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テーブル結合の仕組みを理解するSQL実践講座(5)

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今回掲載の内容

  • 前回使用したサンプルを解析する
  • 結合が必要になる理由


 今回は、前回に引き続き、SQL文での結合の仕方(JOIN)について説明します。まずは、前回の例題3の仕組みをさらに解説していきましょう。

前回使用したサンプルを解析する

図1 前回の例3で使用した2つのテーブル
図1 前回の例3で使用した2つのテーブル

 前回(「異なるテーブル同士を結合する『JOIN』句」)例題3で使用した「Order Details」テーブルと、「Products」テーブルの一部を図1にピックアップしてみました。この2つのテーブルに対して、以下のSQLを発行しました。

【前回の例題3】

SELECT OrderID, Prd.ProductID, ProductName, Prd.UnitPrice, Quantity, Discount 
FROM "Order Details" Ord 
INNER JOIN Products Prd ON Ord.ProductID=Prd.ProductID

 このSQLが処理される過程を順に見てみましょう。

 まず、「Order Details」の1行目をピックアップし、結果リストに埋め込みます。

図2 Order Detailsテーブルから1行目を抽出してきた結果(ステップ1)
図2 Order Detailsテーブルから1行目を抽出してきた結果(ステップ1

 次に、「Products」テーブルを検索し、ProductIDが「11」であるものをピックアップし、結果リストに埋め込みます。

図3 ステップ1の結果に、さらにProductsテーブルの中からProductIDが11であるものを抽出してきた(ステップ2)
図3 ステップ1の結果に、さらにProductsテーブルの中からProductIDが11であるものを抽出してきた(ステップ2

 次に、「Order Details」テーブルの2行目をピックアップし、結果リストに追加します。

図4 同様の操作で2行目も追加する(ステップ3)
図4 同様の操作で2行目も追加する(ステップ3

 そしてまた、「Products」テーブルを検索し、ProductIDが「42」の行をピックアップし、結果リストに埋め込みます。

図5 同様の操作でProductIDが42の行も追加する(ステップ4)
図5 同様の操作でProductIDが42の行も追加する(ステップ4

 このような処理が、「Order Details」テーブルのデータがなくなるまで繰り返され、前回の例3の結果リストは完成します。

結合が必要になる理由

 そもそも、なぜこのように、複数のテーブルでデータを管理する必要があるのでしょうか? もともと1つのテーブルにすべてのデータが入っていれば結合をする必要もなく、SQL文もシンプルで済むのではないでしょうか?

 これは、RDBMSがカード型DBと大きく考え方が違う部分です。詳しい言及はここでは避けますが、概要を説明しましょう。

 RDBMSは、1つのデータは1カ所で集中管理するべきだ、という考え方に基づいています。これは、データの整合性を保証するために必要な考え方の1つです。

 例えば、例3で使用した「Order Details」と「Products」は、図5の結果リストのように、すべてのOrder Detailsデータに対してProductNameが保存されていても何ら問題がないように思えます。

図6 Order Detailsテーブルのよくない例
図6 Order Detailsテーブルのよくない例

 ただし、このようなテーブル構成にしてしまうと、もしProductIDが11の「Quest Cabrales」の単価が「$21」から「$24」に変更になった場合に、すべてのOrder Detailsに含まれるProductIDが11の行に対して、UnitPriceの更新をしなくてはなりません。また、ほかのテーブルにも同様にProductIDが11のProductのUnitPriceが保存されている場合、それらのテーブルもすべて変更の必要が生じてしまいます。

 このように1つのデータが複数の場所に分散している構成だと、データベース全体でデータの整合性を保証するのが、規模が大きなデータベースになるほど難しくなります。これを回避する手段の1つが「1つのデータは1カ所で集中管理するべき」というRDBMSの考え方につながっています。

 ここで、「1つのデータ」を抽出する作業のことを、「正規化」と呼びます。例えば、Productを1つのデータの単位と考えて「Products」テーブルを作成する、という作業がこれにあたります。

今回のまとめ

今回は、「結合の仕組み」を紹介しました。次回は、より複雑なJOINの例と、JOINのバリエーションについてを予定しています



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