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@IT > ノベルの新戦略「one Net」を支える最先端技術(3) |
企画:アットマーク・アイティ 営業企画局 制作:アットマーク・アイティ 編集局 掲載内容有効期限2003年7月31日 |
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現在の企業における情報システムの状況をみると、Webサービスの普及は、必ずしも、われわれの期待ほど進んでいるとはいえない。いったい何が普及を阻んでいるのだろうか。1つは新規システムに対する投資額の大きさだ。Webサービスを本格的に導入する場合、アプリケーション・サーバやポータルサーバを一括して導入するケースが多く、投資額の増大を招くことが多い。既存システムと新システムとの接続をWebサービスで構築するのも手軽にはいかない。このため、Webサービスの導入を積極的にすすめない開発担当者もなかにはいる。加えて、Webサービスの導入で多くの開発者が頭を悩ませる問題がある。セキュリティである。これまでは独自のプラットフォームで構成されてきたため物理的に隔離されていた情報を他のシステムと統合して利用していこうとしたとき、セキュリティの脆弱さは公開できる情報の範囲を狭めてしまう。Webサービスに対する期待とのギャップの大きさが、ユーザーのWebサービス導入における意欲をそぐ大きな原因となっている。 これらの課題を解決するソリューションとして注目を集め、また導入が着実に進んでいるのがノベルのWebサービスソリューション「exteNd」だ。exteNdは既存システム統合ツール「exteNd Composer」、ポータル構築ツール「exteNd Director」、Webアプリーション・サーバ「exteNd Application Server」で構成される。exteNdは、ノベルが推し進める新戦略「one Net」に基づくソリューションで、そのソフトウェアコンポーネントは、先駆的な機能で開発者から高い評価を得た米シルバーストリームのWebアプリケーション・サーバ、Webサービス製品ファミリが基になっている。 <<開発者の選択肢を広げるソリューション>>
「他社のWebサービス製品が自社製品での囲い込みを前提にしているのに対し、ノベルのexteNdは開発者やエンドユーザーに選択肢を提供するのが最大の特徴」。ノベルの営業本部 営業企画グループ マネージャ 大津正広氏はexteNdをこう説明する。exteNdの場合、他社のWebサービス製品のようにファミリ製品を一括して導入する必要がない。つまり、Webサービスの統合プラットフォームとして存在する「exteNd」は、「exteNd Composer」「exteNd Director」「exteNd Application Server」といった個々のコンポーネントが有機的に結合したソリューションであり、顧客が望むWebサービス環境を構築する際に、最適なコンポーネントを選択して開発を行うことができるというわけだ。他ベンダとの柔軟な連携機能は、実は、そのためにこそある。 ◇既存システムをWebサービス対応に、 「exteNd Composer」 「exteNd Composer(以下、Composer)」で開発したプログラムはexteNd Application Serverのほかに、「IBM WebSphere」や「BEA WebLogic」など主要なJ2EE対応のアプリケーション・サーバに展開できる。大津氏は「ビジネスロジックを包含した形で連携できるのは他社製品にはない機能だ。システム間のインターフェイス開発をツールに任せることで、開発者はロジカルな付加価値の高い作業にフォーカスすることができ、開発生産性を大きく向上させることができる」とメリットを説明している。 Composerの高度な連携機能を表す事例を紹介しよう。「あるシステム・インテグレータがホストシステムを統合する案件を獲得し、あるアプリケーション・サーバを基盤に開発を進めようとした。しかし、そのベンダの製品では、システムの重要な部分を技術的に統合できないことが判明。ライバル会社であるノベルのComposerを使用し、ホストの統合を実現した」(大津氏)というのだ。Composerが非常にきめ細かい設定が可能であることと、ピュアJavaで構成されているため、J2EEでの拡張が容易であることが成功要因となったケースである。
◇ポータル構築、既存ポータルとの連携、「exteNd Director」 既存システムに自由に適用し、効率的にシステムを統合するという目標は、Composer同様、ポータル構築、アプリケーション開発ツールである「exteNd Director(以下、Director)」でも共通するコンセプトだ。 Directorのサブシステムである「ポータルアプリケーション」は、異なるプラットフォームのアプリケーションやリソースをWebサービス対応のビジネスポータルに統合する。大津氏によると「ピュアJavaで必要な機能をポータルに提供するため、既存ポータルとの連携も容易に可能」だという。「Content Management」サブシステムでは、ポータルで利用するコンテンツを集中管理。ドキュメントの作成や保存、バージョン管理、検索、コンテンツのレイアウトと表示の管理などが可能である。コードを入力する必要はなく、ドラッグ&ドロップで操作する。ドキュメント検索には、形態素解析により自然文での検索を可能とする「Autonomy」を採用している。また、Content Managementサブシステムの全機能をJava API、JSPタグライブラリを使って呼び出しが可能。WebDAVインターフェイス経由で、マクロメディアDreamWeaverなどのWebDAV対応製品との連携ができるのも特徴だ。
