検索
連載

WAFはどのように脆弱性を防御するのかWebアプリケーションファイアウォールの必要性(3)(3/3 ページ)

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

バッファオーバーフロー対策

 バッファオーバーフローを引き起こす予期せぬ長さのリクエスト送信に対しては、オブジェクトタイプ(URIの拡張子)ごとのリクエスト長設定によって防御することができる。また、ワームのようなサーバの任意のコードを実行させてしまうようなタイプのバッファオーバーフローに関しては、必要なオブジェクトタイプを登録し、それ以外のアクセスを許さないことによって限定的に防御することができる。

オブジェクトタイプの設定画面
オブジェクトタイプの設定画面

強制ブラウジング対策

 強制ブラウジングを防ぐためには、オブジェクトタイプのチェックによる意図しないファイルタイプへのアクセスからの防御と、正規表現を使用したネガティブセキュリティモデルによるディレクトリトラバーサルからの防御を行う。ディレクトリトラバーサルとは、パスをさかのぼることによって、本来、管理者がユーザーに見せるつもりのないファイルやディレクトリを閲覧したり実行したりする攻撃である。「../」という文字列などをリクエストパスの中に入れる手法がよく使われる。

エラーコードをそのまま返すのは危険

 ユーザーがWebサーバにアクセスした結果として、HTTPのレスポンスコードが返されてくる。レスポンスコードには、動作が正常に受け入れられたことを示す「200」や、リクエストに何らかのエラーがあるためにサーバが処理できなかったことを示す「4xx」、サーバ側で何らかのエラーが発生したことを示す「5xx」などが定められている。

 アプリケーションによっては、レスポンスコードだけではなくスクリプトのエラーメッセージを返すものがある。エラーメッセージには悪意のあるユーザーにとってWebアプリケーションの脆弱性の糸口となる情報が含まれている場合がある。

 そこで、WAFには「200」以外のレスポンスコードがWebサーバから返される場合、これを任意のレスポンスコードに置き換える機能を持つものがある。例えば、ASMでは標準で設定されているメッセージまたは管理者が設定したコンテンツをそのレスポンスコードとともにクライアントに返すことや、特定のURLへリダイレクトさせることができる。

 エラーメッセージと同じく、Webサーバが返す「Serverヘッダ」も攻撃の手掛かりとなることがある。そこでWAFは、Serverヘッダを削除し、クライアント側が「そのWebアプリケーションが、どのWebサーバの、どのバージョンで稼働しているのか」を知られないようにする機能を持つものがある。ASMの場合、BIG-IPの機能を使用することによって指定したヘッダ以外を返さないようにすることもできる。

 次回はパラメータレベルの設定や、学習機能、管理機能について紹介する。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       

Security & Trust 記事ランキング

  1. 従業員は「最新のサイバー脅威との戦い」を強いられている セキュリティ教育に不満を持つ理由の1位は?
  2. 「SQLite」のゼロデイ脆弱性、GoogleのAIエージェントが見つける AIは脆弱性調査の課題をどう解決したのか?
  3. 増える標的型ランサムウェア被害、現場支援から見えてきた実態と、脆弱性対応が「限界」の理由
  4. ランサムウェア攻撃を受けた企業、約6割が「サプライチェーンのパートナー経由で影響を受けた」 OpenText調査
  5. Google Cloudがサイバーフィジカルシステムのレジリエンスを高める10の指標を解説 最初にすべきことは?
  6. 日本人の約半数が「1年前より危険」と考えるオンライン詐欺とは マカフィーがホリデーショッピング詐欺に関して調査
  7. 「このままゼロトラストへ進んでいいの?」と迷う企業やこれから入門する企業も必見、ゼロトラストの本質、始め方/進め方が分かる無料の電子書籍
  8. Microsoftが注意喚起 「クイックアシスト」を悪用した「テクニカルサポート詐欺」の手口、対策とは
  9. ゼロトラストの理想と現実を立命館大学 上原教授が語る――本当に運用できるか? 最後は“人”を信用できるかどうか
  10. 長続きする高度セキュリティ人材育成の秘訣を「第19回情報危機管理コンテスト」から探る
ページトップに戻る