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企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局
掲載内容有効期限:2003月8月11日

 



いま見えてきた「基幹システム・オープン化」への道
【第4回】

ホスト基幹システムを“再生”するミドルウェア

 前回までに見たように、基幹システム・オープン化の流れは次第にはっきりとしたものになってきている。その置き換えは全面的なリビルドよりは、できるところから順次、置き換えていくという“漸進主義”が多いようだ。

 このようにメインフレームを残しながら、全体としては“アダプティブ”なシステムに運用するためには上手なミドルウェア活用が重要になる。今回はミドルウェア・ベンダ各社にその活用法と動向を聞いた。

  データ連携ツール“HULFT”をアピール─セゾン情報システムズ

 セゾン情報システムズの「HULFT」は、いまや業界でデファクト・スタンダードといえるファイル転送ソフトである。

セゾン情報システムズ 取締役HULFT事業部長 西川信次氏
 「開発がスタートした1992年当時は、UNIXがビジネス用に使われるようになった時期で、メインフレームとUNIXでは文字コード体系が違っていたため、文字コードの変換およびデータ連携用にということで開発が始まった。販売をスタートしたのは1993年から」(HULFT事業部・西川信次事業部長)と、開発当初からメインフレームとオープン系を接続するためのツールであった。

 しかし、いまではLANおよびWAN、公衆回線、インターネットなど、多数のネットワークをサポートし、TCP/IPプロトコルで接続された、メインフレーム/AS400などのオフコン/UNIX/Windowsという異なるプラットフォーム間でのファイル転送をオートメーション化するソフトウェアとなった。4月16日に販売を開始した「HULFT6」では、IPv6、XML連携などを実現している。

 これだけ対応するプラットフォーム、接続方法が多岐にわたると使い方も大きく広がり、バッチ処理だけでなく疑似リアルタイム的なデータ連携にも使われているようだ。例えば神奈川県の箱根市役所では、今日の天気をWebサーバ上で公開するためのデータ転送にHULFTが使われている。これは30分ごとの転送で“ニアリーリアルタイム”の事例といえるだろう。3000社の導入企業は特定業種、業態にとどまらず、手軽な価格から幅広く使われているという。

 「移行のためのプログラムをいちいち作っていては手間がかかりすぎる。HULFTであれば、移行のためだけにしか利用しないという場合にもコスト的に見合う。まだ、こうした点のアピールが十分とはいえないが、今後作られていくシステムがオープンシステムであることは間違いない。それ以前に使われていたメインフレームを完全に撤去する場合であれ、一部残すといった場合であれ、データをどう移行するのかという問題に直面することは間違いない。その際にHULFTを利用してもらえるようアピールを行いたい」と西川取締役は語る。

 特に3月にはNECのメインフレーム「ACOS」への対応が完了し、国産の主要メインフレームに対応したこと、さらに4月に発売したHULFT6により、「売り上げ的にも対前年比18%アップを狙う」と強気の目標を立てる。

  ホストとのリアルタイム連携──日本アイオナテクノロジーズ

 アイルランドに本社を置く日本アイオナテクノロジーズは、CORBAをはじめJMS、Webサービスなどの標準仕様に準拠し、複数の分散したコンピュータの協調動作を実現するソフトウェア「Orbix シリーズ」を提供している。

 このシリーズの1つ「Orbix E2A Application Server Platform Mainframe Edition」は、メインフレームの既存アプリケーションをそのままに、Webサービスおよび CORBAのインターフェイスを追加し、オープン系システムへサービスとして公開することを可能にするソリューションだ。

 全世界で3000社の導入実績を持つことが同社の強みの1つで、例えば米ボーイング社のメインフレームを全面的にオープンシステムにリプレースする際に、同社の製品が導入されている。

日本アイオナテクノロジーズ テクニカル・セールス・マネージャ 伊笹広氏

 「ボーイング社では製品情報データベースをオープン系にする際、1つのパッケージではなく、複数パッケージの連携利用を行うこととしたが、それを実現するための手法はいくつも存在し、決まりきった回答というものは存在しない。だからこそ、システムインテグレータにとってはビジネスチャンスと成り得るし、当社のOrbixシリーズの必要性も出てくる」(伊笹広・テクニカル・セールス・マネージャ)

