連載「VMware Infrastructure 3徹底入門」では、VMware Infrastructure 3のコンセプトやアーキテクチャといった、いわば理論的な部分を紹介した。前回より、新たに「VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編」として、実際の設計から導入、運用までを紹介する。今回はVMware Infrastructureのソフトウェアライセンス体系と入手方法、インストールの準備までを説明する
前回はVMware Infrastructure 3の設計例と、VMware ESX、VMware VirtualCenterのシステム要件について説明した。
今回はVMware Infrastructure 3の各エディションの違いとライセンス管理体系について説明する。またVMware Infrastructure 3のソフトウェアの入手方法についても説明する。
VMware ESXには4種類のエディションが存在する。利用するバイナリ自体はエディション間で同一であり、インストールするライセンスに応じて利用可能となる機能が変化する。以下は各エディションの内容を要約した表である。
左側の機能一覧部分にVMware ESXiとVMware ESXという表記があるが、これは機能の違いではなく、VMware ESXバイナリの実装形態の違いを表している。VMware ESXiは次世代型シン(Thin)ハイパーバイザ、VMware ESXは従来型ハイパーバイザである。
エディションには「VMware ESXi Standalone」「VMware Infrastructure Foundation」「VMware Infrastructure Standard」「VMware Infrastructure Enterprise」の4種類がある。このうち、VMware ESXi StandaloneはVMware ESXiのみで利用可能である。他の3エディションのライセンスはVMware ESX、VMware ESXi間で共通化されており、どちらも利用可能となる。また同一ライセンスを利用している限り、VMware ESX、VMware ESXi間において、原則的に機能差は存在しない。
「VMware ESXi Standalone」は無償で提供されているエディションである。VMware ESXi 3.5 Installableという、物理マシンの内蔵ハードディスクにインストールして利用する形態の製品がダウンロード可能になっているが、これをStandaloneと呼ばれる動作モードで利用可能とするライセンスが無償で入手できるようになっている。また、サポートサービスが必要な場合はサポート契約のみを有償で購入することが可能となっている。一方でこのエディションでは、
などの制限がある。VMotion、DRS、VMware HAといった、VMware Infrastructure 3ならではの特長的な機能はこのエディションでは利用できないため、これらの機能を利用したい場合は上位のエディションを購入する必要がある。無償のVMware ESXi Standaloneでいったんシステムを構築し、その後上位のエディションのライセンスを購入した場合は、構築済みのシステムに対してそのライセンスをインストールするだけで簡単に上位のエディションにステップアップすることができる。
「VMware Infrastructure Foundation」「VMware Infrastructure Standard」「VMware Infrastructure Enterprise」の3エディションは有償製品であり、これらのライセンスを保有しているVMware ESXホストはVirtualCenterの管理下に置くことが可能である。また、VMware ESXiとVMware ESXどちらの形態で利用することも可能となる。FoundationもしくはStandardから、より上位のエディションにアップグレードすることもできる。
「VMware HA」「VMotion and Storage VMotion」「DRS and DPM」に関してはアドオン用の単体製品としての購入もできる。例えば「VMware Infrastructure Foundation」に「VMotion and Storage VMotion」のみを追加して組み合わせる、といった購入方法も可能である。ただしこれらの機能を利用するにはVirtualCenterが必須となるため、ESX側のエディションはFoundationもしくはより上位のエディションでなければならない。
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