面接の最後には「逆質問」すべし:転職活動、本当にあったこんなこと(18)(2/2 ページ)
多くのITエンジニアにとって「転職」とは非日常のもので、そこには思いがけない事例の数々がある。転職活動におけるさまざまな危険を紹介し、回避方法を考える。
熱意をアピールする「逆質問」の勧め
谷川さんの面接に対する意識を確認するため、私はあらためて詳細なヒアリングをしました。すると、谷川さんの面接には、下記のような問題点が見つかりました。
- 事前に企業研究を熱心にしていたため、自分自身では分かったつもりになっていた
- 応募ポジション(社内SE)については調査が足りず、自分のこれまでの仕事と大して変わらないと思っていた
- 順調に自己PRができ、いい雰囲気になっていたが、質問する内容次第で流れが変わってしまう可能性があるのではという不安があった
- 上記の理由から、「質問していいことは何か」「どのタイミングで質問すればいいか」が分からなかった
面接の時間は長くても1時間程度です。数回の面接で、疑問や不明点がすべて解消できることは少ないと思います。入社したいと思う会社ですから、気になる点や疑問点があるのは当然ですよね。
上記のような問題点を解消し、かつ面接官に熱意を見せる意味で、面接の最後にはぜひ「逆質問」することをお勧めします。
求められている経験やスキル、人物像について具体的に質問することで、転職後のミスマッチを防ぐことができます。そのやりとりの中で、自分の資質や強みを存分にPRできれば最高ですね。
谷川さんについては、例えば下記のような質問が有効だと思います。
「現職ではインフラ系の経験があり、今後もこの経験を生かしたいと考えているのですが、御社への貢献につなげることができるでしょうか?」
「この仕事で最も求められる資質(人物像)はどのようなものでしょうか?」
「御社で活躍するために、私のこれまでのキャリアやスキルで足りないもの、補うべきものはございますでしょうか?」
「私と同年代(もしくは中途採用)で実際に活躍されている方には、どのような方がいらっしゃいますか?」
「具体的な業務の流れについて教えていただけますでしょうか?」
「配属先部署の社員の方々は、どのような構成になっているでしょうか?」
「入社までに準備・勉強しておくべきことがあればぜひ教えていただきたいのですが」
谷川さんは企業研究と応募ポジションの確認をしたうえで「逆質問」を準備し、2社目以降の面接に挑みました。今度は大成功で、複数社の内定を勝ち取ることができました。
「逆質問」のチェックポイント
これは谷川さんだけではなく、意外に皆さんもしてしまいがちな失敗ではないでしょうか。「そんなことは分かっている。自分は大丈夫!」と思っている人も、念のためチェックをしてみましょう。
下記のポイントも参考にしてみてください。
- 質問は面接前に3つ以上は準備する
準備した質問が、面接中のやりとりで解決してしまうことも考えられます。質問はできるだけ多めに準備しておきましょう。
- 面接官によって聞く質問を考える
面接官がどのような役職・立場かによって、見ているポイントは異なります。人事担当者であれば人間性や意欲、会社との相性、現場の社員であれば経験やスキル、部署の雰囲気とフィットするかなどです。それによって、質問の内容を考えなければなりません。
- 福利厚生についての質問はタイミングが大事
残業、休日、年収、昇進……。気になるのは当然ですが、聞き方やタイミングが悪ければ、仕事に対する考えや姿勢を疑われてしまうこともあります。注意しましょう。
以上のようなことを踏まえ、ぜひ有意義な面接にしていただきたいと思います。
著者紹介
アデコ 人材紹介サービス部 コンサルタント
1969年生まれ、大阪府出身。私立理系大学卒業後、精密機器メーカーにてソリューション提案営業を経験し、2000年にアデコへ入社。現在、IT系人材・ITエンジニアを専門にキャリアコンサルティングを担当。営業としての観点とキャリアコンサルタントとしての経験から、1人1人のニーズをくみ取り、的確な情報提供・アドバイスをすることを念頭に転職支援を行っている。CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格取得。
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