 日本においてはボーイングのように全面リプレースするのではなく、メインフレームを残しながら新たにオープンシステムを付け加えるスタイルも増加しており、「ここ数年は、既存ホストとオープンシステムの連携というパターンが案件的にも最も多くなるのでは」と同社では分析する。

 利用中のメインフレームが安定稼働しているのであれば、一足飛びにメインフレームの置き換えを望むユーザーばかりではないというわけだ。

 例えば、同社のユーザーでは、「三菱重工では、既存のメインフレームとPDMパッケージ、およびユーザーサイドのExcelクライアントを連携させた新システムを構築したが、こうした複数システムの連携に同社のOrbixシリーズが導入された。既存のメインフレームが残る場合、システム構築についてはメインフレーム時代からシステム構築を手がけてきたインテグレータが関わることが多いわけだが、メインフレームを手がけてきただけに、Javaについての知識がないといった場合もある。こうした場面で当社はシステム連携のお手伝いをしている」というように、実際にオープンシステムとメインフレームの連携といったケースも出てきている。

 伊笹マネージャは、「メインフレームについて、全面的に置き換える、全面的に残すといった2つしか回答がないように思われがちだが、その中間の回答として、メインフレームを残しながら新しいシステムを付け加えて連携していくという現実的な選択肢があってもよいのではないか」という。ただし、それは応急処置として既存システムを残すのではなく、「SOA(Service Oriented Architecture)という発想の下、アーキテクチャをきちんと見直して、既存システムを再利用可能なものとして活用することが重要」だと語る。

  “帳票”の上流も検証して提案──翼システム

 オープン系システムとメインフレームの連携というだけではなく、基幹系システムをオープン化した場合に意外と大きな課題となるのが帳票だ。基幹システムならではの大量印刷、デザインへの高い要求、外字の取り扱いなど、ユーザーのニーズは多様だ。

翼システム 情報企画事業部マーケティング部マーケティング課マネージャー 谷口功氏

 こうした帳票や外字などについては、「開発の初期段階から、考慮されていることが少ないのに反して、帳票を新たに開発を始めるとなると工程の5分の2が帳票にまつわる開発時間となると言われているくらい、手間と時間がかかる部分」(翼システム 情報企画事業部マーケティング部マーケティング課 谷口功マネージャー)と、開発工数が必要となる部分である。

 翼システムは、帳票ツールを提供し、この分野では他社に追随できないノウハウと実績をもつ。

 谷口功マネージャーは、帳票開発にまつわる現状を次のように指摘する。

 「帳票は日本企業のシステム開発につきものだが、エンジニアにはコストと時間をかけずに開発することが求められ、しかもその企業にとって最適なものが求められる。また帳票を電子化するニーズが出てきているが、システムを固有のものからオープン化することでしか、こうしたニーズに応えていくことはできないだろう。当社では、オープン化の流れを“オープンサイジング”と呼称し、企業が本当に欲しいと思っているシステム作りをしていきませんかと提案している」

 ペーパーレス化が叫ばれているものの、「トヨタのカンバン方式に代表されるように、作業を進めていく工程を記して効率アップを行っていく際に帳票は利用されている。その企業がもつノウハウに直結するのが帳票であり、そう簡単にはなくすことができないのが実情だろう。大企業であれば、1社あたり数千種類の帳票が存在するとされ、そう簡単に帳票類をすべてなくしていくことはできない」と、帳票が一気になくなっていくとは考えにくいと指摘する。

 しかも海外では、日本ほど緻密な帳票を利用する習慣がないため、「日本では外資系ベンダ製ERPを利用する際にも、企業側は帳票ソリューションを必要としている」と、日本独自のニーズがあることを強調する。

 翼システムでは、こうしたニーズに応えていくために、帳票ツールをミドルウェアとして提供。これを65社、80製品のミドルウェアと連携し、「最適な組み合わせとなる『実践型実装モデル』を提供することで、エンジニアのシステム構築作業の負荷を減らす」ことを提唱している。

