Cool Stackで手軽に「SAMP」:OpenSolarisで始めるブログサーバ構築(2)(3/3 ページ)
この連載では、サーバOSとして十数年発展してきた「Solaris」をオープンソース化した「OpenSolaris」を紹介し、ブログサーバ「Roller」と組み合わせて運用していくうえで有用なさまざまな知識を紹介していきます。(編集部)
Cool Stackの管理にSMFを活用
Cool Stack版のTomcatとMySQLには、デフォルトでSMFのサービスが記述されています。つまり、自分でSMF用のマニフェストファイル(XMLベースのプロファイル)の記述などをしなくても、パッケージをインストールすれば、デフォルトで提供される仕組みです。
Cool Stackをインストールすると、FMRI(Fault Managed Resource Identifier)というSMFを管理するためのURIを用いてサービスを管理することになります。
下記に、Cool Stack版TomcatとMySQLのFMRIを示しておきます。
//Tomcat svc:/application/csk-tomcat:CSKtomcat //MySQL svc:/network/csk-mysql32:default
これらのサービスは、マニフェストファイルによって定義されます。同時に、サービスの依存関係も定義することができます。では、そのサービスの依存関係の例を見ていきましょう。
# svcs -d csk-tomcat STATE STIME FMRI online Dec_10 svc:/milestone/network:default online Dec_10 svc:/system/filesystem/local:default online Dec_10 svc:/system/filesystem/autofs:default
上記を例に取ってサービスの依存関係について説明しましょう。
マニフェストファイルには依存関係が記述されますが、そこに定義されているサービスが正常に起動していない場合、一番上に記されているTomcatのサービスは起動しません。このように、SMFを利用すれば、依存関係を考慮しながらサービスの起動を行ってくれるというわけです。このようなサービスを記述すれば、独自に開発したアプリケーションをSMFに対応させることも可能になります。
SMFのマニフェストファイルの詳細などについては、BigAdmin(http://www.sun.com/bigadmin/hubs/multilingual/japanese/content/sdev_intro.jsp)に記述されていますので、こちらも併せて参照してください。
状態やログの確認
次に、サービス状態の確認方法、サービスログの確認方法を示します。svcs(1)とtailコマンドを用います。
●サービスリストの確認
# svcs -d csk-tomcat STATE STIME FMRI online Dec_10 svc:/milestone/network:default online Dec_10 svc:/system/filesystem/local:default online Dec_10 svc:/system/filesystem/autofs:default
●サービスプロセスの確認
# svcs -p csk-tomcat STATE STIME FMRI online Dec_16 svc:/application/csk-tomcat:CSKtomcat Dec_16 2468 java
●サービスログの確認
# tail -f /var/svc/log/application-csk-tomcat:CSKtomcat.log [ Dec 16 18:01:44 Method "stop" exited with status 0. ] [ Dec 16 18:04:29 Enabled. ] [ Dec 16 18:04:29 Executing start method ("/opt/coolstack/lib/svc/method/svc-csktomcat start"). ] [ Dec 16 18:04:29 Method "start" exited with status 0. ] [ Dec 16 18:08:12 Stopping because service disabled. ]
サービスログが存在する場所は、/var/svc/log以下で、FMRIごとにサービスログファイルが保存されます。SMF管理下のサービスであれば、いずれも同様の手順で確認することができます。
SMFにおける環境変数の設定
Cool Stack版Tomcatを利用するには、Javaのバージョンを1.5に合わせる必要があります。こうした場合は、svccfg(1M)コマンドによって、サービス構成ファイルの修正や環境変数追加、削除などを行うことができます。
//TomcatにおけるJAVA_HOMEの設定 #svccfg -s svc:/application/csk-tomcat:CSKtomcat setenv -m start JAVA_HOME /usr/jdk/jdk1.5.0_13 #svccfg -s svc:/application/csk-tomcat:CSKtomcat setenv -m stop JAVA_HOME /usr/jdk/jdk1.5.0_13
今回は、ブログサーバの設計指針や構築方法、Cool Stack、OpenSolarisおよびSolaris 10でサービスを管理するSMF機能について紹介しました。詳細なインストール方法については、SDC(http://sdc.sun.co.jp/solaris/articles/roller_setup.html)にアップデートする予定です。こちらにもご期待ください。
次回は、仮想化やセキュリティ、高可用性を考慮したエンタープライズ向けブログサーバを構築するのに有用なOpenSolarisの技術情報を紹介します。
OpenSolarisに関する技術情報の多くは、Sunのブログサイト(http://blogs.sun.com)に提供されています。このサイトには、OpenSolarisに関する技術者・開発者たちによるダイレクトな情報が提供されています。また、SDC(http://sdc.sun.co.jp/portal/index.html)やSun Product用のドキュメントサイト(http://docs.sun.com)には、OpenSolarisやSolaris 10のインストール方法をはじめとするドキュメントや技術情報が掲載されています。これらの情報もぜひ活用してください。
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