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@IT > ギガビット・イーサネット、その威力 インテル&シスコシステムズ 特別対談 |
企画:アットマーク・アイティ
営業企画局 制作:アットマーク・アイティ 編集局 掲載内容有効期限:2003年12月15日 |
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イーサネットが登場してすでに30年が経つ。OA(Office Automation)、FA(Factory Automation)、LA(Laboratory Automation)におけるリソース・シェアリングはユーザの間に瞬(またた)く間に浸透し、革新的なネットワーク・ソリューションとして君臨したのだった。その後、トークン・リングやトークン・バス、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、ATM(Asynchronous Transfer Mode)といったネットワーク技術が相次いで登場し、標準化作業が精力的に進められたのだが、結局最後に残ったのはイーサネットのみであった。IEEE標準傘下のもと、同一メディアによる10Mbpsから100Mbps、1Gbps、そして10Gbpsといった高速・広帯域化への発展は、何よりもユーザの既存資産を保護しつつ、最適なコストパフォーマンスに基づくバージョンアップを実現させていったのだから、これは極めて自然の流れだったのかもしれない。 イーサネット発展の功労者的ベンダの代表格が、コントローラやNICを開発、製造するインテルと、スイッチングやルータ技術の雄シスコシステムズだ。両社の製品は、信頼性や相互運用性について、すでに米国ではテスト検証済みであり、ソリューション提供のため両社ともに精力的な取組みを繰り広げている。ここでは、両社の現場経験豊富な第一人者の方たちに、いまイーサネットの主役ともいえるギガビット・イーサネットの生い立ちと、ユーザ・メリット、今後の展望などについて語ってもらった。
赤池:イーサネットは1973年、ゼロックス パロアルト研究所における光イーサネット(光ファイバ・ケーブル)の研究にその源流をみることができます。その後、同軸ケーブルによる伝送速度10Mbpsのイーサネットを同社が発表し、この機能拡張や標準化推進をめざして、インテルとDECを加えた3社が共同開発を開始しました。そして1983年、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:アメリカ電気電子技術者協会)802委員会で標準化されたのです。 このときインテルは、世界初の大量生産10Mbpsイーサネット・コントローラを出荷しています。時代の重要な節目ごとにインテルは数々の革新的な製品を開発しているんですね。代表的なのは、1997年にシングルチップで伝送速度10/100Mbpsを実現したコントローラを出荷したことでしょう。2001年には、シングルチップで伝送速度10/100/1000Mbpsのコントローラを、さらに2003年には10GbEMAC(Media Access Control:媒体アクセス制御)を出荷しています。これらのコントローラはいずれも世界初の技術でした。
木村:特にギガビット・イーサネットについて、インテルは2000年にMACとPHY(Physical Layer Device:物理層デバイス)2チップ構成の製品を出荷しています。2001年には、世界初のMACとPHYをシングルチップ化させた「82544」を市場に投入しました。2002年には、またもや世界初、シングルチップに2つのギガビット・ポートをもたせた「82546」を投入しました。これらはサーバにフォーカスしたコントローラです。その後、デスクトップやノートPCにも使用できる省電力タイプのコントローラを追加し、2004年にはPCI Expressをサポートする製品をリリースする予定です。この結果、ワールドワイドでインテルは、10/100/1000Mbpsイーサネット・コントローラ出荷数のうち50%(**)以上のシェアを、また10/100/1000MbpsNICにおいても60%(**)以上のシェアを確保しています。この数字はインテルの製品に対するユーザの信頼の表れといえます。
