サーバ仮想化とプラットフォームの仮想化の違いを、独立店舗とショッピングモールに例えて紹介しました。重要なことは、以下の3つです。
ポイントは、データベースという共通したオペレーションが行われるミドルウェアの層で標準化することで、全体がシンプルになり、運用効率が高まるということ。そして、それが運用コスト削減につながることです。ハイパーバイザーによって仮想化し、集約したシステムと比較したときに運用コスト面で優位なのはこのためです。
日本オラクルでは、現代的なショッピングモールのように効率を考え抜いたオペレーションを実現するアーキテクチャとして、「Oracle Database 12c」において「Oracle Multitenant」を提案しています。
その中核的な技術が、データベースクラウド基盤となる「マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)」と、用途に応じて論理的に分離された「プラガブル・データベース(PDB)」です。
これまでは用途ごとに別々にデータベースを構築するケースが多かったと思います。これに対しOracle Multitenantは、CDBで、メモリをはじめとするリソースを共有し、集約度を高めるとともに、必要なリソースを適切に割り当てることで、パフォーマンス向上を実現します。パッチの適用やバックアップをはじめとするメンテナンス作業は、CDBという1つのデータベースに対して行えばよいので、作業工数が減り、運用管理コストを大きく削減できます。一方、用途ごとのデータは論理的に分離したPDBに格納され、これまで個別に構築、運用していた従来型のデータベースとまったく同じ独立性、セキュリティを確保しています。既存システムで利用していたアプリケーションコードの変更も不要です(図4)。
実は、データベース運用コストの60%以上が、パッチ適用やバックアップといった「作業のための人件費で占められている」という調査結果があります。Oracle Multitenantを利用した統合によってこれらのタスクを集約し、運用効率を10倍に上げられるとしたら、運用コストの削減効果は絶大なものがあるでしょう。
ちなみにPDBは、「プラガブル(着脱できる)」という名前が示す通り、USBメモリを抜き差しする感覚で、非常に少ないステップでデータベースの移行、作成/削除が行えます。開発/検証用のクローン環境の作成もスピーディーでかつ容易に行えますし、セルフ・サービスによるプロビジョニングも可能です。
今後、さまざまな環境やビジネス要件に応じて迅速にサービスを提供するには、システムデザインをしっかり考え、標準化したものをサービスカタログ化するといった準備が重要になるでしょう。そうした環境さえ整えば、あとは必要に応じてセルフプロビジョニングし、手間をかけず迅速にサービスを展開できるようになります。安易に「サーバを仮想化すればコストが減り、柔軟にサービスを展開できる」と考えるのではなく、データベースも含めたプラットフォームレベルで標準化、仮想化を考えていただきたいと思います。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年10月25日
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