VMware Infrastructure 3環境の設計:VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編(1)(3/3 ページ)
連載「VMware Infrastructure 3徹底入門」では、VMware Infrastructure 3のコンセプトやアーキテクチャといった、いわば理論的な部分を紹介した。今回より、新たに「VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編」として、実際の設計から導入、運用までを紹介する。今回はVMwareの導入構成の設計時の留意点やサーバの機種選定について説明する
サーバの機種選定 ― VMware ESX
VMware ESXを動作させる物理マシンの要件を以下に記述する。詳細はマニュアルに譲るが、基本的には以下を満足する物理マシンを用意する必要がある。
- 2個以上のx86(含む x86-64)CPUを搭載
- 1GB以上のメモリ
- 1個以上のインテルもしくはブロードコムのイーサネットアダプタ(Gigabit Ethernet を推奨)
- SCSI もしくは SAS 内蔵ディスクドライブ
CPUはマルチコアのものであっても 2 個以上搭載している必要があるということに注意してほしい。ただし、一部例外も認められているため、詳細は後述のコンパチビリティガイドを確認して頂きたい。
内蔵ディスクに関しても注意が必要である。こちらも一部例外があるが、原則としてSCSI もしくは SASのディスクが必須である。IDE や SATA のディスクは利用できないため、VMware ESXを動作させるサーバを選定する際には注意が必要である。
以上を満たしていれば原則VMware ESXをインストールして利用することが可能である。が、正式にサポートを受けるにはVMware ESX向けの認証を取得している機種、デバイスを用いて構成する必要がある。VMware ESX 3.5における認証取得済みの機種、デバイスのリストは以下よりダウンロード可能である。
- http://www.vmware.com/support/pubs/vi_pages/vi_pubs_35.html(英語)
- http://www.vmware.com/jp/support/pubs/vi_pubs_35.html(日本語)
上記ページより「コンパチビリティガイド」と呼ばれるPDFファイルをダウンロードできる。サーバ、ネットワークアダプタ、SCSI/SASコントローラ、Fibre Channel ホストバスアダプタ、ストレージなどの各デバイスに関して、VMware ESX 3.5での正常動作を保障する「認証試験」をパスした装置をここから確認することができる。コンパチビリティガイドは英語版、日本語版両方が提供されているが、内容は毎週更新されているため最新の情報を取得したい場合は英語ドキュメントを確認した方が良いかもしれない。日本語版ガイドは、英語版から1週間遅れで更新されている。
すでに利用するサーバベンダが決まっている場合は、その購入元に相談すればVMware ESXが確実に動作する構成を組んでもらうこともできる。IBM、HP、デル、NEC、富士通、日立、サンといった主要 x86 システムメーカーはすべてVMware Infrastructure 3をOEM製品として取り扱っており、VMware ESX向けの構成方法を熟知しているためだ。
サーバの機種選定 ― VMware VirtualCenter
VMware VirtualCenterは Windows環境上で動作するアプリケーションであるため、Windows OSが動作する環境であれば基本的にハードウェアを選ぶことなく動作させることができる。またそのマシン環境は物理マシンでも仮想マシンでも構わない。システム要件としては以下を満たしている必要がある。
- 2.0 GHz 以上の x86 CPU
- 2GB 以上のメモリ
- 560MB 以上の空きディスク領域 (2GB 以上を推奨)
- 1 個以上のネットワークインターフェイス (Gigabit Ethernet を推奨)
サポートされる Windows OS 環境
- Windows Server 2003 32-bit(2003, SP1, R2, SP2)
- Windows XP Professional 32-bit SP2
- Windows 2000 Server SP4 Update Rollup 1
以下のいずれかのデータベースソフトウェア
- Microsoft SQL Server 2005 SP1(Standard もしくは Enterprise)
- Microsoft SQL Server 2005 SP2(Standard もしくは Enterprise)
- Microsoft SQL Server 2005 Express SP2(ESX 5 台以下、仮想マシン 50 台以下の環境に限る)
- Microsoft SQL Server 2000 SP4(Standard もしくは Enterprise)
- Oracle 9i R2(Standard もしくは Enterprise)
- Oracle 10g R1(Standard もしくは Enterprise)
- Oracle 10g R2(Standard もしくは Enterprise)
VMware VirtualCenterはデータベースソフトウェアを必要とするということに注意してほしい。ただ、ESX 5台以下、仮想マシンの数50以下という環境であれば無償の SQL Server 2005 Express Editionが利用可能である。SQL Server 2005 Express Editionは VMware VirtualCenter 2.5のインストールパッケージに収録されているため、VirtualCenterのインストールプロセスの中で同時にインストールしてしまうことも可能である。
今回は、VMware Infrastructure 3の全体像を再度紹介し、最小限の構成例を示した。また、VMware ESXとVMware VirtualCenterの動作環境について説明した。特にVMware ESXはハードウェア上で直接動作するソフトウェアであるため、サーバや各種デバイスは動作がサポートされているものを適切に選定する必要があるということに注意してほしい。
次回はVMware ESX、VMware VirtualCenterの各エディションの違いやライセンス管理体系などについて説明する。また、ソフトウェアのダウンロードやインストール前の準備など、インストール開始前にやっておく幾つかの手順について説明する予定である。
- VMware HAによる可用性の向上
- VMware DRSとVMware DPMによる自律運用
- VMotionによる仮想マシンの無停止移行
- VI3におけるクローンとテンプレート
- VMware Infrastructure 3のストレージ機構[3]
- VMware Infrastructure 3のストレージ機構[2]
- VMware Infrastructure 3のストレージ機構[1]
- VMware Infrastructure 3のネットワーク機構[後編]
- VMware Infrastructure 3のネットワーク機構[前編]
- 仮想マシンの作成と利用
- VI ClientのインストールとVI3 環境への接続
- VMware ESXのインストール
- VMware VirtualCenterのインストール
- VMware Infrastructure 3ソフトウェアの体系と入手
- VMware Infrastructure 3環境の設計
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