◇デプロイメントのための機能を開発者に、「exteNd Workbench」 Directorのファミリに含まれる開発ツール「exteNd Workbench」も、開発者の生産性を飛躍的に向上させるツールだ。Workbenchはウィザード形式で簡単にWebサービスアプリケーションを開発できるビジュアル開発環境である。EJBやJSP、J2EE、Javaクラス、XMLドキュメント、JSPタグライブラリ、JavaBeansなどの開発と、デプロイメントのための機能を開発者に提供する。Webサービスコンパイラと高機能なポータブルWebサービスエンジンも実装している。作成したWebサービスは、ワンクリックで主要なJ2EEアプリケーション・サーバにデプロイ可能だ。Workbenchも含めて、exteNdの各ソフトはそれぞれオールインワンの設計だが、それぞれを個別に利用することができる点で、他社との大きな差別化を図っている。 ◇jBrokerがWebサービスのパフォーマンスを向上 「技術者の間でパフォーマンスが評判になっているexteNdのソリューションがある」と大津氏は言う。J2EE 1.3対応の「exteNd Application Server」では、Webサービスの構築、呼び出し、実行に必要な技術をサポートするランタイムエンジンとして、パフォーマンスの良さが高く評価されている「jBroker」を搭載している。SOAPインプリメンテーションをサポートする「jBroker Web」と、CORBA ORBである「jBroker ORB」、Javaを使ってメッセージングミドルウェアにアクセスするためのJava Message Service(JMS) APIである「jBroker MQ」を同梱している。また、Application Serverはロードバランシングとフェイルオーバーの機能があり、可用性、信頼性も優れている。Javaベースのサーバ運用管理ツールが付属し、セキュリティパラメーターやチューニング、クラスタリング設定などサーバのあらゆる管理が、WebブラウザやJavaコンソールを使ってビジュアルに可能となっている。ビジュアルベースにすることで、管理の繁雑さがなくなり、コスト削減を実現するという。サポートするのは、Windows NT/2000、Solaris、HP-UX、IBM AIX、RedHat Linux。今夏に登場予定の「Novell NetWare 6.5」にはexteNd Application Server 5の「Enterprise Edition」が同梱される予定で、さらに強力なプラットフォームなるだろう。 <<ディレクトリとの連携が安全性を高める>> ノベルのexteNdが注目を集める理由はまだある。ノベルのディレクトリサービス「Novell eDirectory」との連携で実現するセキュアWebサービスもその1つだ。前述したようにWebサービスでは、コンテンツがダイナミックに変化し、ネットワークを介してさまざまなデータがやりとりされる。いわばネットワークの内と外という考えがなくなる技術だ。そのWebサービスで最も重要とされるのがセキュリティ。ノベルは、one Netのソリューション「Nsure」を組み合わせることで、exteNdのセキュリティを高め、誰もが安全にWebサービスを利用できるようにしているのだ。 具体的には、Directorが「User Manager」サブシステムを提供し、J2EEアプリケーション・サーバ上でユーザー認証を可能にしている。Novell eDirectoryなどのLDAPディレクトリはもちろん、NTドメイン、NIS+などのバックエンドディレクトリも認証基盤として利用可能。ディレクトリベースでのポータルのパーソナライズ機能やロールベースのセキュリティ管理機能が利用できる。認証からアイデンティティ管理、異なるシステム間でのアイデンティティ情報の同期といった機能が搭載され、大津氏によると「入り口から部分部分の認証まで幅広く対応するのはノベルしかできない」という。 大津氏はまた、「Webサービスの展開を考えるとアクセス権限管理がセキュリティ上の課題になる」と指摘。「サービスに対するアイデンティティ管理も必要となる。exteNdとNsureでサービスのアイデンティティ管理を行うことが重要だ」と説明した。ノベルは、Nsureでサブシステムの「Nsure
UDDI」を提供する。Nsure UDDIは、Webサービス利用のための情報リポジトリで、ブローカ(Webサービスレジストリ)の機能があり、情報リソースへのアクセスをコントロールする。
