フラッシュバックリカバリの基礎知識:Oracleトラブル対策の基礎知識(4)(3/3 ページ)
前回は領域に関する問題「セグメント拡張時のエラー」について紹介しました。本稿では、フラッシュリカバリ領域について学びたいと思います。
フラッシュリカバリ領域がいっぱいになったときの回避方法
先に抜粋したマニュアルにあるように、保存方針がきちんと設定してあれば、不要になったファイルは削除されるため、基本的に手動管理は不要です。ただし、フラッシュリカバリ領域の最大サイズが小さかったり、適切な保存方針が設定されていない場合、手動でのメンテナンスが必要になってくることがあります。ここでは例として、フラッシュリカバリ領域がいっぱいになった場合を考えてみましょう。
フラッシュリカバリ領域の使用率はV$RECOVERY_FILE_DESTビューから確認します。
ここで表示される項目の内容は次のとおりです。
SPACE_LIMIT=DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEで設定しているサイズ
SPACE_USED=現在使用済みのサイズ
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
フラッシュリカバリ領域がいっぱいになった場合には、以下のようにフラッシュリカバリ領域が満杯になったことを示すORA-19815がアラートログに出力されます。このとき、インスタンスがダウンしたり、バックアップが取得できなくなることにはなりません。Oracleが自動的に古いファイルから削除してくれますが、あまり好ましいことではないので、手動でのメンテナンスを検討する必要があります。
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最も単純な解決方法はDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEの値を大きくすることですが、不要なファイルがある場合はRMANからDELETEコマンドで削除することが可能です。
例えば、取得したバックアップセットの削除を行うには次のようにします。
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削除を行った後に、v$recovery_file_destを確認すると、SPACE_USEDが減っていることが分かります。
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このとき、ファイルの削除方法で注意していただきたいのが、RMANからのDELETEコマンドではなく、OSコマンドを使用して直接ファイルを削除してしまうと、データベース側は、空き領域の拡張を意識しないということです。
以下のようにOSコマンド(rm)で削除を行ってしまうと、
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v$recovery_file_destを確認しても、SPACE_USEDが減っていないことが分かります。
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これは、RMANリポジトリに管理情報を持っており、この管理情報はRMANからDELETEコマンドでファイルを削除しなければ更新されないためです。
もし誤ってOSコマンドで削除してしまった場合は、次のようにRMANのCROSSCHECKコマンドを使用して、フラッシュリカバリ領域の実際の物理ファイルとリポジトリの管理情報を比較し、RMANリポジトリから欠落しているファイルをDELETE EXPIREDコマンドで削除してください。
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上記作業を行えば、SPACE_USEDが減っていることが分かります。
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まとめ
今回解説したポイントをまとめると以下のようになります。これらの項目を踏まえ、フラッシュリカバリ機能の利点を生かした運用を心がけましょう。
- フラッシュリカバリ領域を利用する場合は、必ず適切なサイズを見積もり、余裕を持って設定を行ってください
- もし領域不足になった場合は、サイズを大きくするか、不要なファイルの削除を検討してください
- 削除する場合は、OSコマンドでは削除せず、必ずRMANのDELETEコマンドで削除してください
- 誤ってOSコマンドで削除してしまった場合は、RMANよりCROSSCHECKを行い、実在しないファイルをOracleに認識させてください
- 空き領域の確保後は、必ず保存方針の見直しを行いDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEを適切な値に設定してください
次回は2008年8月22日に出版された『プロとしてのOracleアーキテクチャ入門』の共同執筆者である渡部亮太氏の執筆となります。お楽しみに!
図で仕組みから理解する「現場主義」のOracle入門
プロとしてのOracleアーキテクチャ入門
著者:渡部 亮太、森坂 康人
発行:ソフトバンククリエイティブ(2008年8月)
定価:2,730円(税込)
定価:2,730円(税込)
ISBN:978-4-7973-4980-1
本稿を執筆した森坂氏がOracleアーキテクチャを分かりやすく解説した本が出版されました。
本書では、例えばデータの格納方式やロック機構の挙動など、プロに求められるOracleの専門的な知識が、図で分かりやすく説明されています。これから実務でOracleに触れるという方にとって、参考になるでしょう。もちろん、本稿で紹介したリカバリ処理にも1章が割かれています。
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