 例えばSAP R/3において帳票を作る場合、標準機能で開発する部分のみならず業務要件によってはABAPによるアドオン開発が必要だが、プログラミングの世界では、おのずと工数が掛かりコスト増の要因となる。「実践型実装モデル for SAP R/3」という“動作検証済みのミドルウェア群”を活用することで、SAP R/3標準インターフェイス BC-RDIやIDOC、ABAPによるCSVデータファイルから柔軟な帳票システムに展開することができる。

 「実践型実装モデルに名を連ねたベンダ製品を見てもらえば分かるが、一部当社のコンペティタとなっている製品まで含まれている。しかし、部品の1つが足りないことで、商談が滞ってしまうという事態を避けるために、お互いに競合するのではなく、協調する方がメリットが大きいと考えてもらったことで、各社との連携できるようになった」と谷口マネージャーは語る。

 特に翼システムの場合、帳票という特定プラットフォームやベンダとの関係にとどまらず、幅広く各社と連携できる立場にあることが大きな強みとなった。

 「帳票ツールだけで主役になることはできない。しかし、主役にはなれない立場だからこそ、どのハードベンダ、プラットフォームベンダ、アプリケーションベンダとも連動することができる。ここが他社にはない、当社にとって最大の強み」だとアピールする。

 特にこれまでメインフレームで利用してきたものをオープン化する際には、「エンジニアは、これまでのような大量印刷がオープンシステムでも実現できるのかといった問題に直面するわけだが、その際に役立つ提案を行い、あとはエンジニア自身に選択してもらうことで、効率的なシステム開発が実現する」と、ツール選びに思わぬ時間をとられるエンジニアに対する支援策として、実践型実証モデルを提案していく。

  “設計時には想定外“の外字問題を救う──NTTデータ

 NTTデータの提供する「FORGE GAIJI」は、まさに日本のベンダからしか生まれてこないツールである。

 メインフレームやクライアント/サーバシステムで蓄積した外字を、Webシステムへも展開可能とするソフトウェアである。JISに定義されていなくてもメインフレームでは当たり前のように使われてきた文字、クライアント/サーバシステムで拡張して使用されてきた外字を、ブラウザを使用したWebシステムにおいても同様に使用できるようにする。

NTTデータ ビジネス開発事業本部システム方式技術ビジネスユニット第二システム方式技術担当 柴山威氏
 「NTTデータの場合、官公庁、自治体のお客様にシステムインテグレーションを行っているが、その際、姓名を扱うことが多く、メインフレームで多くの外字を扱っていた。メインフレーム用に蓄積した外字データを利用できないのかという発想でスタートしたのが、FORGE GAIJIだった」(ビジネス開発事業本部システム方式技術ビジネスユニット第二システム方式技術担当・柴山威氏)

 FORGE GAIJIの先駆けとなる製品はクライアント/サーバ用に開発され、現在のFORGE GAIJIはWeb対応となった。

 多くの場合、システムの構築の最初から、外字の存在が意識されているわけではない。FORGE GAIJIも、「ほぼシステム構築の中盤から、後半になってお呼びがかかることが多い」という。

 人名、地名の場合、「厳密さが求められるために、当初は計画されていなかったといっても、無視することはできない」ことから、何らかの対応策が必要となる。ここでFORGE GAIJIの登場となる。FORGE GAIJIの利用状況は、システム開発の過程において、新たに開発するのではなく、ツールを活用することでシステム開発にかかるコスト、期間を短縮する、その典型例といっていいだろう。

 NTTデータでは、「ユニークな製品だけに、まずはこうした商品が存在することのアピールが必要」との課題を挙げ、システム構築の初期段階からFORGE GAIJIというソリューションを想定したケースが増えるよう活動していくという。

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[東京]8月26日 9月2日・9日・16日・24日・30日 [大阪]9月12日
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[東京]8月27日 9月25日 SAP R/3 SAPGUI標準印刷のオペレーションから実行する「標準帳票」の出力デモをご紹介!
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[東京]8月29日 9月26日 Oracle E-Business Suite 11 i コンカレントプログラムの設定から出力できるソリューションのご紹介!
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