LINQ(リンク)の基礎知識:特集:C#プログラマーのためのLINQ超入門(前編)(1/4 ページ)
VS 2008最大の新機能LINQを分かりやすく解説。C#コードでDBやオブジェクトを検索。LINQを始めるにはまずここから。
Visual Studio 2008(以下、VS 2008)にはさまざまな新機能が追加されていますが、最大の新機能といえばやはり「LINQ」(「リンク」と読みます)でしょう。
LINQとは、
Language INtegrated Query
の略で「統合言語クエリ」と訳されますが、もう少し分かりやすくいい換えれば、
言語(C#やVisual Basicなど)のコード内に記述できるクエリ
となります。クエリとは「問い合わせ」です。開発でクエリといえばデータベース検索に使われるSQL文が代表的ですが、LINQではSQL文に似た構文によりクエリを記述し、データベースをはじめ、さまざまな対象から、データの検索や集計、取得などが可能になります。
LINQによるクエリをコード内に記述できるようにするため、C#やVisual Basicは拡張されバージョン・アップしています。LINQが利用可能な言語は、Visual Studio 2008とともに登場した.NET Framework 3.5に含まれるC# 3.0(以降、単に「C#」)やVisual Basic 2008(=Visual Basic 9.0)です。また.NET Framework 3.5のクラス・ライブラリには、LINQのクエリを実行するのに必要なクラス群が追加されています。
本稿ではC#プログラマーの方に向けて、LINQを使ううえで最低限必要な知識を分かりやすく解説していきます。これからLINQを学ぼうという方の最初の一歩となれば幸いです。
LINQで記述された問い合わせ
まずはLINQにより、これまで記述していたデータベースの問い合わせのためのC#のコードがどのように変化するのかを見ていきます。
■ADO.NET+SQL文によるデータベースへの問い合わせ
.NETでデータベースのクエリというと、これまではADO.NETのフレームワーク(クラス・ライブラリ)を使って行っていました。これは例えば次のようなコードになります。
using System;
using System.Data.SqlClient;
namespace ConsoleApplication1
{
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// 接続文字列
string connStr = @"
Data Source = .\SQLEXPRESS;
AttachDbFilename = |DataDirectory|\NORTHWND.MDF;
Integrated Security = True;
User Instance = True;";
using (SqlConnection conn = new SqlConnection(connStr))
{
// 発行するSQL文
string queryStr = @"
SELECT OrderID, EmployeeID, OrderDate, ShipCountry
FROM Orders
WHERE ShipCountry = 'Norway'";
SqlCommand command = new SqlCommand(queryStr, conn);
conn.Open(); // コネクションのオープン
SqlDataReader r = command.ExecuteReader(); // SQL文の実行
// 結果を1レコードずつ取得
while (r.Read())
{
Console.WriteLine("{0}, {1}, {2}, {3}",
r["OrderID"], r["EmployeeID"],
r["OrderDate"], r["ShipCountry"]);
}
r.Close();
conn.Close();
}
Console.ReadLine(); // キーが押されるまで待機
}
}
}
このサンプル・プログラムを実行するには、まずVS 2008でコンソール・アプリケーションのプロジェクトを新規作成します。次にサンプルのデータベース・ファイルである「NORTHWND.MDF」をソリューション・エクスプローラのプロジェクト名の部分にドラッグ&ドロップしてください。NORTHWND.MDFの入手については「連載:Visual Studio 2005によるWindowsデータベース・プログラミング 第4回」で解説しています。これによりデータソース構成ウィザードが起動しますが[キャンセル]ボタンをクリックしてキャンセルしてください。そしてリスト1のコードを入力します。
リスト1のSQL文では、Ordersテーブルから、ShipCountry列の値が「Norway」のレコードを選択し、そのレコードの4つの列の値を取得しています。ADO.NETによるプログラミングに関しては、「連載:ADO.NET基礎講座 第2回 .NETデータ・プロバイダによるデータベースのアクセス Page2」を参照してください。
リスト1の実行結果は次のようになります。
10387, 1, 1996/12/18 0:00:00, Norway
10520, 7, 1997/04/29 0:00:00, Norway
10639, 7, 1997/08/20 0:00:00, Norway
10831, 3, 1998/01/14 0:00:00, Norway
10909, 1, 1998/02/26 0:00:00, Norway
11015, 2, 1998/04/10 0:00:00, Norway
さて、リスト1で示したコードは、ADO.NETを利用したデータベース・プログラミングの基本的なコードといえますが、SQL文の記述に関しては次のような問題点があります。
- SQL文を文字列で記述しなければならず、その構文が正しいかどうかは実行するまで分からない(コンパイル時に構文エラーを検出できない)
- SQL文の記述時にIntelliSense機能で列名を自動補完できないため不便
例えばテーブルの列名のスペルを間違ったとしても、それは実行時にSQL文が送信されるまでエラーになりません。LINQはまずこれらの問題を解決してくれます。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.