<<事例:開発者負担を軽減し、ビジネス価値を増大する>> ノベルのexteNdが企業システムで力を発揮する場面はさまざまだ。そのうちで最も代表的なソリューションは、ヘテロジニアス(異機種混在)環境でのシステム連携だろう。企業には通常、社内や顧客、パートナーとの取り引きで受注/在庫/顧客管理/経理など複数のシステムが走っている。これらのシステムが適切に連携しなければ、手作業でデータを転記する必要が出てくる。手作業で行えば、処理に時間はかかるのはもちろん、ミスが起きて重大な事故につながる危険が増大する。 米国の大手砂糖製造企業、インペリアル・シュガー・カンパニーも同様の悩みを抱えていた。複数のシステムを手作業に近い形で連携させていたために、顧客、取引企業とのオーダー処理や運輸コストが増大。また、取り引きに利用していたエクストラネットと、社内システムとの連携がうまくいっていないために、データの陳腐化が早く、有効に利用されていなかった。 そのため同社はノベルのComposerを利用して、Webサービスのシステム基盤を構築することを決断。ComposerでWebサービスインターフェイスを開発し、顧客や取り引き企業に対して公開した。エクストラネット上には社内システムの複製のデータベースを置くようにしていたが、これを廃止。社内システムと顧客、取引先企業がリアルタイムに連携できるようにした。また、社内のCICSトランザクションをXML化するなど、Webサービスへの対応を進めてシステムを強固に連携させた。取引先企業は、Webサービスインターフェイスを利用して、社内システムにアクセスし、最新のアカウント情報を参照可能になった。顧客がオーダー管理システムに直接アクセスし、発注することでミスが減少。オーダー管理コストの40%削減を実現できたという。構築期間はわずか4カ月。会計/販売管理/出荷管理/サポートの巨大なシステムと膨大な顧客、取引先企業を抱える同社のケースを考えると、4カ月の構築期間は驚異的な短さだ。ほとんど作業をビジュアルインターフェイスで開発できるexteNdのツール群が力を発揮したといえるだろう。 企業の合併、分割などでさまざまなプラットフォームが企業システムに混在するのも課題となっている。それぞれの運用管理コストが増大するのはもちろん、場合によっては顧客や取引先企業が、複数システムにアクセスする必要がある。このようなn×nの組み合わせでは開発者やサポートの負担が爆発し、スムーズなビジネスの展開は難しくなる。 巨大金融グループのTransamericaは企業統合で社内に4つのシステムが混在するという危機的な状況になっていた。IBMのCICSと3270のメインフレーム、UNIX、Oracleのデータベースが混在し、ヘルプデスクへのコール量、データのエラー率ともに増大していたのだ。同社のディストリビュータはWAN経由でこれら複数のシステムにアクセスしていたが、その管理コストも莫大な額になっていた。また、ディストリビュータにとって4つのシステムを使いこなすのは困難で、不評を呼んでいた。 Transamericaに対してノベルが提案したのはポータル構築によるシステムの連携だった。ポータル構築にはDirectorを使用。Webサービスによる社内システム連携にはComposerを活用した。管理コストがかかっていたWANを廃止して、顧客やディストリビュータ向けに必要な情報を的確に社内システムから提供できるポータルサイトを構築した。結果として、これまでのTransamericaのシステムに不満を持っていたディストリビュータをつなぎ留めることに成功。新規ディストリビュータの開拓も容易になった。また、サポートに使っていたコールセンターのコスト削減を実現。ポータルによって社内システムを強固に連携させたことで生産性の向上も実現できた。もちろん、開発者の生産性向上を重視したexteNdのツール群を使うことで、プロジェクトは予定の期間、コストで完了。社内システムへの大規模な変更が必要な他社のシステムと異なり、ノベルのexteNdは既存システムに変更を加えることなくWebサービス、ポータルの導入が可能でコストを低く抑えることができる。Transamericaでは、わずか2カ月で投資額を回収できたという。
◇ Webサービスなど新しい技術に注目する企業は多いが、実際に導入するにはコストや開発者の負担、セキュリティなどで思いとどまるケースが多い。実績があるノベルのexteNdはこれら企業や開発者の“心配”を取り除き、企業が持つビジネスの価値を最大化するソリューションといえるだろう。「Webサービスはまだ様子見と思っている企業にこそexteNdを検討してほしい」というのがノベルからのメッセージだ。 【参考記事】 【本掲載内容に関するお問い合わせ先】 |
・Novell ・ノベル株式会社 ・ノベルのone Net ソリューションを構成する製品 ・Novell exteNd ・Identitech社がデジタルライブラリの開発にNovell exteNdを選択
・NovellとEMC、重要な企業データを自動的に保護するソリューションを提供 ・米ノベル、セキュア・アイデンティティ・マネジメントでUDDIに貢献 ・ノベル株式会社、oneNet戦略を推進する新ソリューション製品群を発表
・自らを再構築したノベル。新戦略のカギはWebサービス ・ノベルのWebサービス戦略で予想される、今後の意外なシナリオ ・「22年の経験を生かす」とWebサービスへコミットするノベル ・eDirectoryのシェア拡大を図るノベル、無償提供プログラム発表 ・「資産の活用がキー」、ノベルが新戦略に基づく製品を発表 ・ノベル、シングルサインオンをWebサービスまで拡張
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