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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局
掲載内容有効期限2003月7月31日

 

ミッション・クリティカルなIT基盤
「BEA WebLogic Portal」

【事例紹介】
松下電器産業株式会社 半導体社 事業本部 アナログLSI事業部

総合評価で選択するならBEA WebLogic Portal

  分散した拠点間で情報共有をどうするか?

 どの企業にとっても規模の拡大は成長の証だが、それにつれ悩ましい問題点も生じる。その1つが拠点の分散だ。松下電器産業株式会社 半導体社の場合もそうだった。同社は、システムLSI、アナログLSI、CCD、ホログラムユニット、GaAs、LEDなどを中心とした化合物製品、強誘電体メモリ内蔵ICカード、各種汎用ディスクリート製品など、その生産品目は多岐にわたるPanasonicグループのビジネスカンパニーである。営業本部、開発本部、事業本部から構成され、北陸を中心に5つの工場、世界に12の関連会社を持つ非常に大規模な組織だ。

 同じ敷地内でいつも顔を見合わせていられるなら問題のないビジョンや情報の共有も、拠点が離れるとどうしても同期をとることが難しくなってくる。1つのカンパニーとして結束を保ち続けるには、それなりの工夫が必要だ。

 半導体社の部門の1つであるアナログLSI事業部 開発推進グループ システム開発チームでは、6年前からこの命題にチャレンジしてきた。同事業部が製造するのは、携帯電話の電波の受発信やDVD装置の駆動をつかさどる半導体の開発・製造・販売だが、これらの製品を開発する技術者向けに情報を提供し始めたのだ。

 それまでは開発者が工場から情報を収集するためには、専用の端末でそのシステムに固有のやり方で接続する必要があった。工場のシステムはデータベースも違えば、システムの仕様も違う。技術者はアクセスするシステムごとに利用方法をマスターしなければならなかった。 

 情報共有のための仕組みは、グループウェアがすでに市場に存在していたから、その時点でも作ろうと思えば作れた。しかし、問題はクライアントソフトウェアの管理だった。アナログLSI事業部だけで約2000名の社員がいる。これだけの数をシステム開発チームで管理するのは不可能と判断された。

 そうしたところへ登場したのがインターネットである。6年ぐらい前というのはちょうど、インターネットが企業情報システムの基盤として着目された時期に重なる。「インターネットの仕組みを利用すれば、クライアントソフトウェアの管理もいらず、それほどコストもかけずに、必要とされる情報すべてをアップでき、ユーザーは自席のパソコンから情報を収集できるツールができるのではないかと考えた」

 松下電器産業株式会社 半導体社 事業本部 アナログLSI事業部 開発推進グループ システム開発チーム チームリーダー 田中誠氏はそう述懐する。

 最初は、製品の生産進ちょく情報と歩留まり情報からスタートした。工場が所有しているシステムのデータベースからデータを取得し、Webサイトで提供する。技術者はそのページにアクセスしさえすれば、ほしい工場のデータが見つかる。始めてみると非常に便利で有益であり、技術者にも好評を得た。システム開発チームはそのページをALSI Webと名づけ、次々と項目を増やしていった。販売情報、技術者向けルール集、開発上で利用するツールのマニュアルなどなど。こうしていつしかALSI Webは150もの情報群が集まった膨大なページに発展していった。

 技術者に求められる情報すべてがALSI Web上にあり、それらがシングルサインオンで見られるという点では優れたシステムだった。しかし、大きくなるとまた別の問題が生じた。150の項目をトップページに列挙したため、ページをかなり上下にスクロールしながらでないと情報を探せなくなったのだ。また量が多いためについ見落としてしまう。情報はそこにそろっているのに技術者から“○○についての情報はどこにあるか”と問い合わせが寄せられる。何度かサイトリニューアルは試みたが、結果は同じだった。問題は汎用性を考えるあまり、個人のために情報が整理できていないという点にある。田中氏はしだいに、“なんとかして技術者個人に必要な情報だけを提供する方法はないものか”と模索するようになったのである。

  選択したのはBEA WebLogic Portal

 結果からいえば、解決策は見つかった。Enterprise Information Portal(以下、EIP)という新しいITソリューションを発見したのである。

 EIPは、日々の企業活動の中から生まれてくる情報を、有益なパブリックサイトの情報、データ検索エンジン、グループスケジュール管理機能などとともに、社員1人1人に最も合った形で提供しようというインターネットWebサイトの仕組みだ。システム開発チームにとって、探していたものはまさにEIPだった。膨大な情報群の中から技術者が欲しい情報を選択すれば、それが欲しい形で優先的に表示されるWebサイト。実現したいシステムのイメージはすでにチームの中で明確だった。田中氏らはさっそく、市場にある主なEIP製品を比較検討に入る。要件は5つ。Linuxプラットフォームへの対応、開発の容易性、本番稼動までのスピード、管理の容易性、そしてユーザーにとっての操作性の高さ。

 同社がLinuxプラットフォームへの対応を掲げたのには理由がある。アナログLSI事業部ではITコスト削減の一環で、同部内で管理するサーバをできるだけLinuxプラットフォームへ移行するというプロジェクトを進めていた。つまりサーバのOSはLinuxでそろえたいということである。Portalサーバだけ特別にUNIXサーバというわけにはいかない。それでは流れに逆行してしまう。

