以上のようにして統合データベース環境を整えたナガセ情報開発だが、次に行う移行作業の詳細を検討する中で新たな問題が浮上する。それは、「SAP標準のR3loadでは、停止許容時間内にデータを移行することができない」というものだ。
この問題の解決策を検討した結果、吉澤氏らはオラクルが提供する「高速データ移行・再編成サービス(O2O:Oracle to Oracle)」の活用を決める。これはオラクルのエンジニアがオンサイトでSAPシステム間のデータ移行を行うというサービスであり、R3loadに対して5〜10倍も高速なデータ移行を実現する。加えて、ナガセ情報開発はデータ移行を確実する行うために2回のリハーサルを実施している。
「本番を想定したリハーサルを入念に実施したことで、手順の確立と潜在的なトラブルを解消できました。実際、1回目のリハーサルではSAP ECCのデータ移行に28時間もかかり、当初の想定を大幅にオーバーしました。これはデータベースのキャラクターセットの不一致やエクスポート処理の失敗、特定の表のサイズが大きいことなどが理由でした。これらの問題を解決した2回目の移行リハーサルでは大幅に時間を短縮し、本番移行も無事に終えることができたのです」(吉澤氏)
こうしてOracle Exadata X上へ移行したことで、SAPの各アプリケーションのパフォーマンスは大幅に向上した。例えば、従来5時間38分かかっていたSPA BWのデータロードが2時間44分に短縮した他、DWHのバッチ処理も70分から50分へと高速化。さらに、「実績紹介システムや採算管理システムなどのレスポンスも大きく改善していました」と吉澤氏は胸を張る。
このようにOracle Exadata X4の導入効果を述べると、最後に吉澤氏は、今後の計画について「いくつかのデータベースは単純にOracle Exadata X4上へ移行しただけのため、それらを整理/統合して再構築していきます。また、Windows Server 2003のサポートが2015年7月で切れるので、その上で動かしているOracle Databaseの統廃合も進める予定です」と説明して講演を締めくくった。
各国の拠点で1つの基幹アプリケーションを共通に利用することにより、組織の俊敏性を高めてグローバル経営を強化する──このグローバルシングルインスタンスの実現で大きな課題となるのは、膨大なデータの高速かつ安定した処理を支える強力なデータベース基盤をいかに整えるかだ。最新のOracle Exadata X4によってこの課題を乗り越えた長瀬産業は、天保の時代から続く成長の歩を一段と早めようとしている。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年2月12日
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