近年、ビジネスとITの距離が急速に縮まり、ビジネスにおいてITが担う役割はさらに重要度を増しつつある。これに伴い、運用管理者に対しても、今までのように単にシステムを安定して運用するだけではなく、ビジネスに寄与することが求められてきている。そして今、運用管理者を悩ませている課題は大きく3つある。どうすれば解決できるのだろうか。
近年、ビジネスとITの距離が急速に縮まり、ビジネスにおいてITが担う役割はさらに重要度を増しつつある。これに伴い、運用管理者に対しても、今までのように単にシステムを安定して運用するだけではなく、ビジネスに寄与することが求められてきている。
今、運用管理者を悩ませている課題は大きく3つある。「システムトラブル」「パフォーマンス問題」「システム提供スピード」だ。
「システムトラブル」は、従来、運用管理者が抱える課題の1つだが、ITとビジネスの距離が近づいたことで、その影響はさらに深刻さを増してきている。システムトラブルが発生すると、運用管理者の通常業務は全てストップし、多忙な業務の中でもトラブル対応の優先度が最上位になる。また、システムに依存する業務が増加しているため、ユーザーやビジネスに及ぼすインパクトも大きくなる。
例えばメールシステムにおいては、20年前であれば30分止まっても許されることもあったかもしれないが、今は絶対に許されない。さらに、一度システムトラブルを起こすと、運用管理者は「また起きるかも……」という不安を抱えながら運用することになり、精神的な負担も増加してしまう。
「パフォーマンス問題」は、IoT(Internet of Things)やデジタルトランスフォーメーションの浸透によって爆発的に増えるビッグデータ、ディープラーニングのブレイクスルーに伴う昨今のAI(人工知能)ブーム、さらにはAR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)などの新たなサービスへのビジネス要請が本格化する中で、深刻さが急上昇してきた運用課題だ。実際、航空機のメンテナンス作業支援にMRを利用している事例も出てきている。
一方で、IoTやディープラーニング、AR/VRなど、新しいアプリケーションやサービスを扱うビジネスには、システムにリアルタイムレベルの高いパフォーマンスやファイルサイズが大きいデータ処理が不可欠となってくる。運用管理者には、提供するサービスの要件に合わせて、どのようなストレージやサーバなどのインフラを採用するかという目利きが求められてくるだろう。
「システム提供スピード」は、昨今のクラウドサービスの進展に伴い顕在化してきた課題だ。ワンクリックでサーバが利用できる感覚をユーザーがつかんできたことで、社内のITサービスもそのスピード感に付いていく必要が出てきている。
従来のように、新しいシステムを立ち上げるために、見積もりを取って、設計、実装するといった手間や工数をかけていられなくなってきた。パブリッククラウドが当たり前になった現在、サーバ環境や仮想化環境はワンクリックですぐに利用できるものと考えるユーザーも増えている。
こうした状況の中、日本ヒューレット・パッカードは、運用管理者が頭を悩ませる3つの課題に対して、さまざまなソリューションを用意している。
まず「システムトラブル」に対しては、人工知能(AI)による予測分析プラットフォーム「HPE InfoSight」を提供している。
「HPE InfoSight」は、ストレージ製品「HPE Nimble Storage」に標準で搭載されている保守サービスの1つで、システムの稼働状況を把握、分析してシステムトラブルを起こす前に対処を可能にする。HPE Nimble Storageのユーザーは、無償で利用できる。
絶対に壊れないシステムは存在しないのが現実であり、システムトラブルはいつか必ず起こることを前提に対処法を考えることが必要だ。HPE InfoSightでは、HPE Nimble Storageからさまざまなセンサーデータを収集し、リアルタイムで障害予兆の検知と診断を行う。そして、異常を検知した場合は、影響が出る前に顧客に通知し、対策をアドバイスする。
具体的には、1台のHPE Nimble Storageアレイから1日当たり3000万〜7000万以上のセンサーデータを収集。センサーデータには、アレイのハードウェア情報(PS電圧、ファン速度、温度)をはじめ、リソース統計(CPU使用率、Cache使用率、容量使用率)、パフォーマンス統計(Read IOPS、Write IOPS、Readレイテンシ、Writeレイテンシ)、接続されているインフラストラクチャ統計(ネットワーク統計、VM統計)、データ保護(スナップショット状態、レプリケーション状態)などの情報が含まれている。これらのデータを1秒単位で収集し、5分間隔でクラウド上のHPE InfoSightにアップロード。AIやデータアナリストによる分析によって、システムトラブルの予兆をチェックする。
もし、障害予兆が検知された場合は、HPE InfoSightから、アラート通知を出すとともにトラブルへの対処法を自動でレコメンドする。
アラート通知については、日本のユーザーは1日に何十通もアラートメールが届くと、見なくなったり、捨ててしまったりする傾向があるため、現在のところサポートチームがHPE InfoSightからのアラート通知を一次受けして、ユーザーにとって重要な内容のみを転送している。
