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@IT > PDFとXMLの融合によるビジネスプロセス変革 |
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企画:アットマークアイティ営業企画局 制作:アットマークアイティ編集局 掲載内容有効期限 2003年6月13日 |
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PDF(Portable Document Format)を単なる「アウトプットフォーマット」であると思われている方はいないだろうか? 確かに、それはPDFの代表的な用途の1つではある。が、それがすべてではない。 PDF作成・管理ツールであるAdobe Acrobat(以下、Acrobat)は、1999年発売の4.0で、PDF から「電子データ」を取り出したり、ファイルやコメントを「添付」する機能を搭載した。再利用可能なデータの「コンテナ」機能が用意され、電子フォーム機能を使うことでデータの入力環境が整えられ、入力されたデータをXMLデータとしてバックオフィスシステムに受け渡すことも可能となった。 2003年5月15日にアナウンスされた新バージョン、Acrobat 6.0を使えば、さらに多くのフォーマットからのPDFへの変換、PDFファイルの編集ができるようになる。さらに、電子フォーム機能を中心に、アドビシステムズ(以下アドビ)の新サーバ製品群とのインテグレーションが容易になるのだ。 情報システムにおけるインフラとしてのPDFのアーキテクチャーと、その業務システムでの利用を拡大するサーバ製品、Adobe Form Server/DesignerとAdobe Document Server for Reader Extensionsとの連携ソリューションについて紹介する。技術的背景から、PDFとXMLの融合によってもたらされる、業務プロセスへの変革を見ていきたい。
さっそくおなじみのPDF画面に注目していただきながら解説を始めたい。図1をご覧いただこう。
PDF文書に外部ファイルが添付され(画びょうのイメージ)、また、付せんのイメージでコメントが付与されているのがお分かりになるだろう。これはPDF文書が双方向のコミュニケーション媒体となりうる可能性を端的に示した一例であるが、新しい機能というわけではない。無償配布のPDFビューアソフト、Adobe
Acrobat Reader 5.1でもすでに実装されている。ただ、おそらく現時点で仮にReader 5.1を開いたとしても、該当のツールバーはグレーアウトして使用できないはずだ(画面2)。
本機能は、特定機能の “権限付与”されたPDFについてのみ有効にすることができる。このようなドキュメント編集の権限付与を行うのが、2003年第2四半期にアドビシステムズが出荷開始するAdobe Document Server for Reader Extensionsの役割である。Document Server for Reader ExtensionsによりPDFに付与される「権限」の主な機能は以下の通り。
Document Server for Reader Extensionsによって“権限付与”されたPDFフォーム(画面3)は、さまざまな用途に応用可能である(実に、冒頭のファイル添付やノート機能は、PDFの数ある用途の中でも「最も原始的な」用途であるにすぎない)。
しかし、“権限付与”されたPDFフォームの導入によって、こうした状況をドラスティックに変革させることができる。まず利用者には、無償配布されているAdobe Reader 6.0(6月中旬ダウンロードサービス開始予定)さえあればよい。権限付与されたPDFフォームはReaderで直接入力、保存できるため、利用者はフォームを印刷する必要がなくなり、情報を電子的に送信したり、複数の人や組織と電子的に共有したりすることが可能となる。 つまり、一度も紙の世界に情報を戻すことなく(もちろん必要な場合は、いつでも紙の世界に情報を渡せることもPDF の強みなのだが)、フルデジタルで申請や承認プロセスを確実に進めていく世界を実現できるのである。従来このようなプロセスの電子化には、プロセスの参加者すべてが同じシステムや環境の中にいる必要があった。しかしこのソリューションでは、権限付与されたPDF フォーム/ドキュメントと、それをインテリジェントに実行するReaderさえあればよいのである。 電子署名を使い、本人でしかできない申請業務や各種契約をオンライン上で行うこともできる。例えば行政機関や金融機関などが、権限付与したPDFでフォームを配信さえすれば、不特定多数の市民、顧客がデジタル署名を適用し、最終的に記入済みの電子フォームを再びオンライン上で提出することもできるのだ。そこには、もはや紙も余計な人手もない(図1)。一連の連続したワークフローにただ電子データが流れるのみである。
Document Server for Reader ExtensionsがPDFの可能性をサポートする強力なツールであることは、以上の内容からお分かりいただけただろう。しかし、こうした機能も電子帳票(PDFフォーム)自体の作成が困難だとしたら、実運用に耐えるものではない。 Form Designerはその名の通り、フォームテンプレートの設計をサポートする開発者向けGUIツールである。
フォームは、Acrobatはもちろん、前述したDocument Server for Reader Extensionsで権限付与を行い、Adobe Reader上でもインテリジェントに動作することができる。以下で紹介するForm Serverでは動的にPDFフォームを配信させることも可能だ。 Form Serverを使用することによって、実にエンドユーザーは無償のAdobe Readerさえ用意すれば、それだけでインテリジェントなコミュニケーション環境を享受することができる。 Form Serverは、Form Designerで設計された電子フォームを適切なフォーマットに整形してダイナミックに出力するフォーム配信サーバである。Document Server for Reader Extensionsとは異なるアプローチで、不特定多数向けのソリューションを展開する。フォームの生成や配信はその都度、Form Serverがオンデマンドで実行し、XMLデータの取得などもサーバ側で行うため、基本的には常にオンラインの環境が必要である。サーバ側でさまざまなデータハンドリングを行うため、「権限付与」されたPDFでなくても、ドキュメントプロセスの電子化を実現することができる(図2)。
また、Form Serverが単なるフォーム配信サーバに留まらないのは、PDFフォームのみならず、アクセスしてきたデバイスに応じて適切なフォーマットを切り替えることができる点にある。フォームテンプレートが対応する展開オプションは以下の通り(表1)。
つまり、フォーム作成者側はエンドデバイスをなんら気にする必要はない。1つのフォームテンプレートを作成するだけで、あとはユーザー(携帯電話、PDA、そのほかのスマートデバイスなど)に応じた適切な文書形式を選択するのはForm
Serverの役割なのだ(One Source、Multi Viewの実現)。フォームに実装された検証ロジックが、もしもクライアント側でサポートされていない場合も、POST時にForm
Serverがサーバ側で適切な妥当性検証を行う。
表現の仕方を変えれば、あらゆるデバイスからの入力情報を、正確にPDFドキュメントとして再配布したり、入力・送信された情報をXMLデータとして、バックエンドプロセスやデータベースに渡すことができる。つまり、レイアウトが重要な「人」への情報提示をPDFで、構造化されたデータが必要な「システム」への情報提示をXMLで行うためのゲートウェイとすることが可能なのである。 それはもはや単なる入力のインターフェイスに留まらない。人とシステム、ワークフローとシステムフローとを緊密に統合する一種のEAI(Enterprise Application Integration)といってよいだろう。そして、それこそがXMLとの融合によりPDFが提供する真価であり、ソリューションなのである。
人が介在する限り、業務プロセスを動かす単位は「ドキュメント」である。
というのも、そこに介在する「ドキュメント」は用途に応じてさまざまなフォーマットを要求されたためである。
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