信頼性の高いデータの管理・供給のためのDOA:ゼロからのデータモデリング入門(2)(3/3 ページ)
前回は、データベースシステムの歴史的背景と現状についてお話をしました。データベースが階層型、ネットワーク型からリレーショナル型への変遷をたどり、現在ではリレーショナル型が主流となっています。今回は、主流となっているリレーショナルデータベースではどのような技術が提供されてどのような有用性があるかを検証し、リレーショナルデータベースを有効活用するためのDOA(Data Oriented Architecture)思想についてお話しします。
情報システム部門の役割とDOA思想
経営資源の1つである「情報」とは、データ分析を行いアクションにつなげることにより生まれるものと考えられます(データは記号にしかすぎず、データが組み合わさると情報となり、人のアクションにつながるわけです)。
つまり、情報の管理には、情報を生み出すもとになるデータ管理が重要となります。1つのデータがさまざまな場所に散在すれば、データに不整合が生じ、データの信頼性が低下します。また、それだけでなく、迅速な経営判断が求められる経営環境において1つの事実をとらえるのに多くの時間を費やすことになります。
このため、「1つの事実は1カ所に(One Fact One Place)」という概念を取り入れ、データの信頼性を向上させ、企業活動に必要な情報を迅速に提供することが重要です。
情報システム部門は、経営者やユーザーからの要求(データ分析要求)に迅速に対応し、ビジネス変化に柔軟に対応するために、自社のデータ構造を把握し、データの信頼性を高めることが求められています。
DOAを実践することにより、ビジネス変化に柔軟に対応できるデータ基盤を手に入れることができます。
また、RDBMSを有効活用するためには、第1回で述べたように、器だけをリレーショナルデータベースにし、処理の観点で設計を行うのではなく、DOAを実践した設計が必要です。
データを中心にしたシステム開発へ発想を転換することによりRDBMSの有効活用ができるだけでなく、本来情報システム部門が行うべき「信頼性の高いデータの管理とデータの供給」が実現されます。
次回は、DOAに基づくデータベース設計の有用性についてお話しします。
筆者略歴
株式会社アシスト 情報価値向上技術支援室
沖 冠吾(おき かんご)
プロフィール
データモデリング、システムモデリングが専門。IBM、富士通製メインフレーム開発支援製品の技術サポートからスタートし、営業、営業企画業務を経て、ソフトウェア・リサーチ部門の立ち上げを行うなど異色のコンサルタント。
コンサルティングサービスのマーケティング活動を行いながら、データモデリングとシステムモデリングのコンサルティングに従事する。
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