自分が選んだ会社に自分を売り込む:キャリアビジョンづくりから始めよう(6)(2/2 ページ)
キャリアとは、キャリアビジョンとは何だろうか。それを知り、己のものとするとこで、どんなメリットがあり、どう役立つのだろうか。そして、それを転職や自分の転機にどう生かせるのか。それを解説する。
自分が選んだ会社が自分を選ぶ
ここまできたらお分かりいただけるかと思いますが、転職が新卒定期採用と大きく異なるのは、「会社が自分を選ぶ」のではなく「自分が会社を選ぶ」ということです。新卒時には自分で選ばないといっているのではありません。転職時では、物差しを握っているのは自分だということです。
企業は、中途採用に応募する人に新卒のように一定の採用基準や条件を設けすぎては、企業の将来に貢献する有望な人材が採用できないことを知っています。ですから「求人があったから応募した」「選考に通るだろうか」ではなく、自分が選んだ企業に自分という商品をプレゼンテーションして折衝して合意に導く、という意識を持ってください。だからこそ自分がこの時期に、どうしてその企業を選び、将来の自分と企業をどうつくっていきたいのかについて、自らの思いをきちんと伝えることが必要なのです。
自分が伝わる応募書類を作る
多くの場合、応募の第1ステップとして書類を持参または郵送することになります。自分を伝えられる応募書類はどのように作成したらいいのでしょうか。いくつかポイントを挙げてみたいと思います。
- 第一印象にこだわる
人事担当者はかなりの数の応募書類を見ることになります。ですので書類の第一印象は大切です。
きれいであること
折り曲げられていたりばらばらであったりでは、読む気もなくなります。書類をそろえてクリアファイルに入れ、カバーレターもつけて角2サイズの封筒で送るなど、外見にもこだわりましょう。
写真にはこだわれ
第一印象を良くするため、写真の出来は譲れません。意欲の伝わる写真を用意しましょう。
- 書式は自由
書きやすい書式で
一般的な履歴書の場合、左半分はルールに基づいて書くことが求められますが、文具店で売っている履歴書でも書式はいろいろ。自分が書きたいことを表現できる書式を選びましょう。Web上のテンプレートを使っても、それを基に自分で作ってもよいのです。ただし、公的な書類であるという意識は大切に。
職務経歴書全体で自分らしさをコーディネイト
書類は、自己理解や志望先の情報なくしては作成できません。過去にこだわるのではなく、これから先にどう働きたいのかを見据えた書類にしましょう。その仕事に就いたなら、自分のどんな特徴や過去のどんな経験が生かせるのかを意識して作成しましょう。その経歴書が面接の内容につながっていくことも想定しておきます。
- 先方の聞きたいことを意識する
自分が伝えたいことを書くことは大事ですが、相手がそれを聞きたいかどうかもきちんと理解しておく必要があります。
採用に関して聞かれることは、集約すると以下の3点です。
- 自分はどんな人か
- いままで何をしてきたのか
- これからどうしていきたいのか
企業はこの3点を応募書類で、面接で知りたいと思っているのです。
面接対策
面接はあなたを売り込むプレゼンテーションです。提出した資料に基づき、魅力的な本当の自分を伝えましょう。
ポイントは以下の3点です。
- 準備は万全に
面接会場へのアクセス方法・服装・持ち物の確認、提出した書類の読み返しなど準備は万全に整えましょう。ゆとりを持った行動を。
- 第一印象で決まる
第一印象は合否の大きな決め手となります。身だしなみと自分らしい態度の表現で、この人と一緒に働きたいと思ってもらえるように。
- 想定質問対策を
プレゼンテーションには質問対策は欠かせません。自分に興味を持ってもらえたとしたら多くの質問がくるのは当然のことですね。十分準備をしましょう。
最近多いのは逆質問です。「何か質問はありますか」です。これもやはり、自分が入社することを考えれば聞きたいことはたくさん出てくるはずです。
面接官はこの質問で、あなたの意欲や不安をつかもうとしています。
まずは待遇などを聞くのではなく、自分が働くうえで大切にしていることを考え、それを大切にしてその会社で働く自分を想定してください。聞きたいことが見えてきます。
握手をする前に
いざ入社が決まると、さらにいろいろ聞きたいことが出てくるものです。「最初からうるさいやつと思われたくない」と、気になることもうやむやにして入社する人も多いのですが、転職だからこそこのステップは欠かせないはずです。内定をいただいたら、御礼かたがた一度時間を取ってもらいましょう。いい関係でスタートしたいからこそきちんとした話し合いの場を持ちたいと伝えてください。
転職という場では、志望する企業を理解する努力のもと、自分の意思をどう継続して伝えていくかという自分主体の活動が、納得できる転職を果たすための“技”といえるのではないでしょうか。
筆者紹介
関口みゆき
ホテル業の人事・労務・能力開発・退職転進援助制度事務局に勤務。その後リクルートにて就職支援プログラム・カウンセリング・企業開拓などを行いながらGCDF-JAPANキャリアカウンセラー資格を取得。現在特定非営利活動法人キャリアカウンセリング協会にてカウンセラーの育成にかかわるともに大学・自治体・団体などで活動中。
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