小野寺:こうした歴史からみても、イーサネットという技術がLANのスタンダードとしていかんに進化を遂げてきたかということが分かりますね。しかし、現在のイーサネットは誕生時点のものとはほとんど違う存在といっていいでしょう。当時は10Mbps帯域をいかに共有するかが重要なポイントでした。つまり、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection:搬送波感知多重アクセス/衝突検出)という技術が大きな特徴だったのです。 しかしバス型の構成からハブを用いたスター型になり、半二重通信からスイッチング技術による全二重通信を可能にし、高速化を実現しました。シスコシステムズはこのスイッチング技術に着目し、以後の急速な発展を遂げたわけです。まさに、スイッチング技術こそ10ギガビット・イーサネット登場の最大の要因なのではないでしょうか。 赤池:インテルがいつも視野にいれていたのは、PCはスタンドアローンではなく、ネットワークに接続し、どこからでも通信が可能なソリューションである、という点でした。実は、インテルもスイッチング技術の開発を進めていました。ただ、シスコシステムズがインフラ側の開発者であったのに対し、インテルは、サーバやクライアントなど端末開発サイドだったのです。この立場の違いが、現在のネットワーク市場における両社の立ち位置の違いにつながっています。
木村:PCのハードウェア自体も、Windows(*)の登場を契機に変わってきました。CPUやメモリといったリソースは、Windowsの普及に伴って発展してきたともいえます。同様にLANの帯域も10Mbpsから100Mbpsへと変遷したわけですが、TCP/IPのヘッダの処理などはすべてCPUで行っていました。CPUに大きな負荷を掛けていたんです。いまではチェックサム・オフロードなどの機能をインテルのLANコントローラは実装しているためCPUの使用率を大幅に減らすことができます。 赤池:実際のマルチタスクでは、2つのアプリケーションを同時に動かすマルチタスクよりも、フロントでローカルなアプリケーションを動かし、バックでネットワークの同期を制御するという使われ方が最も多いマルチタスクの在り方だと思います。インテルは通信を実行しながらも、CPU使用率をうまく使ってローカルなアプリケーションも快適に動かせるようにしました。このような点がまさに、インテルの強みでもあります。 小野寺:その後、イーサネットLAN機能もマザ−ボード組込型になりましたが、このことはLANが大きく普及する要因になりましたね。つまりPCは、最初からイーサネットのインターフェイスを標準装備するようになったのです。この辺りから先進的なユーザたちにネットワークを有効に利用するための手法としてトラフィックの優先制御やQoSが重要という認識が生まれ、ネットワークにつながる端末のセキュリティをもネットワークを通じて取り込むようになりました。ネットワークを取り巻くさまざまな技術が発展し始め、まさに木村さんのご指摘通りで、インフラのみの進歩では技術の普及はない、ということを裏付けていると思います。
小野寺:現在、ギガビットのニーズは、「サーバやバックボーンの負荷軽減」にあると思います。1台あたりが10Mbps/100Mbpsでスイッチ接続されていてそれが数百台規模の接続になってアクセスが集中すれば、単純ですがギガ帯域が必要になり、これらを束ねるバックボーン・ネットワークは当然、更なる広帯域が要求されることになるのです。また利用可能な帯域の進化とともにアプリケーションが消費する帯域も増加して、映像やPtoPに見られるように常時、帯域を占有してしまうトラフィックパターンが増えて来ていることからも、次は10Gbpsという必要性になってくるのです。 赤池:そうですね。帯域が狭いときは、大きなファイルのやり取りを極力しないようにしていましたが、だんだん増えてくると、PDFファイルなどメガ単位のデータをポンと投げたりしますよね。 木村:10Mbpsから100Mbpsに帯域が拡大すれば、当初は伝送速度の速さを感じますが、いったんそれに慣れてしまうと、さらに広帯域のインフラが欲しくなってしまいます。だんだん、贅沢になっていくんでしょうね。いままさにクライアント環境がその時期であって1GbpsのLANが要求されているといえます。 赤池:価格面からみてもNICの場合、100Mbpsと1Gbpsとでは大きな差がありません。従って、ギガビット・イーサネット導入の壁は高くはないと思いますよ。すでにサーバ・ファームでは、ギガビット・イーサネットが完全にデファクトスタンダード化しているといえます。ギガビット環境が不可欠という決定的なキラー・アプリケーションがあるわけではないのですが、やはりさらに高速・広帯域のニーズは高まっています。 木村:企業向け製品に限定しても、サーバは2001年を境に従来のファースト・イーサネットからギガビット・イーサネットへの移行が進み、現在ではほぼすべてのサーバが出荷時に1ポートまたは2ポートのギガビット・イーサネットを標準で実装しています。クライアント環境を見てみるとPC OEMの中には、すでに企業向けデスクトップのほぼ100%にギガビット・イーサネットを標準で実装しているところもあります。ノートPCも省電力GbEコントローラの普及でギガビット対応が本格的に始まりました。 こうした傾向が顕著になると、多くの企業がギガビット・イーサネット環境の構築を目指さざるを得なくなる。