[コラム:Spencer F. Katt]
犯罪と訴訟とダイエット

2003/9/17


 お気に入りのドリトスをバリバリとむさぼりながら、吾輩はSF映画『ソイレント・グリーン』()のDVDをプレーヤーに挿入した。ソイレント・グリーンにもマヨネーズ味とかあったのかな? 最近ますますダイエットの必要性に迫られる身でありながら、性懲りもなくそんなことを考えた。

 いずれにしても、アマゾン・ドットコムがテニス界の美少女アンナ・クルニコワの「マルチウェイ・スポーツ・ブラ」をオンライン独占販売する権利を得た、とはしゃいでいることを思い出し、「ま、余計な脂肪はテニスで落とそう」と心に決めた吾輩であった……。

 アマゾン・ドットコムに関しては、先週、このほかにもDカップ級のニュースがいくつかあった。その1つは、米特許商標局がアマゾンのオーダー・フォームの設定方法に特許を与えたことだ。こうなると、もうなんでもありだな。ひょっとするとベゾスは、この次、下着の基本コンセプトで特許を申請するかもしれないね。

 さて、テレビの中でチャールトン・ヘストンが人類の暗澹たる運命と対峙したとき、吾輩は自宅にインストールしたWi-Fiホットスポットを利用し、ラップトップで電子メールをチェックした。ところが、メールボックスをスクロールしていると、そこはハイテク・フォーラムというより、むしろ警察の事件簿のような様相を呈していた。

 ある情報屋からのメールによると、CERTのインターネット・アナリスト、イアン・フィンレイが未成年者を誘惑した軽微な性犯罪未遂容疑で逮捕されたそうだ。若い女性を狙う性犯罪者を摘発するために、少女を装うトレーニングを受けた女性警察官が、ネット上でフィンレイを発見したという。15歳の少女になりすました女性警官は、6週間にわたってフィンレイとチャットを繰り返し、ピッツバーグ近くのファストフード・レストランで落ち合う約束をした。彼はそこで逮捕されたのだ。

 MSBlastやSoBigも、このアナリストを忙殺させるには十分じゃなかったってことか……。

 それはさておき、8月26日のコラム「今度はSCOとLinuxユーザー企業のバトル?」で、怒り心頭のLinuxユーザーがSCOを提訴する構えを見せているとお伝えしたが、そのとき吾輩は同じような糾弾訴訟が流行するとは思ってもみなかった。先週、衛星放送を傍受できる機材を購入したらディレクTVから料金を支払うように脅されたとして、一部の人々が同社を提訴したのだ。

 一方、AT&Tも先週、MCI/ワールドコムを相手取り、国内通話をカナダにリルートし、料金の支払いを逃れ、不正に利益を得ようとしたことは、RICO法(恐喝や組織犯罪を取り締まる法律)に違反するとして、損害賠償を請求する訴訟を起こした。それにしてもMCIのCEO、マイケル・カペラスはトラブルが好きだな。

 DVDプレーヤーのスイッチを切ったあと、吾輩はアトキンス・ダイエット(炭水化物の摂取量を減らすダイエット法)のことを考えながら、セールスフォース・ドットコムから送られてきた郵便物を開いた。それは、あたかもダライ・ラマがCRMに関心を持っているかのように暗示した広告キャンペーンに関する同社CEO、マーク・ベニオフからの謝罪文だった。手紙には、法王を描いたプロモーション・ポスターの回収協力へのお願いとともに、「あなたが適切だと思う方法で、謝罪文の内容をほかのユーザーにも伝えていただければ幸いです」と書かれてあった。

 どうでもいいけど、ソイレント・グリーンって、炭水化物なんだろうか……?

【編集局 注】
ソイレント・グリーン:マイケル・ムーア監督の『ボーリング・フォー・コロンバイン』で“アメリカの正義”を全世界に喧伝(けんでん)してしまった元全米ライフル協会(NRA)会長で、『猿の惑星』『ベン・ハー』の名優としても知られるチャールトン・ヘストン主演の傑作SFホラー映画。人口増加と環境汚染によって食料危機に陥った2022年のニューヨーク。ソイレント社が開発した合成食品で問題は解決に向うはずだった。しかし、その背後にはトンデモナイ秘密が隠されていたのだった。原作はハーラン・エリスンの『人間がいっぱい』。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
A steady diet of crime.

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