象。突発的な現象をどうとらえて、マッピングするのか、ITビジネスの難しさだろう。
「ずっと前から注目していた!」というご指摘もあるだろうが、記者にとってはSaaS(Software as a Service)の盛り上がりは突発的だった。特にエンタープライズ・アプリケーションでのSaaSの展開は目を見張るものがある。オラクルやSAPなどサーバ型アプリケーションを展開してきた企業がSaaSを本格的に国内で開始したのが新鮮だった。SaaSはもはやニッチではない。
SAPの「アップグレードしません宣言」も業界の常識を打ち破った点で注目される。進化=価値が常識のIT業界で、進化をしないと自ら宣言した形とも言え、さまざまな憶測を呼んだ。競合ベンダに攻撃の口実を与えたともいえるが、SAPの顧客はどう受け止めるのか。ぜひ話を聞いてみたいと思う。
金融商品取引法成立による「日本版SOX法」の来襲はITベンダやコンサルティングファームにとっては予想の範囲内だったろうが、一般企業にとってはどうだろうか。特に業務プロセスごとにそのリスクとコントロールを明記する内部統制の考え方は多くの日本企業にはなかった発想だ。ITシステムだけでなく、企業のビジネス全体に予想できない影響を与えるのではないか。
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