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自分に自信が持てない人へ。まずは「小さな成功」から心の健康を保つために(6)(1/2 ページ)

ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。

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トップアスリートの力

 今年(2008年)の8月には、北京オリンピックが開催されました。このオリンピックでのトップアスリートたちの戦いを、驚異と感嘆の思いで応援した人は多いのではないでしょうか。

 4年に1度の大きな試合、選手は緊張の極みだと思います。どうすれば4年もの間、倦(う)まず鍛錬し続けられるのか、大舞台に立っても自分の実力を出せるのか。その秘けつの1つに「自分を信じること」があるのではないかと思います。

 「自分を信じること」は、ITエンジニアにとっても、日々のメンタルへルスを保つために必要なのではないでしょうか。

成果が出れば、自信が持てる?

 SさんはITエンジニアの男性です。「会社で人の目が気になってつらい。会社に行きたくない」ということで相談に来た人です。

 人の目が気になるとは、どのようなことなのでしょうか。Sさんに聞いてみると、「自分に自信がない」という言葉が出てきました。「自信が持てれば、もう少し楽になれそうなんだけど……」ということです。

 では、何があれば自信が持てるのでしょうか? Sさんは「うーん、上の人に評価されるとか、褒められるとか、でしょうか……」と答えました。

 自信が持てないため、仕事に積極的に取り組めないそうです。人の目が気になってびくびくし、会議のプレゼンテーションでは緊張のあまり失敗してしまうこともあるのだそうです。それでは評価も上がらないので、さらに自信がなくなり……と、悪循環に陥ってしまっているようでした。

自信には「セルフイメージ」が大切

 日本のトップアスリートのメンタルトレーニングにかかわってきた白石豊さんは、著書『なぜか仕事がうまくいく7つのメンタルスキル―ここ一番で実力を発揮させるために』の中で、自信の大きさはセルフイメージの大きさと比例すると述べています。

 いい結果が残せたから自信が持てるというわけではないそうです。むしろその逆で、自信がある状態で試合に臨むといい結果が出るのだそうです。

 ということは、Sさんもまず自分に自信が持てる状態をつくることで、仕事にいい影響を及ぼせるということになります。他者からの評価を待っているだけでは、いつまでたってもいいスパイラルはつくり出せないのです。

Sさんのセルフイメージはこうしてつくられた

 そもそも、Sさんが自信を失ってしまったのは高校生のころ。ささいなことでクラスの仲間にからかわれたことがきっかけで、それ以後「また何かいわれるのではないか」と、しょっちゅう気にしてしまうようになりました。

 気にしている自分がいやだし、そう感じれば感じるほど、余計に周りのみんなが自信ありげに見えました。自分だけが駄目な人間のように思えてきたのです。すると不思議と周りもSさんを「自信がない人」として扱うようになりました。Sさんは周りの反応を受けて、さらに「自分は駄目なんだ」という思い込みを強化してしまったようです。

<Sさんのセルフイメージはこうしてつくられた>

きっかけ:ささいな失敗でからかわれる

    

周りを気にする

    

緊張してうまくいかない「また駄目かも」

    

自信をなくす

    

周りの反応「なんか自信なさそうにしているなあ」

    

さらに自信をなくす「やっぱり自分は駄目なんだ」


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