連載「VMware Infrastructure 3徹底入門」では、VMware Infrastructure 3のコンセプトやアーキテクチャといった、いわば理論的な部分を紹介した。新連載の「VMware Infrastructure 3徹底入門 実践編」では、実際の設計から導入、運用までを紹介する。今回はVI3環境におけるストレージ構成に関する3回にわたる解説の初回として、利用できるストレージ接続形態と、ファイバチャネルSANの構成を紹介する
VMware Infrastructure 3では共有ストレージ装置との接続形態として以下を利用できる。
なお共有SASアレイ装置に関しても一部サポートを開始しているが、機種や構成などについてまだ限定的であるため、本連載では取り扱わないこととする。
ストレージ装置に関しても認証プログラムが用意されており、正式なサポートを受けるためには認証取得済みの機種を用いる必要がある。認証取得済みの機種はコンパチビリティガイドで確認することができる。またサポートされているホストバスアダプタについてもここで確認できるため、併せてご参照いただきたい。
伝送媒体にファイバチャネルを利用し、ネットワーク部分にファイバチャネルスイッチを利用するストレージの接続形態である。性能・信頼性に優れ、ホスト負荷が低いという特性がある。
図1はファイバチャネルSANを利用した場合の典型的な設計例である。
VMware ESX側にはファイバチャネル用のホストバスアダプタ(以下、FC HBAと略記)を装着する。ファイバチャネルスイッチ(以下、FCスイッチと略記)によって中継され、ストレージアレイ装置に接続される。通常はI/Oパスの冗長化のため、FC HBA、FCスイッチともに2系統以上を用意し、I/Oパスの経路上に故障が発生した場合でもサービスが継続できるように構成する。なおI/Oマルチパス機構はVMware ESX自体が搭載しており、パス選択、パス故障の検出、ならびにパス切り替えなどを行うことができる。
図1において、FCスイッチ x 2とストレージのコントローラ x 2の間の接続が、相互接続方式で結線されているという点に注目していただきたい。VMware Infrastructure 3環境においてはこのように接続しておくことが基本的な設計方針となる。これは、単一の論理ボリュームが複数のVMware ESXより共有利用されるため、ストレージ装置がActive-Passiveと呼ばれる設計のものであった場合でも、パス故障時に適切にフェイルオーバが動作するよう設計しておく必要があるためである。従って、どちらのFCスイッチからでも両方のストレージコントローラにアクセス可能な設計にする必要があるため、このように設計する。
また一部の機種ではFCスイッチを利用しない、直接接続の構成もサポート対象となっている。直接接続構成がサポートされているかどうかについても、前述のコンパチビリティガイドで確認することができる。該当ストレージの 「Model/Release Details」 タブに 「Configurations」 という列があるが、ここに 「FC Direct Attached」 と表記されている機種は直接接続構成もサポートされている。直接接続で構成する際の設計・構成方法などは各ストレージベンダにご確認いただきたい。
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