これらの課題を解決すべく、大東建託はデータベース基盤の刷新を決断。2015年2月より新データベース基盤の検討を重ね、同年6月に採用を決定したのがOracle Exadata X5のオールフラッシュモデルであった。選定の決定打となったのは、高いパフォーマンスに加えて、ハードウェアからソフトウェアまでオラクルが全てを一体として提供/サポートするEngineered Systemsならではのメリットだという。
「Oracle Exadataであれば、何か問題が生じた際、ハードウェアまで含めて対応窓口をオラクルに一本化できます。そのため、例えばI/Oに関して性能上の問題が生じた際、原因がサーバにあるのか、それともソフトウェアにあるのかといった切り分けを当社側で行う必要がなくなり、運用の負担を大きく軽減できることはとても魅力的でした。I/O性能を含め、パフォーマンスが非常に高いと聞いていたので、そこも大いに期待していた部分です」(宮田氏)
Oracle Databaseのバージョンは最新の12cを選んだ。また、高い可用性を実現するためにOracle Exadataを2台導入し、両者を「Oracle Data Guard」によって同期することも決めた。もし一方のOracle Exadataに障害が発生したとしても、同期しているもう一方のOracle Exadataでサービスを継続できるという構成だ。さらに、バックアップ用のストレージとして「Oracle ZFS Storage」を新たに採用した。
カットオーバーの目標期限は、「いい部屋ネット」のユーザビリティを高めるためのサービスアップデートを行う直前の12月と定められた。
「不動産情報ポータルで検索を行うと、検索結果に同じ物件が複数並ぶことがあります。これは物件が同じであっても、取り扱っている不動産会社様が異なるためです。しかし、検索サービスを利用するユーザーは、同じ物件がいくつも並んで表示されるのは使い勝手が悪いと感じるでしょう。そこで、この問題を解消し、不動産会社様が異なる場合でも同じ物件は1つの検索結果として表示することで、ユーザビリティを高めるためのサービスアップデートを12月に予定していました。これを実施する前にデータベース基盤の入れ替えを行う必要があったのです」(宮田氏)
なお、Oracle Exadataの採用に際しては、導入から運用までの作業を委託するシステムインテグレーターとして伊藤忠テクノソリューションズが選ばれた。同社を選んだ理由について、宮田氏は「当社のデータベース基盤が抱える課題を正確に把握していただき、何も言わなくても私たちが望む要件を取り入れたご提案をいただけたことが決め手となりました」と説明する。
カットオーバーに向けた移行作業は順調に進められたが、一部の検索系処理で想定したパフォーマンスが得られないというハプニングも発生した。これは、以前に利用していたOracle Database 11gと、新たに利用するOracle Database 12cの間でSQLの実行計画が異なっていたためだ。
「Oracle Database 11gでは表をネステッドループで結合していましたが、12cに変えるとハッシュ結合が増え、これが想定通りのパフォーマンスが出ない原因となっていました。そこで、スケジュールに余裕がなかったこともあり、ヒント句などを加えて以前と同様の実行計画になるように修正すると、実行コストが10分の1から100分の1にまで低下し、パフォーマンスが大幅に向上しました」(宮田氏)
このチューニング作業で活用したのが、SQLの実行性能などを詳細に確認することが可能なデータベースチューニングツール「Oracle Tuning Pack」だ。同ツールを用いて処理に時間がかかっているSQLを抽出し、適切なチューニングを施すといった具合に作業が進められた。このようにツールも有効活用ししながらプロジェクトは進み、予定通り2016年12月にカットオーバーを迎えている。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年5月2日
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