キャリアとは、キャリアビジョンとは何だろうか。それを知り、己のものとするとこで、どんなメリットがあり、どう役立つのだろうか。そして、それを転職や自分の転機にどう生かせるのか。それを解説する。
前回「転職成功の鍵は、その『理由』にある」で、自分にとって納得のいく転職をするためにはどうしたらよいかを考えました。同時に、転職活動の全体の流れと方法を紹介しました。
今回は転職の成功に向けてのちょっとした作戦や、“技”を押さえてみたいと思います。ただし技におぼれることのないように! 真摯(しんし)な気持ちと意欲で取り組んでこそ、良い結果が出るということをお忘れなく。
キャリア相談においでになる20代前半の、特にIT関連を志向する人から、こんなお話をよく聞きます。「経験者採用ばかりで自分は応募できない」「自分は第二新卒で応募しなければいけないのか」「(求人サイトには)会社も仕事もいっぱいありそうだけれど、自分は募集対象者か」。
それぞれ状況が違うので、自分が応募できるのか、募集企業の条件に当てはまるのかは気になるところだと思います。
しかし中途採用の場合、応募できる・できないという制限はかなりあいまいです。「経験者採用」とされている場合も、実際に問い合わせると意外と「大丈夫です!」とか「まずはお話を伺って」となることが多いのです。
とすると、求人を見て迷いすぎてしまう人は、実は自分で応募条件や経験のレベルを設定してしまっていることになるのではないでしょうか。自らチャンスを限定してしまっているともいえます。
転職には本来「決まったやり方はない!」のです。自ら道を切り開いてチャンスを引き寄せるものだと思って、果敢にチャレンジすることをお勧めします。何をもって経験といっているのか、まずは聞いてみる。そしてそれを応募の過程ですり合わせていくこともできるのです。
Webサイトの募集広告を見ていると、最近第二新卒という募集が多くなっています。新入社員の3割以上が3年以内に退職するといわれる昨今ですから、増えているのも当然ですが、そもそも第二新卒を決定するものとは何でしょう。新入社員研修を受けているかということ? 社会人経験があるかということ?
「第二新卒募集」の場合、求められているのは、一から手を掛けなくても仕事に取り掛かってくれる人。学生という意識から離れて社会人として仕事をしたことがあるかどうかが決め手となります。具体的な経験やスキルがあるかどうかや、正社員経験があるかどうかではなく、短い期間でも社会人としてきちんと仕事に向き合っていたということが伝わればいいということですね。
また、就業経験のある人でも新卒への応募ができる場合があります。企業の求人をよく見ると、新卒の募集でも、その年度に卒業見込みの人に限定していないことがあります。募集対象が生年月日で示されたり、卒業後2年以内なら新卒だったりすることがあるのです。一度働いたからといって新卒に応募できないと決まったわけではないのです。
中途採用は経験者採用ばかりと思っている人も多いのですが、Webサイトの中途採用案件を見てみると、未経験歓迎としている案件がたくさんあります。特定の企業の色に染まっていない人材をポテンシャル採用したい企業も多く存在するのです。
団塊の世代の退職時期を迎える昨今、経験者募集として細かく応募条件を挙げている募集をよく見るようになりました。ここでのポイントは経験の内容が「細かく」書かれているということです。細かく何行にもわたって書かれているということは、マストな条件もあるけれど、それ以外でも転用できるスキルを持っている人なら会いたいという気持ちの表れでもあります。じっくり読み込まれることをお勧めします。
転職を考えて、ハローワークに行ったりいろいろな雑誌・Webサイトを見たりしているのに、「なかなかこれという求人がない」「自分に合っているものがない」。これも多く目にする心配ごとです。
ポジティブな転職では自分の目指すものがあるわけですから、かえってその希望と求人を一致させることは難しくなるはず。自分のイメージが先行することもあるでしょう。
もし気になる企業や扱いたい案件を持っている企業があるのなら、ぜひそこには自分からアプローチをしましょう。メールを送る、応募以前に会ってもらうなどで興味を伝え、機会をつくり出すことが大切です。潜在求人を意欲で掘り起こしましょう。
納得のいく転職ができたという人のお話を聞くと、そのきっかけは本当にさまざま。転職の自分スタイルをつくることこそが、成功への近道といえるようです。
いま、雑誌・折り込みチラシ・Webサイト・人材紹介会社・公的機関に、求人情報はあふれんばかりです。ぜひ、この情報を十分に活用してください。
ハローワークの求人情報はネットで検索することもできますが、企業名がすべてオープンになってはいません。また検索画面の設定が地域に限定されていますので、隣接地域の情報は検索しづらいという欠点があります。
例えば埼玉在住で東京も視野に入れている人などは、それぞれの自治体が提供する「就職サポートセンター」というハローワークの大規模版の就職関連施設を利用する方が幅広く情報を集めることが可能です。ハローワークの機関である人材銀行や、若年者対象の施設と隣接していることも多いので、一度足を運んでみるのもよいでしょう。もちろん就業中の利用も可能です。
ハローワークの求人検索は設定が細かいため、自分の年齢や希望を詳細に入力するとマッチする情報が極端に少なくなります。逆に条件を少し広くすると急に件数が膨大になります。最初は広く(年齢の幅を広げるなど)、その後一覧を見ながら絞るというのが、関連情報も含めて見ることができる方法です。
自分のこれからのキャリアプランが明確である人には、検索エンジンでの「こだわり検索」をお勧めします。例えば経験したい仕事のカテゴリーが決まっているときなどは、そのキーワードや業務内容から検索してみましょう。
具体的にどんな企業がどんな仕事をしているかについては、業界新聞や雑誌・各企業のニュースリリースなどからも情報を得られます。証券関連の情報、商工会議所の情報、Webサイトでは「ZDNet Japan企業情報センター」なども活用できます。
企業のページからはリンクをたどり、関連会社を調べてみましょう。またライバル企業・同業の上位企業・その子会社なども調べていきます。求人媒体には出していなくても、自社のWebサイトに採用情報を載せている企業もたくさんあります。
また、これは裏技的なところがあるのですが、人材紹介会社のWebサイトで社名を伏せている求人情報でも、同業界の人が見ると本社所在地や業務内容でどこの求人か分かってしまうことがあります。その会社には求人があるということです。人材紹介会社を通して応募するのが通常ですが、社名が分かるなら直接連絡をしてみてもいいのではないかと思います。
人材紹介会社は多くの情報を持っています。1社だけでなく、数社に登録をして情報を集めるのがよいでしょう。経験とスキルのマッチングを具体的に行ってくれますし、カウンセラーもいます。自分に合った案件を紹介してくれる会社を選び、信頼できるアドバイザーを得ることも活用方法の1つです。
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