続いて、Oracle Audit Vault and Database Firewallの特長や機能概要を紹介する。
Oracle Audit Vault and Database Firewallには、大きく次の二つの機能が備わる。
このうち、「(1)モニタリング機能」では、OSやデータベースで取得した監査ログを収集し、その内容に基づいてモニタリングが行える。データベースの監査ログについては、Oracle Databaseだけでなく、IBM DB2やMicrosoft SQL Serverといった他社製データベースにも対応している。
また、「(2)ブロッキング機能」では、事前にセキュリティポリシーを定義することで、そのポリシーに基づいてSQL単位でアクセスをブロッキングすることができる。
Oracle Audit Vault and Database Firewallは、次の三つのコンポーネントで構成される。
Database Firewall Server アプリケーションサーバーとデータベースサーバーの間を流れるネットワークパケットを収集したり、セキュリティポリシーと照らし合わせてブロッキングを行ったりするコンポーネント
Audit Vault Agent データベースサーバーにインストールされ、監査ログやOSのログを収集するJavaコンポーネント
Audit Vault Server Database Firewall Serverで収集したネットワークパケットやAudit Vault Agentで収集したログを一元的に管理、監視、モニタリングするためのコンポーネント。Database Firewall ServerやAudit Vault Agentの管理も行う
Oracle Audit Vault and Database Firewallによるモニタリングでは、大きく次の二つの方式を取ることができる。
アウトバウンド方式 アプリケーションサーバーとデータベースサーバーの間に設置されたネットワークスイッチにミラーポートを設定。それを経由してネットワークパケットをキャプチャし、そのデータをDatabase Firewall Serverに送ってモニタリングする
エージェント方式 Audit Vault Agentをデータベースサーバーにインストールし、データベースサーバーの監査ログとOSログを収集する
アウトバウンド方式では、Database Firewall Serverに設定したネットワークパスだけが監視対象となり、データベースサーバーへの直接アクセスは監視できない。直接アクセスも監視したい場合は、データベースサーバーにAudit Vault Agentをインストールするエージェント方式を使う。これら二つの方式を組み合わせて、アプリケーションサーバー/データベースサーバー間のネットワークをモニタリングしつつ、データベースサーバーの監視も行うハイブリッド方式を取ることもできる。
ブロッキングでは、Database Firewall Serverに対して事前にセキュリティポリシーを定義し、それに基づいてSQLパケットを監視してブロッキング処理を行う。こちらも、次の二つの方式を取ることができる。
インライン方式 アプリケーションサーバーとデータベースサーバーの間にDatabase Firewall Serverを置いてブロッキングを行う
プロキシ方式 一般的なプロキシサーバーと同様にDatabase Firewall Serverを配置し、アプリケーションサーバーからのパケットをDatabase Firewall Serverを介してデータベースサーバーに受け渡す
システム環境によっては、アプリケーションサーバーとデータベースサーバーの間にDatabase Firewall Serverを置けないケースがあるだろう。その場合はプロキシ方式を選択することになるが、このとき、アプリケーションサーバーからの接続先はデータベースサーバーではなく、Database Firewall Serverとなる点に留意されたい。
Oracle Audit Vault and Database Firewallは、冗長化構成を組むこともできる。それにより、例えばDatabase Firewall Serverで障害が起きた際、別のサーバーで継続してモニタリングを行うといったことが可能となる。
冗長化構成を取る際には、下図に示すようにDatabase Firewall Serverを冗長化する。
Database Firewall Serverを冗長化した場合、一方の(図中の上の)サーバーがプライマリとなり、もう一方がセカンダリとなる。このとき、Audit Vault Serverは、必ずプライマリが収集するログを監視するが、ご注意いただきたいのは、スイッチとDatabase Firewall Server間の接続を必ず“たすき掛け”にするということだ。それにより、常にセカンダリのDatabase Firewall Serverにもパケットが流れるようになり、プライマリのDatabase Firewall Serverに障害が起きてセカンダリのDatabase Firewall Serverがプライマリに昇格した際や、ネットワークスイッチとプライマリのDatabase Firewall Server間でネットワーク障害が起きた際にも、常に途切れることなくモニタリングが行えるようになる。
以上のような特長を備えるOracle Audit Vault and Database Firewallを使うメリットとしては、次の五つが挙げられる。
冗長化構成によるセキュリティレベルの保持 Database Firewall Serverを複数立てて冗長化構成を取ることで、常に高いセキュリティレベルを保つことができる
監査証跡の完全性の担保 監査証跡を蓄積するAudit Vault Serverには、標準でOracle Database Vaultがインストールされる。そのため、収集した監査証跡やログへのアクセスを厳格にコントロールすることができる
監査証跡の定期的な分析 セキュリティ対策として監査ログの記録を行っている企業では、単にログを記録するだけで終わらせているケースが少なくない。Database Firewallを導入した場合、セキュリティ侵害を受けた際にはアラート通知機能により、そのことを即時に検知して対応することができる。また、カスタマイズ可能な監査リポートを管理者に自動配信することで、定期的な監査証跡の分析に利用することができる
監査証跡の確実な保管 Audit Vault Serverで収集した監査ログは、自動的にアーカイブしたりバックアップしたりすることで確実に保管できる
監査証跡の一元管理 複数のデータベースから取得した監査証跡を一元的に管理し、ログの分析やアラート、レポーティングを行うことができる
Oracle Database VaultとOracle Audit Vault and Database Firewallの特長をご理解いただいたところで、最後に、ある企業が両製品を用いてデータベースシステムの「攻めと守り」を固めたプロジェクトの事例を簡単に紹介したい。
このプロジェクトは、それまで独立して稼働していた複数のデータベースを1つのシステム基盤上に統合するというものだ。その中で懸案となったのが、次の2点である。
このうち、課題(1)は、旧システムでDBAロールを使ってデータベースに接続していたアプリケーションの統合に関するものだ。旧環境のデータベースは単独で稼働していたため問題が少なかったが、新たな統合データベース環境では、そのアプリケーションのDBAユーザーが他のデータベースにも接続できることとなり、セキュリティ上、好ましくない。その対処として、DBAロールの廃止が考えられるが、「既存環境にはなるべく手を入れたくない」というユーザー部門の要望もあり、データベース環境内で対応可能な解決策が求められていた。
プロジェクト関係者らは検討の末、課題(1)をOracle Database Vaultを使った予防的統制によって解決した。具体的には、Oracle Database Vaultを使ってDBAロールから業務データベースへのアクセス権限を剥奪することで、職責を逸脱したデータベースアクセスを行えないようにしたのである。加えて同社は、1人のユーザーに多くの権限を与えないようデータベース管理業務に関する権限分掌を行ってバックドアユーザーが作られないように対策することで、統合データベース環境のセキュリティを強化した。
また、課題(2)を解決する目的からOracle Audit Vault and Database Firewallを導入。これにより、監査証跡の一元管理、証跡の改ざん防止、定期的な分析/レポーティングといった発見的統制を実現したという。
以上、対策が急がれるデータベースへのアクセス制御とデータベース監視/監査を効果的に実現するソリューションとしてOracle Database VaultとOracle Audit Vault and Database Firewallを紹介した。マイナンバー対応などに伴いセキュリティ対策の見直しを進めている企業は、ぜひこれらのソリューションも活用して効果的なデータベースセキュリティを実践していただきたい。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年10月3日
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