これらのサービスによって、HPE InfoSightでは、アラート通知の93%のケースが自動的にオープンされ、86%のケースが解決策の提供によって自動的にクローズされているという。また、エンジニアが対応するケースの平均難易度は5段階中3.0(5が最も難しい)で、平均的なケースクローズまでの対応時間は42分。顧客のサポートに対する満足度調査の平均結果は5点満点中4.9と高い評価を得ている。
HPE InfoSightは、サービスが開始してから6年半以上が経過しており、これまでに1万社以上、40兆ものデータが蓄積されている。さらに、単にデータをためるだけではなく、実際に障害予兆の検知、分析、通知を繰り返し行ってきた実績もあり、長年の運用で培われた分析ナレッジも大きな強みになっている。
HPE InfoSightの代表的なトラブル防止事例としては、「空調機器の故障によるサーバルーム内の温度上昇を検知」「パケットロスの発生原因がサーバNIC(Network Interface Card)の障害であることを検知」「VMware ESXイニシエーターの問題が他顧客へ波及するのを阻止」したケースが挙げられる。
なお同社は、HPE Nimble StorageとHPE InfoSightの組み合わせによる高い製品品質によって、9000社以上で99.999928%(シックスナイン以上)の可用性実績を達成したことを受け、「99.9999%可用性保証プログラム」を提供している。HPE Nimble Storageのユーザーが、万が一、99.9999%の可用性を下回った場合は、利用料金を返金するという。
今後は、アプリケーションの階層まで含めたインフラストラクチャ全体にわたって運用、管理の自動化を実現することを目指しており、サーバ、ストレージ、ネットワーク、コンバージドといったHPE Nimble Storage以外の製品にもHPE InfoSightの対応を拡大していく予定だ。その第1弾として3PARのVMVision(HPE Infosight内のVMware対応部分)への対応がアナウンスされている。
2つ目の課題「パフォーマンス問題」に対しては、オールフラッシュ構成のストレージ製品「HPE 3PAR StoreServ」がある。
HPE 3PAR StoreServの主な特長は、クラスタ型アーキテクチャで稼働率99.9999%(実績値)の高可用性を実現することだ。また、自社開発の「Gen5 ASIC」で、コントローラーCPU処理のオフロードによる性能を最大化。さらに、高速セルフストレージにより、誰でも秒速でサービスの提供、変更が可能な他、高いレベルのQoS(Quality of Service)/ティアリング制御機能を備えている。
HPE 3PAR StoreServは、2016年第1四半期の工場出荷額では33%の比率だったが、1年後の2017年第1四半期には、オールHDDモデル、フラッシュハイブリッドモデルを上回り、53%までに達しているという。
さらに同社は、オールフラッシュの次の一手として、データをSSDに保管し、不揮発性のメモリをキャッシュとして搭載したハイブリッド構成を取ることで、さらにレイテンシを引き上げる取り組みも進めている。
3つ目の「提供スピードの問題」を解決するソリューションとして同社が提案しているのが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品の「HPE SimpliVity 380」だ。ビジネスに必要不可欠なあらゆる機能をビルトインで提供するオールインワン製品であり、信頼性の高い「HPE ProLiant DL380」サーバで提供される。電源を入れて、ウィザードに従ってパラメーターを設定するだけで、難しい設計をすることなく仮想化環境を構築できる。
この高速性能を支えるキーテクノロジーとしては、まずはストレージ処理専用チップで、サーバのCPUを使わずに「従来の1000倍の粒度」で重複判定を行う「ハードウェアアクセラレータ」が挙げられる。また、I/O高速化のために、DIMM(Dual Inline Memory Module)のインメモリ活用、「重複排除と圧縮を前提にしたアーキテクチャ」によって、徹底的に効率化が図られている。
運用管理については、VMware vCenter純正ツールを使って、SDS(Software-Defined Storage)管理や性能監視、バックアップ、BCP(事業継続計画)/DR(災害復旧)コントロールなどを容易に一元管理できる。
スケールアウトの方法はシンプルなものだ。もう1台のHPE SimpliVity 380を10Gスイッチに接続し、「Deployment Manager」を再度実行するだけで、最大32ノードまで増設可能となっている。
HPE SimpliVity 380によって、パブリッククラウド並みのスピード感を持って仮想化環境の立ち上げやサービス提供などが可能になるだろう。
このように日本ヒューレット・パッカードは、運用管理者を悩ませる3大課題を解決する製品をラインアップしており、下図のように各製品の使い分けを推奨している。
「ビジネスに寄与するIT」の実現に向けて、システム運用の課題に直面している運用管理者は、日本ヒューレット・パッカードのソリューションを活用して、課題解決への第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年2月15日