読者調査結果

@IT読者調査結果:システム管理者編(2)
〜システム管理者のILM興味度は?〜

小柴 豊
アイティメディア 企画部
2005/3/30

 最近の情報システム関連トピックの1つに、“ILM”(Information Lifecycle Management:情報ライフサイクル管理)がある。果たして現代のシステム管理者はどのような業務課題を抱え、ILMにどの程度関心を持っているのだろうか? @ITのシステム管理系3フォーラム(Windows Server InsiderSystem InsiderLinux Square)が合同で実施した読者調査の結果から、その状況を紹介しよう。

システム運用管理業務の強化課題トップは「セキュリティ管理」

 初めに読者がかかわる情報システムにおいて、現在強化が求められている運用管理項目を尋ねた結果が、図1だ。ご覧のとおり「セキュリティ管理」強化の必要性の認識が、ほかを大きく引き離してトップに挙げられた。ここ数年ウイルス感染や情報漏えい事件が相次ぐ中、2005年4月からは個人情報保護法が完全施行されるとあって、読者からは

  • セキュリティが企業活動に与える影響が、これまででは考えられないほど大きくなっている
  • 現在、世の中が非常に敏感で、間違えると風評で企業に大ダメージを与えかねない

といった、センシティブな状況を訴えるコメントが数多く寄せられた。

図1 システム運用管理業務の強化課題 (複数回答 N=278)

データ管理の課題は「安全性確保」と「効率的な管理」の実現

 次に“データ管理業務”に範囲を絞って現在の課題を尋ねたところ、全体の約5割が「電子帳簿法や個人情報保護法に対応したデータ管理の安全性」を挙げる一方、4割強が「重要な(長期保存が必要な)データとそうでないデータの選別」および「データ量の増加に伴う、ストレージ容量の不足」を、それぞれ指摘している(図2)。

 データ管理の安全性確保はセキュリティ強化の要といえるが、かといってすべてのデータを同等に保存していては、あっという間にストレージ容量を食いつぶしてしまう。現在のシステム管理者には、安全で効率的なデータ管理を実現するソリューションが求められているようだ。

図2 業務データ管理上の課題 (複数回答 N=278)
  • 年々データが増大し、廃棄手段は利用者にお願いするしかない。しかし、退職者や移動者などの分は誰も手を付けないのでそのままになってしまっている。(〜読者のコメントより〜)

ILM実現への取り組み状況/興味度は?

 では多くのベンダが提唱するILMは、上記のようなシステム管理者の問題意識にマッチしているのだろうか? ILMに関する下記概要を提示したうえで、読者の取り組み状況/関心度合いを尋ねた結果が、図3だ。

ILM:
情報の生成→利用→保存→廃棄を通じたライフサイクル管理。情報価値に応じて、新規の重要なデータは高性能/高信頼なストレージに、アクセスされなくなったデータはアーカイブ用途のローエンドストレージに、保存/移行する。データの流れをポリシーベースで自動化することで、ストレージ運用管理コストを削減できるといわれている。
図3 ILMへの取り組み状況/興味度 (N=278)

 さすがに「ILMの実現に向けて、システムを整備している/実現済み」との回答は全体の5%にとどまったが、85%は「今後取り組む予定/検討中」または「具体的な予定はないが、興味はある」と答えており、ILMコンセプトに対する潜在的な需要の高まりが感じられる。

ILM実現のポイントとは

 続いて、今後ILMを実現するとしたら読者のかかわるシステムで何を重視するのか、そのポイントを尋ねてみた。最も共通して指摘されたのは「長期保存データの安全性(上書き/消去や改ざん防止)」であり、以下「複数の異種ストレージに保存されたデータの一元管理ができること」「オフィス文書などの非構造化データの価値判断ができること」などが続いている(図4)。

 冒頭から見てきたとおり、システム管理者のセキュリティに関する問題意識は高い。今後ILMが普及するためには、ストレージ管理の効率化にとどまらないデータ保全メリット(コンプライアンス対応など)の明確化が求められるだろう。

図4 ILMシステム構築の重視ポイント (複数回答 N=278)

システム運用管理ツールの利用状況は?

 さて今回の調査では、システム運用管理ツールの利用状況も尋ねているので、最後にその結果を紹介しておこう。まず読者のかかわるシステムで現在使用されている製品を見ると、「日立 JP1」を筆頭に「IBM Tivoli」「富士通 SystemWalker」などの定番ツールが上位に並んでいる(図5 緑棒グラフ)。

 一方、読者が今後導入を予定・検討している製品では、「Microsoft Systems Management Server(SMS)」や「Microsoft Operations Manager(MOM)」といったマイクロソフト製品のポイントも高くなっている(図5 黄棒グラフ)。SMSはパッチ更新などのセキュリティ管理機能を強調しているが、これが運用管理ツール選びの新しい基準となるかどうか、今後注目していきたい。

図5 システム運用管理ツールの利用状況 (N=278)

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調査概要
調査方法 @IT Windows Server Insider/System Insider/Linux SquareフォーラムからリンクしたWebアンケート
調査期間 2004年12月1日〜12月24日
有効回答数 278件


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