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信頼性の高いデータの管理・供給のためのDOAゼロからのデータモデリング入門(2)(2/3 ページ)

前回は、データベースシステムの歴史的背景と現状についてお話をしました。データベースが階層型、ネットワーク型からリレーショナル型への変遷をたどり、現在ではリレーショナル型が主流となっています。今回は、主流となっているリレーショナルデータベースではどのような技術が提供されてどのような有用性があるかを検証し、リレーショナルデータベースを有効活用するためのDOA(Data Oriented Architecture)思想についてお話しします。

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データ中心アプローチ(DOA)思想を理解する

 RDBMSの機能を有効活用するための設計を考えるためには、リレーショナルデータベース開発のベースとなった方法論、データ中心アプローチ(DOA:Data Oriented Approach)について理解する必要があります。

 通常システム開発を行う際には、システム開発方法を検討しますが、現在、主なシステム開発方法として、プロセス中心アプローチPOA(Process Oriented Approach)とデータ中心アプローチ(DOA)の2つがあります。

プロセス中心アプローチ(POA)

 POAは、フローチャートなどを用いて業務処理の流れを明確にし、システムを設計していく方法です。従来コンピュータシステムは、業務処理の効率化、省力化を目的にシステム開発を行ってきたため、処理を中心にした開発方法が主流となり、現在でもこの方法が数多く用いられています。しかし、処理を中心としたアプローチであるため、データに関し次のような課題があります。

  • データが冗長となり、データの整合性を維持するのが困難である
  • 処理プログラムを構築するたびにデータを用意する必要がある
  • 1つの処理プログラムが蓄積したデータをほかの処理プログラムとやりとりするにはそのためのブリッジプログラムが必要となる
  • データの分散によってメンテナンス性が低下する

 要約するとPOAの問題点は「データ重複によるデータの信頼性低下」と「メンテナンス性の低下」の2つにあるといえます。

 つまり、POAを用いた場合、システム開発当初は順調に稼働していても、時間の経過とともに複雑なシステムになっていく可能性が高いといえます。ビジネス変化のスピードが速まれば速まるほどシステムが追随することが難しくなり、システムがボトルネックでビジネス変化に対応できなくなることにもなりかねません。

データ中心アプローチ(DOA)

 DOAは、ビジネス活動の基盤はデータにあるととらえ、業務上必要な情報のやりとりをデータに着眼して分析を行う方法です。

 データを軸に業務における情報の流れ、構造を分析し、データモデルとして表現する、つまり、「データの独立性を高めてプログラムからデータを分離させる」考え方です。

 データの独立性を高めて管理を行うのでデータの信頼性が向上し、また、データは処理に比べて変化が少ないためメンテナンス性が向上すると考えられています。DOAではデータ基盤を確立してから処理を考えるため、極端な話、ビジネス変化に応じて、データ基盤はそのままで処理は捨ててもいいということになります。

図3 POAとDOAの違い
図3 POAとDOAの違い 

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