長谷川氏はさらに、実際に新データベース基盤の構築を進める中で、Oracle Database Applianceに感じた大きなメリットを2つ紹介した。それらのメリットとは、「基本性能の高さ」と「開発生産性と品質の向上」である。
「新しい生産管理システムの利用者は業務ユーザーを中心とする約600名ですが、Oracle Database Applianceの基本性能は非常に高く、本番環境とテスト環境、開発環境が1つのハードウェア上でスムーズに並行稼働しています。また、デフォルトの状態で高いパフォーマンスを発揮するため、データベースチューニングに時間を割く必要がなくなったことは大きなメリットに感じています。これにより、アプリケーションサーバーやSQLのチューニングに十分な時間を割けるようになりました。ハードウェアの安定性も高く、基幹システムを安心して運用できることも大きな利点です」(長谷川氏)
本番環境と同様に開発環境としてもOracle Database Applianceを使うことで、本番データを使ったテストが可能となり、アプリケーションの品質も向上したという。また、高度なシステム監視とパフォーマンスの自動診断を行う「Oracle Diagnostics Pack」、SQLチューニングの自動化や最適化支援を行う「Oracle Tuning Pack」といったオプション機能を活用することで、開発期間の短縮も実現した。
「正直にお話しすると、Oracle Database Enterprise Editionのオプションとして提供されるパフォーマンス診断ツールやチューニング自動化ツールの実効性について、最初は半信半疑でした。しかし、実際に使ってみると、SQLチューニングの効率が劇的に改善して短期間で高品質な開発が可能になるなど、非常に大きな効果が得られました」(長谷川氏)
このように、東栄住宅はOracle Database Applianceにより、将来にわたって安心して利用できる拡張性の高い統合データベース基盤を実現した。同社はこの基盤の上に、基幹データベースを集約しながらシステム統合を進めている。その中で長谷川氏らが特に力を割いているのが、“ユーザー視点による要件定義”である。
例えば、データベース統合を進める中では、複数のシステムで同名のデータ項目や、似た名前のテーブルが見つかることがある。ただし、同名であったり、似たような名前であったりしても、それを利用している部署や地域、あるいはそのデータを利用していた期間などにより、データの意味が異なるケースが多いのだという。当然、意味が異なるデータを統合することはできないので、システムごとに、どのデータが統合でき、どのデータは統合できないのかを見極め、可能なものは名寄せを行ったうえで統合するという作業に、当初の想定以上の手間が掛かったと長谷川氏は明かす。
また、要件定義においては、ユーザーの要求を細かくヒアリングしつつ、ユーザー自身にも“全体最適”の意義を理解し、場合によっては妥協してもらう必要性を強く感じたと語る。
「システムが新しくなることで、操作や業務の進め方を変えなければならないとしたら、大抵のユーザーは抵抗を感じます。そうしたユーザーに対しては、単なる操作性の違いばかりに気をとられるのではなく、システムの全体最適化がビジネスにどのような好影響を与えるのかを理解してもらう努力が必要不可欠になってきます。業務や経営の効率を高めるための仕組みを考え、ユーザーのどの意見を採用してシステムに取り入れるのかは、システム作りにおいて最も難しく、また醍醐味がある部分です。今回のデータベース統合は、こうした部分に特に気を遣いながら進めました」(長谷川氏)
東栄住宅は、Oracle Database Applianceによる統合データベース基盤と新生産管理システムの最終カットオーバーを9月に予定している。同社は、この新システムの能力もフルに活用し、強みとする「低廉かつ良質な住宅」の供給拡大を通じたさらなる成長への足場を固めようとしている。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年9月10日
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