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デスクトップ仮想化は今後12カ月が分かれ目、シトリックス7億台のPCが潜在的な市場になる

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 シトリックス・システムズはXenApp(旧Citrix Presentation Server)でターミナル・サービスとアプリケーション・ストリーミングによるシンクライアントを実現してきたが、6月に発表したXenDesktopでデスクトップ仮想化という新たな手法を実現し、企業におけるあらゆるユーザー環境に対応できるようになった。7月上旬にシトリックス・ジャパンのプライベートイベントのために来日した米シトリックスのデリバリーシステム部門担当上級副社長兼ジェネラルマネージャー、ゴードン・ペイン(Gordon Payne)氏は、@ITによるインタビューで、XenAppですでに1億ユーザーを獲得しているシトリックスが、XenDesktopではさらに大きな潜在市場を相手にすることができる、と語った。


米シトリックスのデリバリーシステム部門担当上級副社長兼ジェネラルマネージャー、ゴードン・ペイン氏

 「従来型のシンクライアント環境におけるユーザーの最大の不満は、オフライン環境をどうしてくれるのかということだった。これに応えてアプリケーション・ストリーミングという、ソフトウェアをオフラインで使えるようにしながら集中管理のできる方法を加えた。これは最近におけるXenAppへの最大の機能追加だ。次のターゲットはナレッジワーカー、つまり柔軟なPC環境を必要とする人々で、デスクトップ仮想化のXenDesktopを投入することにより、この全世界で7億台の需要に応えられる」。

 「今後5〜10年を考えれば、デスクトップ仮想化はアプリケーションレベルの仮想化よりも大きなビジネスにならないわけがない。売り上げが15億ドル程度のシトリックスが、30〜40億ドル規模の企業になるには大きなビジネス機会だ。今後12カ月は、顧客では試験導入が進み、ビジネスモデル面を含めて検証が行われるだろう。これが、3年後に300万ユーザー規模のビジネスになるのか、1000万ユーザー規模になるのか、1億ユーザー規模になるのかの分かれ目になる」。

 しかしXenAppとXenDesktopは単に別のタイプのユーザーを対象とした別個のソリューションというわけではない。XenDesktopではサーバ上でデスクトップOSやアプリケーションを動かし、これを軽量端末から遠隔的に使えるのだが、アプリケーションについては、ここで動かすデスクトップOS自体にはインストールせず、XenAppからターミナル・サービスやアプリケーション・ストリーミングで必要に応じて送り込むようにすれば、コスト効率よく運用できることが、シトリックスの提供する最大のメリットだと、ペイン氏は説明する。「XenAppのアプリケーション・ストリーミング機能も、XenDesktopとの組み合わせて利用が促進されるだろう」。

 XenAppは今後も独立して販売されるが、一方でXenDesktopの上位エディションにも同梱されている。「シトリックスの製品を初めて導入する顧客には、ぜひこれを購入してもらいたい。インストールや管理も一括してできるし、価格的にもメリットがある。一方で、既存の顧客に対するアップグレード・プログラムも用意している」。

 競合するヴイエムウェアのデスクトップ仮想化ソリューション「Virtual Desktop Infrastructure」(VDI)に対するXenDesktopの優位性として、ペイン氏はユーザーの利用環境と総所有コスト(TCO)を挙げる。「XenDesktopでは、ユーザーの利用環境はPC以上でなければならないと考えた。軽量端末からのXenDesktopの使い勝手は、最初から最後までPCと変わらない。ユーザーは自宅のPCや外出先のPCからも、まったく同じような環境を使える。これが最大のメリットだ。IT部門にとっては、デスクトップ仮想化でTCOを従来のPC運用の40%に下げられる。特にWindows Vistaへの移行を考えている企業は、古いPCを再活用してコスト効率よく移行が可能だ。XenDesktopとXenAppとの組み合わせで、デスクトップ仮想化はコスト的に正当化しやすくなる」。

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