VMware Infrastructure 3のストレージ機構[3]VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編(11)(1/4 ページ)

連載「VMware Infrastructure 3徹底入門」では、VMware Infrastructure 3のコンセプトやアーキテクチャといった、いわば理論的な部分を紹介した。新連載の「VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編」では、実際の設計から導入、運用までを紹介する。今回はVI3環境におけるストレージ構成に関する3回にわたる解説の第3回として、NFSによるNASの利用や、各種ストレージ方式の使い分けについて解説する

» 2009年03月26日 00時00分 公開

 これまでの連載で、ファイバチャネルSANならびにiSCSI SANを用いて共有ストレージを構成する方法を紹介した。これらはともに、ブロックレベルのアクセス方式でストレージ資源を共有する方法である。

 一方で、NAS装置のようにファイルレベルのアクセス方式でストレージを共有する方法も広く利用されている。今回はNAS装置をVMware Infrastructure 3の共有データストアとして構成する方法について紹介する。

 また、仮想マシンからLUNに直接アクセスする方法として、Raw Device Mapping (RDM)という機能が提供されている。RDMの機能や目的、構成方法などについても紹介する。

利用可能なNAS装置

 すでにNAS環境を利用しているという読者も多いことだろう。サーバの一部のフォルダを共有設定した簡易なファイルサーバから、NASディスクアレイ装置を利用した大規模なシステムまで、幅広く利用されているファイル共有方式といえる。

 VMware Infrastructure 3ではデータストア領域としてNASを利用することが可能である。ファイバチャネルSANやiSCSI SANと同様に、VMotion、DRS、VMware HAなどのVMware Infrastructure 3の特長的な機能を活用することができる。技術的には以下の条件を満たしていれば、VMware Infrastructure 3環境より利用することができる。

  • NFS version 3 が利用可能であること
  • NFS over TCP が利用可能であること

 ただしヴイエムウェアからの保守サービスを受けるためには、該当機種が認証試験に合格し、コンパチビリティガイドに掲載済みとなっていることが条件となる。コンパチビリティガイドの「Storage/SAN」というタブからストレージ装置を検索できる。ArrayTypeに「NAS」と記載されている機種がNASとして認証取得済みの機種である。すでに利用中のNAS装置をVMware Infrastructure 3でも活用したいと考える場合は、該当機が認証を取得しているかどうか事前に確認していただきたい。

図1 コンパチビリティガイドのStorage/SANより“Celerra”で検索した場合の出力例(抜粋)。認証取得済み機種はNASというArrayTypeで掲載されている 図1 コンパチビリティガイドのStorage/SANより“Celerra”で検索した場合の出力例(抜粋)。認証取得済み機種はNASというArrayTypeで掲載されている

NAS装置の利用

 NAS装置をデータストアとして利用する場合、利用されるVMware ESX側のネットワークインターフェイスはVMkernelインターフェイスとなる。VMkernelインターフェイスをまだ構成していない場合は構成作業を行う。本連載では実践編(7)で構成手順を紹介しているので、参考にしていただきたい。

 次にNAS装置側で、NFS version 3 over TCPで利用可能な領域を構成する。アクセス制御などを行っている場合は、上記のVMkernelインターフェイスに割り当てたIPアドレスからのRead/Writeアクセスを許可するよう設定しておく。

 VMware ESXはNAS装置に対して、rootユーザーでNFSアクセスを行う。従ってNAS装置側の該当ボリュームはrootユーザーからのRead/Writeを許可するよう構成しておく必要がある。rootユーザー(匿名ユーザー)からのアクセスを自動的に別のユーザーに置き換えて取り扱うという機能(root squash 機能)は無効化しておく必要があるため注意が必要である。このためno_root_squashやanon=0というオプションを設定する。利用するNAS装置によって設定方法が異なる場合があるため、事前に確認のうえで設定していただきたい。

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