[コラム:Spencer F. Katt]
レーガンも驚くデジタル・デタント

2004/8/31


 吾輩のオフィスは、アテネ・オリンピックのアーチェリー会場のスタンドより閑散としていた。みんな吾輩の出張と重ならないように休暇を取っているように見えるのは、単なる偶然だろうか……?

 いずれにしても、オフィスに誰もいないときに実行することは1つ。吾輩はオフィス用品を片っ端からポケットに放り込んだ。そしてホッチキスを物色しているとき、ある情報屋から聞いた話をふと思い出した。サンジェイ・クマーがコンピュータ・アソシエイツを退社した直後、彼のオフィスにあったものはすべてトラックに詰め込まれ、自宅へ送り届けられたという。その中には、イタリア製の高級チーク家具なども含まれていたそうだ。しかし、玄関前に突然トラックの荷物が届き、引っ越し業者が抑揚のない声で「どちらへ運びますか?」と聞いてきたとき、おそらくクマーはムッとしたに違いない。「こういうやり方は正しい送別の方法ではない」と激怒した彼は、荷物をすべてガレージの奥にぶち込んだそうだ。

 床やデスクに固定されていないオフィスの備品はすべて持ち帰るのが、会社を辞める人間の義務だと思っていたけど、違うのかな?

 何本かのテープをジャケットの中に押し込んでいると、宅配便の配達人が小包を持って現れた。彼は「ホールセールのコストコが今度、アウトレットで棺おけの販売を始めるそうですよ」と教えてくれた。「家族が大量死したときは便利かもしれないな」と、吾輩は笑いながら受け取りのサインをした。

 そのとき、ポケットの中でキャットフォンが鳴った。ポストイットのパッケージをかき分け、携帯電話を取り出すと、セキュリティの専門家を自認する友人からだった。声の主は興奮ぎみに、今年3月16日付の本コラム(「昔の名前で……」)で吾輩が予測したマカフィーによるファウンドストン買収が先週、現実のものとなったことを教えてくれた。ネットワーク・アソシエイツから社名を変更したマカフィーは、脆弱性管理会社の買収にポンと8600万ドルを投じたそうだ。

 またその友人によると、NetCracker Technologyが近く、モスクワに本拠を置くAVDというテレコムサービス会社を買収するもよう。ロナルド・レーガンが生きていたら、きっと驚いただろうね。湾岸警備隊をクライアントに持つ米国のインフラ管理プロバイダがロシアの会社と手を組むなんて、冷戦時代には考えられなかったことだ。

 カラーコピー機の寸法を測り、クルマのトランクに積めるかどうか調べているとき、また電話が鳴った。今度は別の友人からの情報提供だ。スパム対策コンサルタント会社のISIPP(Spam and Internet Public Policy)が、「スプーファー(なりすまし)を訴えろ」というキャンペーンを始めるらしい。同社が提供するサービスには、ドメインの商標登録、インターネットでの商標侵害に関する検証や訴訟のアドバイスなどが含まれるという。詳細は、http://www.1000papercuts.com/にアクセスせよ、とのこと。なんでも、スプーファーに対しては、“Death by 1000 Papercuts”(じわじわ処刑する)戦略で当たるという。

 レターサイズの紙の束に埋もれながら、吾輩はつぶやいた。「そりゃ痛そうだな……」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Paper Tiger

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