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第11回 WScriptオブジェクトを利用する(2)基礎解説 演習方式で身につけるチェック式WSH超入門(1/5 ページ)

WScriptオブジェクト解説の後編。標準入出力やCOMオブジェクトの操作について説明する。COMを使うために必要なタイプライブラリも解説。

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基礎解説 演習方式で身につけるチェック式WSH超入門
Windows Server Insider


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連載目次

 今回は、前回に引き続き、WScriptオブジェクトのメソッド・プロパティを紹介し、その使用法について述べていく。

標準入出力/標準エラー出力:StdIn、StdOut、StdErrプロパティ

 まずは、標準入出力(「標準入力」と「標準出力」をまとめてこう呼ぶ)や標準エラー出力を表すオブジェクトを返すプロパティであるStdInプロパティ(標準入力)、StdOutプロパティ(標準出力)、StdErrプロパティ(標準エラー出力)を見ていこう。 最初に、標準入出力、標準エラー出力とは何かについて簡単に述べておこう。例としてコンソール・アプリケーションの代表例である、コマンド・プロンプトを取り上げる。本連載はWSH(Windows Script Host)/VBScriptの連載なのでコマンド・プロンプトの使い方については詳しく述べないが、標準入出力、標準エラー出力とはどういうものであるかを簡単に示しておく。次の画面を見ていただきたい。


コマンド・プロンプトで入力可能な状態
キャレット(「_」記号。「カーソル」とも呼ばれる)が点滅表示し、キーボードから文字入力が可能であることを示している。このように、コンソール・アプリケーションにおける標準入力はキーボードである。


標準入力であるキーボードから文字列を入力する
ECHOコマンドは、引数として指定した文字列を標準出力(コンソール)に表示させるコマンドである。ここでは「Choco Cornet」という文字列をECHOコマンドの引数に指定し、それを標準出力に表示させている。


標準出力に文字列を出力する
[Enter]キーを押すと先ほど標準入力から入力した文字列が標準出力に出力されることが分かる。なお、標準エラー出力はエラー発生時にエラー内容がコンソールに出力されるもので、標準出力と基本的には同じである。

 このように、標準入力と標準出力は、コンソール・アプリケーションにおいてはそれぞれキーボードとコンソール(画面)であることがお分かりいただけると思う。

 このことから、標準入出力と標準エラー出力を示すStdIn、StdOut、StdErrプロパティも、キーボードとコンソールを扱うプロパティであることが推測できる。なお、コンソールを扱うということからも分かるように、これらのプロパティはcscript.exe(CUI版のWSH)でしか使用できない(GUI版のWSHであるwscript.exeで実行するとエラーが発生する)ということに注意が必要である。

 これらのプロパティは、それぞれの意味を表す文字列のストリーム・オブジェクト(TextStreamオブジェクト)を返す。TextStreamオブジェクトは今後テキスト・ファイルを読み書きするときにも登場するのでここでは概説のみにとどめておくが、文字列ストリームに対してシーケンシャル・アクセス(データを先頭から順番に読み込む、あるいは書き込む)を行うためのオブジェクトである。このオブジェクトには大別すると文字列(String)型のデータを読み込む系統(Read系)のメソッドと書き込む系統(Write系)のメソッドがあり、それぞれStdInプロパティ、StdOutプロパティが返すTextStreamオブジェクトに対応する。

 最も単純な例として、標準入力から1行の文字列を受け取って変数に代入し、その変数の値を標準出力に書き出すスクリプトを考えよう。

※ファイル:read_and_write_stdio.vbs

Option Explicit
Dim objStdIn, objStdOut
Set objStdIn  = WScript.StdIn  '標準入力ストリームを返す
Set objStdOut = WScript.StdOut '標準出力ストリームを返す

Dim strFromStdIn
'標準入力から文字列を1行読み込む
strFromStdIn = objStdIn.ReadLine()

'標準出力に文字列を1行書き込む
objStdOut.WriteLine strFromStdIn

objStdIn.Close()  '標準入力ストリームを閉じる
objStdOut.Close() '標準出力ストリームを閉じる

'オブジェクトの破棄
Set objStdIn  = Nothing
Set objStdOut = Nothing

 このスクリプトの実行例は例えば次のようになる。なお、このスクリプトはcscript.exeで実行する。


スクリプトを実行した直後の状態
入力を受け付けるキャレット_が点滅表示している。


文字列を入力する
任意の文字列をキーボードから入力してみる。


文字列を出力する
[Enter]キーを押すと、先ほど入力した文字列がそのまま出力される。

 このように、入力した文字列をそのまま出力するスクリプトであることが分かる。このスクリプトの動きを順に追ってみよう。

 まず、最初の部分でWScriptオブジェクトのStdInプロパティ(標準入力ストリーム・オブジェクト)およびStdOutプロパティ(標準出力ストリーム・オブジェクト)を参照し、オブジェクト変数に代入している。その後、標準入力ストリーム・オブジェクトに対してReadLineメソッドを実行して標準入力から1行文字列を読み込んでいる。このときユーザーは文字列を入力できる。[Enter]キーを押すと改行したことになるので、標準入力から1行読み込まれたことになりスクリプトは次の行に進む。読み込んだ文字列はstrFromStdIn変数に代入されているので、それを標準出力ストリーム・オブジェクトのWriteLineメソッドで書き込んでいる。その結果、コンソールにはstrFromStdIn変数の中身が表示されるわけである。最後にこれらのストリーム・オブジェクトのCloseメソッドを呼び出し、ストリームを閉じている。

 これらのオブジェクトの使い道だが、まずStdInプロパティが返す標準入力ストリーム・オブジェクトはInputBox関数を使わずにユーザーに文字列を入力させたいときに便利である。また、引数に数値を与えてReadメソッドを使うと指定数の文字だけ取得することができる(例えばstrFromStdIn = objStdIn.Read(5)のようにする)。

 StdOutプロパティが返す標準出力ストリーム・オブジェクトはコンソールにユーザーのための情報を表示させるときに便利である。WriteLineメソッドはWScript.Echoとしたときと同じ効果が得られるが、こちらはcscript.exe専用なので、あえてcscript.exeで実行を強制させたいときに使うとよいかもしれない(wscript.exeではStdOutプロパティを参照しようとするとエラーになる)。Writeメソッドを用いると改行を加えず文字列を表示するので、工夫すればプログレス・バー(進ちょく状況を表示するバー)のようなものを作成できる(後で問題として紹介する)。

 また、ここでは詳説しないが、標準入出力を扱えるということは、ほかのコンソール・アプリケーションやファイル、デバイスと連携ができるということである。興味のある方は「リダイレクト」や「パイプ」などをキーワードに調べてみるとよいだろう。その際、デフォルトで標準出力に出力される、

Microsoft (R) Windows Script Host Version 5.6
Copyright (C) Microsoft Corporation 1996-2001. All rights reserved.

という文字列は、cscript.exeに//NoLogoオプションを与えることで抑制できることを頭に入れておくとよいだろう。


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