面接の最後には「逆質問」すべし:転職活動、本当にあったこんなこと(18)(1/2 ページ)
多くのITエンジニアにとって「転職」とは非日常のもので、そこには思いがけない事例の数々がある。転職活動におけるさまざまな危険を紹介し、回避方法を考える。
面接対策は、質問にだけ答えられればいい?
ITエンジニアの皆さんと面接の対策について話し合うときは、「どのように自己PRをすればよいか」に焦点が絞られることが多いです。当然ながら面接では「なぜ退職をするのか」「なぜ当社(このポジション)を志望したのか」「どのようなキャリアビジョンを持っているのか」などについて質問され、これに対して的確に自己PRしなければなりません。
ですが面接では、逆に質問をうながされる場合もあるのです。にもかかわらず「『何か質問はありますか』と面接官に聞かれたら、どのような質問をなさいますか?」と聞いてみると、「……? そうですね……」と言葉に詰まる人が意外に多いことに気付きます。
今回は面接官への質問について、実際の事例を基に考えてみることにしましょう。
質問は?「……特にございません」
30歳の谷川さん(仮名)は、建築系設備資材に強みがある専門商社の社内SE。社内基幹システムの運用からヘルプデスク業務まで、幅広い経験があります。
谷川さんが転職を考えたきっかけは、会社の人員体制の変更でした。建築業界の長い不況の影響で社員の早期退職制度が採用されることになり、全社員の2割ほどが退職することになったそうです。谷川さんはこのことに将来的な不安を覚え、転職活動を開始したのです。
谷川さんは、ターゲットをこれまで経験してきた「社内SE」の求人に絞り、業界や会社規模、待遇面についてはその都度検討しつつ複数社に応募しました。書類選考は順調で、応募した全社で1次面接へ進むことになりました。
しかし、ここからが本人の想定外でした。最初の面接で落ちてしまったのです。
谷川さんは研究熱心で、企業については事前に十分に調べていましたし、応募ポジションも経験が生かせるものを選んでいました。実際に面接でもスムーズに自己PRできたと思っていました。しかし企業サイドのフィードバックを聞いてみたところ、意外な答えが返ってきました。
「谷川さんは必要なコミュニケーションが取れる方で、自己PRに関しても問題なかったと思います。ただ、『何か質問はありますか?』と伺ったところ、『……特にございません』と返答されました。残念ながらこの点が引っ掛かってしまったのです。ほかの候補者の方と比べると意欲に欠けるといいますか、わが社に対して本当に興味を持っていらっしゃるのかが疑問でしたので……」
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