ははは、驚かしてしまったようだな。別件だが、実は、また茜（あかね）くんに仕事お願いすることになったんだよ。

はー、そうだったんですか……。

ところで茜さん、サポートコストは心配いらないって、どういうことですか？ 個人向け製品ならともかく、ビジネス向けの製品、特に今回問題になっているデータベース製品のサポートといえば、ものすごく高額な費用がかかるんじゃないの？

そうですね。別の会社でSEをやってる友人も、何かあるたびにサポート費用がかさむってぼやいてました。

うむ。データベースまわりで発生するトラブルで、現場のエンジニアが簡単に解決できない問題となれば、原因を特定するだけだって大変だろう。複数の要因が関係して問題を引き起こしていたりするだろうからね。

そうですよね。メーカーの立場で考えれば、ある程度まとまった費用をもらわないと、サポート費用でソフトウェアの販売利益なんて簡単にふっとんじゃいますよね。

一般論としてはみなさんのおっしゃると・お・り。でも、問題が起こったレンタルビデオ店のシステムって、以前私がおじゃましたときのものですよね？（→前回の記事へ）

ああ、そういえば、あのときも茜さんにずいぶん助けてもらったっけ。

だとすれば、やっぱりサポートコストは心配いりませんね。

どうして？

今回のシステムで使っているPervasive PSQLというデータベースは、国内ではエージーテックというところが販売とサポートを担当しているんですが、すべてのサポートメニューが無料になったんですよ。

ええっ！ データベースのサポートが無料！？ そんなことあるの？

私も最初聞いたときはちょっと驚いたんですけど、6カ月で2インシデントまでで3万円という「ベーシックサポート」だけじゃなくて、インシデント数が無制限で、いままでは年間20万円の料金が必要だったプレミアサポートも無料になったんですよっ！

じゃあ、どれだけサポートのお世話になっても、タダってこと！？

ふふふ、そういうことになりますね。

別に疑うわけじゃないが、最近はサポートの窓口を人件費の安い海外に設置するところも多いらしい。海外だからダメということではないが、サポート窓口担当者の日本語能力が十分とはいえず、苦労したなんて話も聞く。まさかそういう話じゃないよね？

それなら心配いりません。私も一度サポートに連絡したことがあるんですけど、日本人スタッフがちゃんと日本語でサポートしてました。サポート担当者は日本のシステム開発なんかにも明るい人のようで、話はすごく早かったです。

うーむ。それが本当だとすると、安心してシステム開発ができるね。業務システムの開発では、ときどき予想外の問題に見舞われててんてこ舞いすることがある。そんなときに、製品に精通したエンジニアにアドバイスしてもらえるなら助かるよ。

まあ、ものは試しってことで、さっそく今回の件を問い合わせてみたらどうですか？

そうだ、ぐずぐずしてないで早く解決してあげないと！

――――――――――　数時間後 ――――――――――

甲山さん、例のレンタルビデオ店の件、解決しました！

おおっ、そうか、それはよかった！ ところで原因は何だったんだ？

どうやら問題のあった店の店長さんが、パソコンを別の作業に使おうとして追加インストールしたソフトウェアが、古いJavaランタイムをインストールしてしまい、問題を引き起こしてしまったようです。

Pervasive PSQLもJavaランタイムを使っているんですが、この影響で一部のツールが正しく動いていなかったようですね。

むう。深刻な原因ではないと思ったが、そんな理由だったのか…。

ええ。サポートに問い合わせたら、Javaランタイムの問題を指摘されて、店長さんにトラブルの前後で何かいつもと違うことはしなかったかと聞いたら、アプリの追加を思い出してくれました。

ふー、助かった。しかし、サポートが無料というのは本当に安心だな。

そうですね。でも、教えてくれた茜さんに何かお礼しないといけませんね。

登　場　人　物
	大地 茜（だいち あかね） この道10年の経験を持つ派遣会社のやり手プログラマ。これまで、数々の難関ソフト開発プロジェクトを持ち前の知識と技術力で成功に導いてきた。
	甲山（こうやま） ソフト開発会社（茜の派遣先）のプロジェクト・リーダー。
	乙崎（おつざき） 甲山の下で働くプログラマ。
	丙谷（へいたに） 乙崎と同じく、甲山の下で働くプログラマ。
	部長 現在は管理職だが、その昔は第一線のプログラマとしてバリバリと開発に携わっていた。