MySQL 5.0の新機能をアルファ版でチェック:エンタープライズ市場に向かうMySQL 5.0(前編)(3/3 ページ)
いま、最も勢いのあるオープンソースRDBMSといえばMySQLだ。2004年1月に公開された5.0アルファ版は、従来のMySQLとは一線を画する拡張が加えられており、エンタープライズ市場への進出を予感させる。
MySQL 5.0.0-alphaのインストール
では、新機能を確認するために5.0.0-alphaをインストールしてみましょう。ただし、5.0は開発中のバージョンであり、運用系やミッションクリティカルな用途に使うべきではありません。テスト環境を別途用意し、その上で試用することをお勧めします。
MySQL社の公式Webサイト(http://www.mysql.com/)には、LinuxやWindowsをはじめとするさまざまなプラットフォームのバイナリファイルが用意されているため、通常はこちらを利用します。MySQL社が用意しているバイナリは、各プラットフォーム向けに最適化されているため、自分でソースからmakeするより良いパフォーマンスが得られます。
ただし、OpenSSLの組み込みなど、デフォルトでは省略されている機能を追加する場合やインストール先を変更したい場合は、ソースからmakeすることになります。
ソースによるインストール
最初に、グループmysqlとユーザーmysqlをシステムアカウントとして追加します。ユーザーホームディレクトリは、MySQLのデータディレクトリである/usr/local/varになります。
以下の作業は、すべてrootで行っています。
# groupadd mysql # useradd -r -g mysql -d /usr/local/var mysql
次に、適当な作業ディレクトリにmysql-5.0.0-alpha.tar.gzをダウンロードし、ファイルを展開します。
# wget http://www.softagency.co.jp/MySQL/Downloads/MySQL-5.0/mysql-5.0.0-alpha.tar.gz # tar xvfz mysql-5.0.0-alpha.tar.gz
展開されたディレクトリに移動し、configureとmakeを実行します。configure実行時に指定するオプションや、ファイルのインストール先についてはMySQLインストール完全ガイドを参照してください。
# cd mysql-5.0.0-alpha/ # ./configure --with-charset=ujis -with-extra-charsets=all --with-mysqld-user=mysql
なお、4.1以降はUnicode対応により、configure時の--with-charsetオプションでUTF-8やUCS-2を指定可能です。UTF-8をデフォルト文字コードにする場合は、
--with-charset=utf8
UCS-2にする場合は、
--with-charset=ucs2
を指定します。デフォルトのインストール先を変更する場合は、
--prefix=/インストールPATH
を指定します。
configureが終わったら、make、make installを実行します。
# make # make install
次に、データベースを初期化します。その後、データディレクトリのオーナーをmysqlユーザーに修正します。
# scripts/mysql_install_db # chown -R mysql.mysql /usr/local/var
この時点では、データベースの実体は作成されていません。mysqld_safeを初めて実行したときに作成されます。
最後に設定ファイル/etc/my.cnfを用意します。
# cp support-files/my-medium.cnf /etc/my.cnf
ここでは標準的な設定ファイルを使用しますが、用途に応じてmy-huge.cnf、my-large.cnf、my-small.cnfを適宜選択します。
ディレクトリ | 保存されるファイル |
---|---|
/usr/local/libexec/mysqld | MySQLサーバ |
/usr/local/bin/ | コマンド類 |
/usr/local/lib/mysql/ | ライブラリ |
/usr/local/include/mysql/ | includeファイル |
/usr/local/var/ | データベース保存先 |
RPMによるインストール
Red Hat LinuxやTurbolinuxなどは、RPMファイルを使ったインストールが可能です。ここでは最小構成のMySQL-server-5.0.0-0.i386.rpmとMySQL-client-5.0.0-0.i386.rpmのみをインストールします。
# rpm -ivh http://www.softagency.co.jp/MySQL/Downloads/MySQL-5.0/MySQL-server-5.0.0-0.i386.rpm # rpm -ivh http://www.softagency.co.jp/MySQL/Downloads/MySQL-5.0/MySQL-client-5.0.0-0.i386.rpm
MySQL-bench-5.0.0-0.i386.rpmやMySQL-devel-5.0.0-0.i386.rpmは、必要に応じてインストールします。
RPMファイルを使ったインストールは以上です。ソースからインストールした場合とでは、各ファイルのインストール先が異なるため注意が必要です。
ディレクトリ | 保存されるファイル |
---|---|
/usr/sbin/mysqld | MySQLサーバ |
/usr/bin/ | コマンド類 |
/usr/lib/mysql/ | ライブラリ |
/usr/include/mysql/ | includeファイル |
/var/lib/mysql/ | データベース保存先 |
my.cnfの修正
必要に応じて、/etc/my.cnfを編集します。例では、デフォルトのテーブルタイプをInnoDB、デフォルトの文字コードをEUCに設定しています。
[mysqld] (省略) default-table-type=InnoDB default-character-set=ujis
さらに必要であれば[mysqldump]セクションにも
default-character-set=ujis
を追加しますが、[mysql]に追加する場合は注意が必要です。mysqlコマンドだけでなくmysqladminにも影響し、5.0ではmysqladminでエラーが発生します。
以上でインストールは完了です。
起動と動作確認
ではMySQLを起動してみましょう。MySQLの起動は、mysqld_safeコマンドを使用します(注)。
# /usr/local/bin/mysqld_safe --user=mysql &
ここでエラーになる場合は、データベース保存先ディレクトリ中の「ホスト名.err」ファイルを参照しましょう。
正しく起動しているか確認するため、mysqladminコマンドでMySQLの環境変数を表示させます。この際、/etc/my.cnfで設定した内容が有効になっているか確認します。
# mysqladmin variable +---------------------------------+----------------------------------+ | Variable_name | Value | +---------------------------------+----------------------------------+ (省略) | character_set_server | ujis | (省略) | storage_engine | InnoDB | (以下略)
動作確認ができたら、以下のコマンドでMySQLを終了します。
# mysqladmin -u root shutdown
今回は新規インストールを前提にしていますが、4.0や4.1からのバージョンアップには注意が必要です。その場合は、
Upgrading from Version 4.1 to 5.0
http://www.mysql.com/doc/en/Upgrading-from-4.1.html
が参考になります。
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