おそらく2004年には、デスクトップを中心としたクライアント環境はファースト・イーサネットからギガビット・イーサネットにとって変わるものと予測されます。 赤池:高速のイーサネット・コントローラ自体がマザーボードに組み込まれると、現在使用中のサーバやPCは一体どうなるんだ、といった懸念がユーザから出てきます。しかし、そんな場合でも、新しいコントローラ対応のNICを活用いただければ、既存のPC資源を新しい環境の中で最大限有効活用することが可能です。ギガビット・イーサネットLANコントローラが標準実装されてもNICを有効活用することによってトータルでのギガビット環境が実現でき、ネットワークの効率化が行えます。 木村:既存資源の有効利用という点では、LANケーブル自体も同様です。通常はギガビット・イーサネット環境を構築するためにカテゴリ5eクラス、もしくはそれ以上のクラスのケーブルが要求されます。しかし、インテルのギガビット・イーサネット製品の場合、基本的にこれまでのカテゴリ5ケーブルでも十分に対応できるデザインになっています。ですので既存のLAN設備が原則そのまま使用可能となります。ただし、ケーブルの品質は一定ではないので事前に適用可能かどうかを確認することは重要なことです。
小野寺:企業ネットワークを考える場合、LANに加えてWANのパフォーマンスも今後は重要ですね。例えば、VoIPやストリーミング配信にWANのブロードバンド化は欠かせません。現在、LAN/WAN両環境をスムーズに接続できる帯域環境が整ってきています。特に日本は光ファイバ先進国ということもあり、キャリアによる光ファイバ網の整備も進み、ギガビット・サービスまで行われるようになってきました。企業向けでも、月額40万円台でギガビットのWAN環境を利用できるまでになっています。 最近のように、ブロードバンド・インターネットが普及し、Webベース・アプリケーションで仕事をするスタイルが当たり前のようになってくると、ほんの少しのレスポンスの遅さでも我慢できなくなってきます。高速・広帯域を実現するインフラの技術進化、LAN/WANの垣根の撤廃、そしてWebベース・アプリケーションの普及、ワーキング・スタイル変化などなど、さまざまな要素が高速・広帯域ネットワークを指向しているといっていいでしょう。 赤池:イーサネットは従来、単なるデータ・コミュニケーションの世界で活用されるだけでしたしね。しかし、この数年、音声や映像をWeb上で流通させることで成立するアプリケーションが登場し始めたことで、この状況は大きく変貌しました。 木村:ネットワークに依存するアプリケーションが快適に動作する環境、インテルがネットワーク面で力を入れているのは、まさにそれを実現するためです。ギガビット・イーサネットもそれを具現化するための技術ですが、技術の進化に終わりはありません。インテルでは、次々と革新的な技術を投入します。 例えば、PCI Expressと90nmプロセス技術の実現。ギガビット・イーサネットのさらなる高速・広帯域化や、バックボーンを支える10ギガビット・イーサネット実現には、次世代のインターフェイスであるPCI Expressが不可欠です。実際10Gbpsのスループットを実現するためには、既存のPCI-Xではバスがボトルネックとなります。PCI Expressにより、バスのボトルネックは解消されます。また、コントローラの小型化やさらなる省電力を実現するには、90nmプロセス技術が必要です。LANコントローラもいっそうの高集積化を実現するために90nmプロセス技術を積極的に採用していきます。 2004年には、これらの最新技術に対応した2つの製品をリリースします。サーバ向けのギガビット・コントローラとモバイルからデスクトップ、ローエンドのサーバまでカバーするギガビット・コントローラです。 ビジネス市場だけではなく、コンシューマ市場にもインテルはギガビット・イーサネット・ソリューションを提供します。例えば、ハードディスク・ビデオレコーダに録画されたビデオコンテンツ、インターネットに接続されたデバイスに配信された音楽コンテンツやPCにストレージされたデジカメの画像データなどデジタル化されたコンテンツは膨大なデータとして家庭内に散在することになります。これらのデータを一元的に管理しバックアップすることは、大切なデータの消失など不測の事態に対応する意味でも重要なことです。膨大なデータを快適に扱うために、高速・広帯域ネットワークはどうしても必要になります。このとき、ギガビット・イーサネットの必要性は家庭においても強まってくるはずです。 このようにギガビット・イーサネットに対する可能性と期待は、ビジネス、コンシューマ市場問わず、今後ますます広がっていきます。インテルは最新技術と高い信頼性を誇る製品群でそのニーズにお応えしていきます。
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