新人、集合研修で「伝説」を作る:システム開発プロジェクトの現場から(21)(2/3 ページ)
開発現場は日々の仕事の場であるとともに、学びの場でもある。先輩エンジニアが過去に直面した困難の数々、そこから学んだスキルや考え方を紹介する。
トップマネジメントに愚痴をこぼして去る新人
その中でも、いまだに社内で語り草になっている一件を紹介します。
研修が始まって間もないころに、プレゼンやディスカッションのトレーニングがありました。
私はそのころ、プレゼンがとても下手でした。コンサルティングのメンバーはとても上手なのに(弊社では、コンサルティンググループとソリューショングループ[技術系、私はこちらです]が一緒に研修をします)。
そのことが毎日とてもくやしくて、でも次の日になるともっとくやしい結果に終わって……ということが続きました。
そんな中、ソリューショングループだけの飲み会が開かれました。その席には当社トップマネジメントのAさんもいました。
そのAさんに
「どうだ?」
と聞かれた私は
「だめです。コンサルティングのメンバーに圧倒されています。みんなはプレゼンがすごく上手で、私は全然駄目で……(弱気な発言と愚痴)」
と答えました。明らかに愚痴をいう相手を間違えています。粗相です。
前夜のことすら覚えていられないほど余裕がなかった当時、Aさんに「今年はいろいろな意味で心配な新人がいる」という印象だけを残し、私は再び研修へと戻っていきました。
疑似プロジェクトでのプレゼンに挑戦
気後れしたまま、研修は中盤に入り、技術系のトレーニング(プログラミング)が始まりました。すると、今度はソリューションメンバーの活躍が目立ち始めました。
コンサルティングとソリューションではコアスキルが違うので、研修内容によって勢力図が変わるのは当たり前。当然のなりゆきですが、私はやっと社会人としての自信や余裕のたぐいを持ち始めました。
そして、苦手意識のあったプレゼンをも克服する日がきました。
疑似プロジェクトをやってみよう! というトレーニングでのこと。
要件定義は終わっている前提で、開発し、定期的にクライアントに報告し、仕様変更を受けて……というように、実際の業務に近いシナリオに沿って進めるものでした。
この中の「クライアントへの報告」。これです。研修の初期にくやしい思いをした、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションスキルを磨く機会がやってきました。
最初の報告会では、先輩がお手本を見せてくれました。話の仕方がスムーズで、クライアント(役のマネジャー)からの質問にも考え込むことなく回答をしていて、分かりやすい、すごいなあと思いました。
2回目は新人がこの報告をするということで、「誰かやりたい人?」と聞かれました。私はすかさず手を挙げました。ほかにやりたい人はなく、難なく報告担当をゲット。
しかし、結果は惨敗。報告会に出る機会自体が重要と、30分程度の準備で臨み、
「あ……、えーっと。うー」
言葉にならない変なうなり声しか出ず、頭も真っ白に。実際の業務よりも緊張の少ないシミュレーションであったにもかかわらず、です。
プレゼンに再度挑戦、ついに苦手意識を克服
場に慣れるだけでは何も変わらない、ただ場数をこなすだけではどうしようもないと感じた私は、立ち会ってくれた先輩やクライアント役のマネジャーにアドバイスを求めました。
詳しいアドバイスは覚えていませんが、アドバイスを基に自分で考えたポイントは、
- 何を聞かれそうか予想して臨む
- 全体を把握して臨む(どの角度から聞かれても答えられる程度に)
でした。
そういえば、大学のゼミ発表のときにも質問対策とかしてたなと思いつつ、次こそはうまくやろうと意気込んでいると、
「え? もう機会ないよ。次はぼくたちファカルティ(研修担当)がやって終わり」
とのこと。
「そ、それ私にやらせてもらえませんか」
先輩は一瞬驚いた顔をしましたが、「やりたいなら、いいよ」と特別に機会をもらえることになりました。
今度こそしっかり準備をして、チーム担当の先輩にはリハーサルにも付き合ってもらいました。おかげで、本番では流れを止めることなく質問にも即答し、無事終えることができました。
終了後、クライアント役のマネジャーから「とても良かったです」という言葉と、良かった点、改善の余地がある点についてのメールをもらいました。とてもうれしかったのを覚えています。
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