電子化でよみがえる印鑑文化
2003/1/30
社内外の決裁で使われる印鑑。ビジネスのIT化で電子文書が中心となり必要性が薄れると思われていた印鑑が、電子印鑑となって注目を集めている。日商岩井は日本オラクルと電子印鑑システムで提携。普及を目指す。「これまでの印鑑を書類に押すのと同じ動作で作業できる」という電子印鑑は広がるだろうか。
日商岩井などが開発した電子印鑑システム。右下がタブレットと電子印鑑 |
日商岩井は印鑑メーカーのシヤチハタ、ワコムなどと共同で「電子印鑑コンソーシアム」を組織。研究開発や販売戦略の検討を行ってきた。日商岩井などが開発した電子印鑑は、従来の印鑑と同じ形状。PCに接続したワコムのタブレット(押印台)の上で押すと、電子文書に押印することができるシステム。電子印鑑の中には固有のIDが登録されていて、IDと電子印鑑の印影を管理しているサーバ上で照合、認証する。PKIとも連携できる。
日商岩井はこの電子印鑑の認証サーバ「ジェイサー」(jaiser)を2月3日に発売する。サーバにはオラクルの「Oracle9i Database」が組み込まれていて、個人情報や認証を管理する。今回の日商岩井との提携によって、オラクルは顧客に対して電子印鑑システムを紹介し、システムの販売を支援する。
日商岩井はオラクルなどと共同で政府や地方自治体、民間企業などに電子印鑑システムを販売する。タブレットは1万3800円から。ジェイサーは200〜250万円で、日商岩井では初年度に10万セット、3年後には100万セットの販売を見込んでいる。
日商岩井の常務執行役員 藤島安之氏は、電子印鑑について「PKIを使った従来の認証には間違えやすい、クリックだけでは実感がわかないなどの課題がある。電子印鑑を使い、従来の印鑑のルールをPKIに適応するだけでこれらの問題は解決する」と説明。「2005年にも行われる電子政府の見直しで、電子印鑑がPKIの補完ツールとして認められることを目標にする」と述べた。日商岩井では、まず電子印鑑システムを役員のPCへのログオン用に使い、順次、一般業務にも広げていくという。
(垣内郁栄)
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