 当初、候補に上ったのは6製品だった。Linuxに対応していないということでまず1つが落ち、開発環境などの機能拡張の将来性やベンダによるサポート体制のない運用面での不安からフリーのPortalサーバも脱落した。そして、商用ではあるものの調査した時点で製品の完成度が低かったという理由で第3の候補製品も消えていった。

 残ったのは、日本BEAシステムズのBEA WebLogic PortalとA社とB社の3製品。これらに関しては、想定している画面、想定しているポートレットを開発し、実際に使ってみるという形で検証が進んだ。そしてそこで分かったことは、1つの製品はアナログLSI事業部でこれまでまったく実績のない技術で開発しなければならないということであり、もう1つの製品は本番稼動後に必要な管理ツールがなかった。こうしたことを考え合わせた結果、選択されたのはBEA WebLogic Portalだった。

 松下電器産業株式会社 半導体社 事業本部 アナログLSI事業部 開発推進グループ システム開発チーム 技師 倉満勝一氏は、次のように語る。「カスタムタグなどPortalに必要な機能が用意されていて、容易に開発可能な工夫が施されていたことと、Webページで簡単に運用を管理できるツールがあったこと。そして、Linuxに対応していたこと。これらの点を総合評価して、BEA WebLogic Portalに決定した」

 実際の開発にあたっては、同事業部は、日本BEAシステムズのコンサルティング部隊であるプロフェッショナル・サービスを利用した。このサービスの存在もBEA WebLogic Portal決定に大きく影響した要素の一つだという。BEA製品のフレームワークを理解し、WebLogicの機能を生かしながら仕様を満たす上で重要なプロセスだったからだ。

 田中氏は、「コンサルティングの結果、第1フェイズで実現する機能、第2フェイズにまわす機能と迅速に切り分けすることができた。われわれだけでも開発は可能だったろうが、もしかするとBEAフレームワークを十分理解していないものになっていたかもしれない」と語っている。

  “トップ画面を見ていれば仕事が進む”

 アナログLSI事業部の新しい情報ポータルは、ASAP(Analog Semiconductor Application Portal)と名づけられた。2002年9月から本格的に動き始め、技術者の日々の業務に大きく貢献している。

 特徴はなんといっても念願だったパーソナライゼーションを実現させたことだろう。技術者があらかじめ必要なデータをほしい集計方式で登録しておけば、ログイン後のトップページ「MyPage」画面にポートレットという形で表示される。また、情報共有のためのWebアプリケーションとしてサイボウズOfficeや電子掲示板アプリケーションWebCaucusといった製品とも連動も果たしており、技術者はMyPageさえ立ち上げておけば、1日の仕事が進むようになっている。

 システム構成は、ポータルサーバーにWeblogic Portal 4.0J(OSはRedHat Linux 7.2)、ポータル用のシステムDBサーバとして、Oracle V8.1.7.4(Miracle Linux V2.0)が採用されており、そのバックエンドで複数の工場の製造情報データベース、販売系データベースとつながっている。

ASAP(Analog Semiconductor Application Portal)のシステム構成

 導入から2カ月が経過した11月中旬、同事業部はASAPのヘビーユーザー300名にアンケート調査を行った。その結果、3分の2のユーザーが“以前のシステムより使いやすくなった”と回答を寄せている。実際のアクセスカウント数も2002月9月以降、平均2割前後減少している。これはMyPageが機能していて、ページを渡り歩かなくても情報が収集できるようになったからだと考えられる。

ページを渡り歩かなくても情報が収集できるようになった

 第2段階では、さらに技術者が業務を進める上で参考となるデータポートレットが追加される。そして、ASAPは最終的に意思決定支援システムへと進化を遂げていく予定だ。現在はデータが示す数字や文字の意味を読み取っているのは人間だが、将来はASAP自身がデータを分析し、情報管理の機能を提供できるようになるのが理想形だ。「技術者が気持ちよく仕事できないと、いいアウトプットは生まれない。彼らのためによりよい支援環境を整えるのは、アナログLSI事業部にとって非常に大事なミッションだ」と田中氏は言う。

 拠点の離れた大組織の中で情報を一元的に共有するという必要が動機となって、スタートした松下電器産業 半導体社 アナログLSI事業部の情報ポータルプロジェクト。BEA WebLogic Portalで得たパーソナライゼーション機能と管理の容易性というブレークスルーは、これからの日本企業のポータルプロジェクトを考える上で参考になる先進事例である。

第1回 「顧客の夢を形にした新機能群」
第2回 新機能群 詳細解説編へ
第3回 ミッションクリティカルな最新型ASPサービスを支えるBEA WebLogic Server
第4回 ミッション・クリティカルなIT基盤「BEA WebLogic Portal」

この記事でご紹介した
「BEA WebLogic Server 8.1J」評価版は、
以下URLにてダウンロードが可能です。
ぜひお試しください。

http://www.beasys.co.jp/evaluation/index.html
(BEAシステムズのサイトへジャンプします)

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